SaaS型動画配信サービス「Brightcove 3」日本語版発表-無償試用も


 ブライトコーブ株式会社は7月14日、オンライン動画配信プラットフォーム「Brightcove 3」の日本語版をリリースした。同時に、Webサイト上で30日間無償評価用トライアルの受付を開始した。

 「Brightcove 3」は動画コンテンツの管理および公開を行うシステムを提供するSaaS型の動画配信プラットフォーム。動画コンテンツやプレイリストの管理、エンコーディング、プレーヤーの作成とカスタマイズ、広告サーバーとの連携、動画視聴レポートまでをワンストップで提供する。

 利用料は視聴数に応じた月額従量課金で個別見積もりとなるが、ライムライト・ネットワークスからの大量仕入れでCDN(Contents Delivery Network)にかかるコストを圧縮するなどにより、できるだけ安価に提供しているという。


橋本社長「初期投資リスクを軽減して最新のサービスを」

ブライトコーブ代表取締役社長 橋本久茂氏

 ブライトコーブは2008年6月に設立。資本金は現在5億1577万5555円で、米Brightcove社が63%、電通が18%、Jストリームが14.9%、トランスコスモスが3.1%、サイバー・コミュニケーションズが1%。代表取締役社長は、三井物産、マクロメディア、ディー・エヌ・エーなどでITビジネスに携わった橋本久茂氏が就任。

 ブライトコーブの橋本氏は発表会で、「動画配信の世界的シェアではトップがYouTube。そこからかなりひらいて2位以下が並ぶが、トップ10の半数以上がBrightcoveを利用している」と世界的な大手動画配信サイトでの採用実績に言及。

 また、国内でも動画配信のニーズは高まっているが、自社配信では初期投資が大きくリスクが高い。「リスクを減らして最先端のサービスを提供するには、月決め料金でリスクの限定された、SaaSやPaaSの利用が主流となりつつある」とプラットフォームを利用するメリットを述べた。

 日本法人は、2008年8月に日本国内で「Brightcove 3」英語版のサービスを開始したが、すでにSony Musicのほか、民放TVオリンピック公式動画サイト「gorin.jp」、アサヒビールグループ、主婦の友社「オレンジページ net」、集英社「WebUOMO」、東京ガス、TBS「無料見逃しサービス」などで採用されている。

 橋本氏は「Brightcove 3」の機能の柱として、コンテンツをアップロードしたり管理する「メディア管理」、オリジナルのプレーヤー作成可能で、閲覧地域制限、視聴レポート機能ももつ「パブリッシング」、“友達に送る”フォームやコメント、フィードの発行などの機能を含む「口コミ・バイラル」、アドサーバーとの連携や動画広告の差し込みを前提とした「収益化」の4つを挙げた。

 また、「小さいサイトからはじめて、大きなサービスに成長しても同じプラットフォームで一貫して利用できる」というスケーラビリティを特長として挙げた。

「Brightcove 3」はSaaS型の動画配信サービス。ワンストップで、動画配信で必要なことをカバーする日本における導入例。Sony Music、TBS(見逃しサービス)、ヤマハ、タワーレコード、アサヒビールなど大手サイトが並ぶ

今後重要なストラテジは「シンジケーション」と「オープンプラットフォーム」

米Brightcove社CEOのジェレミー・アレイア(Jeremy Allaire)氏

 「Brightcove 3」はワールドワイドで採用企業は27カ国、700社以上に上り、1億3500万人のユニークユーザー数を持ち、今期は黒字化を達成した。これまで「Brightcove 3」は英語版のみが提供されており、ローカライズは日本語版が初となる。

 ローカライズ版でまず日本語版をリリースした理由について、米Brightcove社CEOのジェレミー・アレイア(Jeremy Allaire)氏は「日本市場はブロードバンドインフラ普及率でも世界でトップクラス。また、日本のメディア市場は世界第2位の規模で、日本1国だけで、欧州の上位3カ国の合計を上回る」とした。

 アレイア氏は日本の動画市場について、「現在はオンライン動画の黎明(れいめい)期だと考えており、市場に参入するには非常にいいタイミングだと考えている」。

グローバル市場では採用企業は27カ国にわたり、700社以上1億3500万人のユニークユーザーがBrightcoveのプラットフォームを介して、視聴している日本市場を重視する理由

 また、動画の普及については「まずはテレビ局などメディア企業などから動画コンテンツの採用が始まり、次に、一般企業でも、動画の採用が進んでいく。いずれは、B2C、B2B、Eコマース、教育、政府系サイトなど、すべての組織、すべてのビジネスで動画が使われるようになるだろう」と述べた。

 さまざまな種類の会社・企業で動画利用が進んでいけば、多用なニーズに対応していく必要がある。「このためにフレキシブルなプラットフォームを作るのをミッションとしてきた」(アレイア氏)。

 アレイア氏は、重要なストラテジとして、「シンジケーション」と「オープンプラットフォーム」を挙げた。「シンジケーション(Syndication)」はテレビ業界などで使われる用語で、提携先に番組の販売を行うことを指す。

 「例えば、米Sony Musicのポータルサイトでは、自社サイトでビデオを公開するだけではなく、ポータルサイトやSNS、検索エンジンなどにもミュージッククリップを配信している。こうした動画コンテンツ配信が今後主流になっていく。このため、他社との連携も合わせて管理できるプラットフォーム構築に注力している。」(アレイア氏)

 もうひとつ重視するストラテジ「オープンプラットフォーム」については、APIやSDKをオープンに公開することで、コンテンツ配信を行う組織のための作り込みなど、ソリューションビジネス事業者との連携も重視しているという。

 米BrightcoveはSDKやAPIのGloval デベロッパプログラムを半年前に開始。GoogleやMicrosoftなどの大手企業をはじめ、SNS、アドサーバー事業者など、さまざまな企業が参加。新たなソリューションを創出しているという。

 具体的な例としてアライア氏は、ブライトコーブ日本法人の出資社でもあるJストリームが開発した携帯向けの動画配信ソリューションを挙げた。さまざまなキャリアや端末をサポートしており、「Brightcove 3」の利用企業はJストリームのソリューションを利用することで、PCと携帯電話への配信を行えるようになったという。

オープンプラットフォームはBrightcoveの重要な戦略のひとつ米SonyMusicサイトを例に挙げ、シンジケーションの重要性を説明日本国内での「Brightcove 3」プラットフォームを利用しての携帯電話への配信ソリューションは、Jストリームが開発、提供可能だという
デモを担当した米Brightcove社マーケティング担当副社長のJeff Whatcott(ジェフ・ワトコット)氏。日本語が堪能で、デモも流ちょうな日本語で管理画面で、すべての動画を一覧表示したところ動画プレビュー画面。プレビューしながら静止画キャプチャがとれる
動画再生プレーヤーは、10種類ほどのテンプレートが準備されており、枠の色やロゴの配置などが設定できる動画のアップロード画面。MPEGはもちろん、WMV、Flash、QuickTimeなどほとんどのフォーマットに対応。指定した配信フォーマットに自動変換される日本語版30日間無償評価用トライアルを提供、利用する前に使い勝手などを確認することができる

(工藤 ひろえ)

2009/7/14 16:50