APC、赤外線写真を使ったデータセンター熱分布アセスメントなど
データセンタ熱分布アセスメントの報告書イメージ |
データセンタ熱分布アセスメントとサーマルスキャン・ライトの違い |
株式会社エーピーシー・ジャパン(以下、APC)は7月2日、アセスメントサービスに3つのメニューを拡充すると発表した。「データセンタ熱分布アセスメント」「サーマルスキャン・ライト」「ワイヤリングクローゼットアセスメント」を同日より提供する。
アセスメントサービスは、同社がグローバルに展開しているコンサルティングサービス「プロフェッショナルサービス」の1つ。データセンターやサーバールームの省電力化やグリーン化への対応、エネルギー高効率化のための現状調査・分析を行い、評価、報告書作成などを通じて、適切な環境・管理・運用を支援するもの。
データセンタ熱分布アセスメントは、デジタル赤外線サーモグラフィを使用して、測定温度が基準以上の個所を特定。報告書にて赤外線写真、分析結果、問題点の指摘、改善のための推奨事項を報告する。主幹ブレーカー・変圧器・断路器・UPS・分電盤・配電盤など、データセンターの熱にまつわるすべての機器(自家発電機以外)を対象に調査を行い、高温が特定された配電線の電流値計測・記録までを行う。
同社では別メニューとして「CFD(数値流体力学)によるデータセンタ空調解析」なども提供しているが、データセンタ熱分布アセスメントは、それよりも安価に現状を把握できるのが特徴。
「CFDによるデータセンタ空調解析では、サーバールームの熱問題の原因を把握するために、温度や気流の流れを動画にて可視化する。冷気がどこから出てきてどこへ流れていくか、リアルな現状が把握できるのだが、その分、膨大なデータが必要となるため数百万単位の価格となってしまう。一方でデータセンタ熱分布アセスメントは赤外線写真で高温個所を特定するだけなので、迅速に安価に提供することが可能だ」(APC)。
サーマルスキャン・ライトは、データセンタ熱分布アセスメントの内容をパッケージした簡易版。赤外線サーモグラフィを使用するのは同じだが、測定個所を配電盤とラックに限定し、電流値の測定なども行わない。レポートには問題点の指摘・分析結果のほか、目視検査によるブレーカー損傷状況の一覧表などを含む。
データセンタ熱分布アセスメントの価格は63万9000円(都内・ラック数20台まで)、サーマルスキャン・ライトの価格は26万4000円(同)。
ワイヤリングクローゼットアセスメントは、ネットワーク機器やネットワークラック設置のために特別に設計された部屋「ワイヤリングクローゼット」内の、配線や配線装置の配置を分析・評価し、可用性の問題解決策や対策の推奨事項を提案するもの。具体的には、配電の目視検査、UPSの状態・バッテリ構成・接続状況の記録、電源効率の把握、室温レベルの記録、ラック気流など送風効率の解析などを行う。
報告書例としては、「現在のラックの空きスペースは合計20Uほど。ワイヤリングクローゼット内にはラックをもう1台設置するスペースがある」「現在のUPSの付加状況は60%。推奨する最大負荷は80%なので、若干の余裕がある」などが提示される。
ワイヤリングクローゼットアセスメントの価格は、22万2000円(都内・40回路まで)。
なお、2008年12月より提供している「CFDによるデータセンタ空調解析」「データセンタ電源効率アセスメント」「データセンタ電源・空調アセスメント」に今回の3サービスで、アセスメントサービスのフルラインアップがそろった形。APCでは今後、これまで以上にデータセンター・サーバールームの効率化・最適化に貢献するとしている。
2009/7/2 15:45