SAS、企業における分析・予測モデルの一元管理、精度比較を実現するソフト
執行役員 ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏 |
SAS Model Managerの位置づけ |
SAS Institute Japan株式会社は6月24日、企業における組織的分析・予測モデルの管理ソフトウェア「SAS Model Manager」を同日より提供すると発表した。
SAS Model Managerは、個別に作成された分析・予測モデルを一元的に管理し、最も精度の高いモデルを容易に選択、運用できる環境を実現するもの。執行役員 ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏は、新製品の発表にあたり、その市場背景について、「多くの企業が同じような製品を出して、同じような技術を競っている中で、企業競争力を高め、収益力を最大化していくには、分析力を高めて意志決定のレベルを上げる必要がある。分析力を高めるカギとなるのが、企業全体でのさらなる分析の高度化と分析結果の共有化だ。そして、その分析結果を実業務に組み込んでいくことが重要になる。しかし、従来のBIツールでは分析とレポーティングの機能が別々に提供されているため、分析結果を実業務に効果的に活用できていないのが現状」と指摘。「今回の新製品では、複数の分析・予測モデルを一元管理できるとともに、それらの比較、配置を容易にし、分析結果を最大化することが可能となる。これにより、データ・マイニングを活用した予測型モデリングの実業務への活用を支援していく」と述べた。
具体的には、SASのデータ・マイニングツール「SAS Enterprise Miner」や「SAS Enterprise Guide」など、異なるツールで作成された分析・予測モデルをメタデータ・リポジトリ経由で登録でき、組織単位、プロジェクト単位、バージョン単位といったグループ別に、個々のモデルが利用するデータソースとともに一元管理することができる。
また、登録した分析・予測モデルは、チャート使って精度を比較し、その時点で最良のモデルを選択することが可能。データ統合プラットフォーム「SAS Data Integration Studio」で採取した精度モニタリング・データを取り込めば、業務システムに配置されたモデルの精度を、リフト・チャートやROCチャートなどを使って時系列にモニタリングすることもできる。さらに、Analytics製品だけでなく、SAS Data Integration Studioやリアルタイム意志決定支援ソリューション「SAS Real-Time Decision Manager」などと連携することで、使いやすいGUI操作によって正確かつ安全に業務システムへのモデル配置を行うことが可能となっている。
個々の分析モデルを一元的に管理 | 適切なモデル選択が可能 | 安全にモデルの配置が可能 |
SAS Model Managerの導入によって、分析・予測モデルの管理担当者は、複数のモデルから最良のモデルを選んで安全に配置することで、ビジネスリスクを低減することができる。また、従来のようにモデルを作成するパワーユーザーだけでなく、一般ユーザーでも容易にモデルの管理・分析が可能となるため、企業全体の情報活用力の向上を図ることができるとともに、モデル管理者に対しては、モデル構築の進ちょく状況や責任範囲などの情報を視覚化して提供することが可能となる。
適応業務としては、与信管理やダイレクトメール配信顧客ターゲティング、プロモーション対象顧客ターゲティング、優良顧客セグメント、解約分析、商品購買傾向分析、レコメンデーションなどを想定している。ビジネス開発本部プラットフォームビジネス開発部長の池本洋信氏は、具体的な適用例として、与信管理業務の事例を挙げ、「与信管理業務では、与信モデルの精度向上が非常に重要になる。SAS Model Managerを活用することで、与信モデルが実行されたときの精度を常に監視しながら、作成された新たなモデルから最も精度の高いチャンピオンモデルを登録し、実行していくことができる」と説明した。
販売価格は1000万円から。同社では、年内に約10本の販売を見込んでいる。
2009/6/24 17:16