日本IBM、仮想環境へWASをプロビジョニングする「WebSphere CloudBurst」
理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長のデビッド・ベイト氏 |
WAS HVの概要 |
WebSphere CloudBurstの管理画面 |
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は6月18日、仮想環境に対応したWebアプリケーションサーバー「IBM WebSphere Application Server Hypervisor Edition(以下、WAS HV)」と、WAS HVやアプリケーションをクラウド上に配布し管理するアプライアンス製品「IBM WebSphere CloudBurst Appliance V1.0(以下、WebSphere CloudBurst)」を発表した。6月27日から出荷開始する。
WAS HVは、VMware ESX 3.0/3.5、ESXi 3.5に対応したWebアプリケーションサーバー。SUSE Linux、IBM HTTP Server、WASなどを含んだOVFパッケージとして提供される。
WebSphere CloudBurstは、WAS HVやアプリケーションを管理し、クラウド環境に対して自動配布する製品。アプリケーションサーバーの構成やアプリケーション、ネットワーク、パラメータの設定を事前に行っておくことで、その後の配布作業を自動実行してくれる。
「要はWASをプール化するようなもの。テスト環境でWASが必要な時に小さなシングルサーバーとしてプロビジョニングし、終わったら元に戻せる。本番環境にデプロイする際は、もっと大規模なトポロジーでプロビジョニングし、負荷のピークを超える状況が発生したら、追加のWASトポロジーを配置することができる」(理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長のデビッド・ベイト氏)。
従来、テスト環境と本番環境では別々にサーバーを用意し、それぞれにWASのライセンスを購入する必要があった。これだとテスト環境が不要になってもそのライセンスはどうすることもできなかったのだが、WebSphere CloudBurstを使えば、テスト環境に使用した分を本番環境にマージするなど、ライセンスの使い回しに融通が生まれるという。
WebSphere CloudBurstには、WAS V7.0.0.3/V6.1.0.23の仮想イメージがあらかじめ導入されており、カタログからWASのバージョンやJava EEアプリケーションなどを選んでクラウドへ配布することが可能。運用担当者が任意にスクリプトやアプリケーションパッケージをカタログに加えることもでき、GUIから選んでWASとともに仮想環境へ配布できる。
テスト環境用のシングルサーバー構成や本番環境向けのクラスタ構成など、WASトポロジーを事前定義したパターンが用意されており、プロビジョニングはこのパターンから構成を選んで実行できる。また、アプリケーション配布後のユーザー・グループのアクセス管理、利用状況のトラッキングといった管理タスクもWebSphere CloudBurstが行ってくれる。
WebSphere CloudBurstの概要 | 利用イメージ。テスト環境や本番環境など状況に応じてWASやアプリケーションを配布 | WASトポロジーのパターンが事前定義されている |
ベイト氏は「既存ハードウェアの効率的活用によりコスト削減が見込まれる。また、WAS配置の高速化も図ることが可能。サーバー環境を仮想化することでサーバー資源が最適化される一方、その上で実行されるアプリケーション環境の構築と保守に関しては、システム管理者の人手による作業が必要だったが、WebSphere CloudBurstではこの作業を自動化してくれるからだ。同社の調査では、従来1時間30分程度かかっていた手作業が、最短で約8分に短縮することができた」(同氏)とメリットを語る。
価格は、WAS HVが254万6000円(税別)から、WebSphere CloudBurstが643万5000円(同)から。日本IBMでは、データセンターで大規模にWASを運用している既存ユーザー、企業内クラウドの構築を検討中の顧客、ISV/SaaS事業者をターゲットに訴求する方針。
2009/6/18 14:29