アドビがFlash Catalystなどをベータ公開-デザイン・開発のワークフローを融合


米Adobe Systemsシニアプラットフォームエバンジェリストのエンリケ・デュボス氏
6月にベータ公開されたFlash Catalyst

 アドビシステムズ株式会社は7月8日、6月に公開されたAdobe Flash Platform各製品のベータ版に関する記者向けの説明会を開催。米Adobe Systemsシニアプラットフォームエバンジェリストのエンリケ・デュボス氏が出席し、ベータ公開されたAdobe Flash CatalystとAdobe Flash Builder 4をデモを交えて紹介した。

 Adobe Flash Platformは、デザイン/開発ツール、フレームワーク、クライアント、サーバーで構成されたRIA(リッチインターネットアプリケーション)プラットフォーム。「Adobeのさまざまな技術を統合したプラットフォームであり、これらを利用することで、生産性の向上、サーバー・サービスとの統合、表現力豊かなアプリケーションを実現することができる」(デュボス氏)と、RIAの最適なプラットフォームであると紹介。

 今回ベータ版として公開されたのが、デザインツールのFlash Catalystと開発ツールのFlash Builder 4。デュボス氏は、「Flexブランドはオープンソースのフレームワークに設定し、各種ツールはFlashブランドに統一することになった」と、Flex BuilderからFlash Builderに名称変更した理由を説明した。

 新たに用意されたFlash Catalystは、PhotoshopやIllustratorといったアプリケーションで作成した静的なイメージにインタラクティブなアクションを設定できるツール。「デザイナーが作成した静的なイメージを基に、ゼロから開発しなければいけないのが現状。これは静的なイメージを開発側でそのまま活用できないことから起こる問題。Flash Catalystでは、デザイナーが静的なイメージに直接アクションを設定し、それを開発者にそのまま渡せる。これにより、デザイナーのイメージをそのまま使って開発することができる」(デュボス氏)と、生産性向上につながるだけでなく、デザイナーの意図がそのまま最終デザインに反映できるメリットを強調した。


Photoshopで作成したダッシュボードデザイン。従来はこれを基に開発者がゼロから開発せざるを得なかったFlash Catalystでは、PhotoshopやIllustratorのデータをレイヤー構造などを維持したまま読み込むことが可能。各部品ごとにアクションをプルダウンリストから設定していくだけで、インタラクティブなデザインに仕上げられる。また、Flash Catalystから各アプリケーションを呼び出して、修正することもできるFlash SWFファイルで出力できるため、インタラクティブなプロトタイプとして利用することも可能

 Flash Builderは、Eclipseベースの統合開発環境。最新版では、使い勝手を向上したほか、データ中心の開発機能、デザイナーと開発者のワークフロー強化などが図られている。「Flash Catalystで作成したプロジェクトをそのまま取り込み、コーディングできる。外部データとの関連づけなども、Flash Catalystで作成したデザインにドラッグアンドドロップして割り当てられるなど、シンプルな操作方法を実現している。また、既存のFlashコンポーネントを再利用できるなど、開発効率を高める機能を強化した」と説明する。


Flash Builderの特長Flash Catalystのプロジェクトをそのまま取り込める。Flash Catalystで設定したアクションはそのまま利用できるので、開発側の工数削減に有効BlazeDSやColdFusionなど外部データとの関連付けに対応。プラグインにより.NET Frameworkとの連携にも対応する

 デュボス氏は、「エンタープライズアプリケーションの多くは、ユーザビリティが欠落しているのが現状。これまでは開発者とデザイナーが完全に分離していたため、インターフェイス部分が十分に作り込まれていなかった。Flash Catalystは、使い勝手をいかに高めるかを追求した製品。開発者しかいない情報システム部門やSIerにとっては、追加の負担になるかもしれないが、生産性向上という観点からエンタープライズでもRIAを意識する必要があるだろう」と、エンタープライズでのRIAの必要性を強調し、Flash Catalystが開発を支援する製品であると強調した。



(福浦 一広)

2009/7/8 15:24