組み込みも仮想化が有効-ウインドリバーの仮想化機能「Wind River Hypervisor」


Wind River Hypervisorの概要
営業技術部 第一営業技術部の小宮山岳夫氏

 ウインドリバー株式会社は7月9日、6月に発表した組み込み向け仮想化機能「Wind River Hypervisor」に関する説明会を開催した。

 Wind River Hypervisorは、組み込み環境を対象とした仮想化機能。IntelおよびPowerPCアーキテクチャをベースにしたシングルコア・マルチコアプロセッサに対応。VxWorksやWind River Linuxなど同社の組み込みOSと統合化しているのが特長となっている。

 組み込み分野での仮想化の必要性について、同社営業技術部 第一営業技術部の小宮山岳夫氏は、「マルチコア環境下で複数の組み込みOSを動作させる場合、システムの再構成時にメモリの利用領域を調整する必要などがあり、非常に手間がかかる。また、メモリの割り当てを間違えるなどバグが発生する可能性も高まるという問題がある。仮想化技術を利用することで、ゲストOS側でメモリの利用領域を設定する必要がなくなるので、システム再構成が容易になる。また、物理的なCPU数以上の仮想CPUを割り当てるといった使い方も可能になる」と、組み込みシステムにおいても仮想化が有効であると説明する。

 Wind River Hypervisorの開発にあたり重視したのが、「組み込みで利用するので、高速であること、フットプリントが小さいこと、応答性が高いこと、そして移植性が高いことを重視した。その結果、非常に小さなフットプリントになり、余分な機能が含まれないネイティブ型のハイパーバイザーを採用。また、応答性を高めるためにパラバーチャライゼーションを基本としながらも、ハードウェアアシスト機能を積極的に活用することで移植性の向上も図っている」と、組み込み用途に最適化された仮想化機能であると紹介した。


Real Time Schedulerを実装することで、リアルタイムアプリケーションを実行可能デバイスそのものは仮想化せず、直接アクセスすることでフル機能が利用可能MIPC(Multi-OS Interposes Communication)により、プロセス/OS間通信を実現

 Wind River Hypervisorは、Eclipseベースの統合開発環境「Wind River Workbench」から設定が可能。XMLベースの設定ファイルを変更することで、各種設定を行うことができる。また、デバッグ環境に関しても同様の環境を利用できる。



(福浦 一広)

2009/7/9 16:12