日本HP、BIの全体最適化を支援する新たなBIコンサルティングサービス

BI導入の計画立案から導入後の戦略的活用までをサポート

HP BIソリューションポートフォリオ

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は7月14日、より効果的なBI(ビジネスインテリジェンス)活用を促進するためのコンサルティングサービスを体系化すると発表した。BI導入の計画立案から導入後の戦略的活用までをサポートする、一貫した新サービスを提供開始する。

 新サービスとして提供するのは、「BI戦略と管理サービス」「エンタープライズデータ管理サービス」「パフォーマンス管理と分析」の3分野でのコンサルティングサービス。米HPでは、2006年にBI専業コンサルティングファームの米Knightsbridge Solutions(以下、Knightsbridge)を買収しているが、今回提供するサービスは、両社の持つ経験値とメソドロジーを融合し、BIコンサルティングサービスのポートフォリオを新たに体系化したもので、全世界で2800人以上に拡大したBIリソースを生かして展開していく。

 HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 BIS事業本部 事業本部長の山田太氏は、新サービスの狙いについて、「国内の企業においてもBIに対する認識が急速に高まっているが、その背景には、BIが思うように構築できていない現状があると考えている。特に現在は、多くの企業が全社的な情報共有とより戦略的なBI活用を目指しており、事業部門ごとに乱立し、部分最適化されたBIシステムの統合に向けて、BI基盤間のマスターデータの不整合やデータ品質の悪さ、情報に対するガバナンスの問題といった課題を抱えている。こうした課題に対応するため、以前から提供しているBIプラットフォームに、今回新たに体系化したBIコンサルティングサービスを加え、エンドトゥエンドのBIソリューションを提供することでBIの全体最適化をトータルで支援していく」と述べた。

 各サービスの特徴としては、「BI戦略と管理サービス」では、中長期的な全社ビジネス戦略をベースに、ビジネス部門の要求と情報システムの整合性をとりながら、HPが開発したBI成熟度モデルを活用したアセスメント、およびそれに基づく改善計画(BIマスタープラン)の策定を行う。このサービスでは、顧客のビジネス戦略に則したBI推進プランを概要的、詳細的に記した2つの「マスタープラン」と、重点を置くべき改善項目、組織とニーズの両方の観点からのBIツール評価、BIを推進するために必要な組織への提案などが含まれる。

BI成熟度モデルによる現状の理解BI成熟度モデル診断結果の活用効果的かつ有効なBI実行計画を立案するマスタープラン

 「エンタープライズデータ管理サービス」では、各事業部門や拠点ごとのBI導入にともなう情報のサイロ化を解消し、複数の組織をまたがった全社レベルでのデータ統合を実現するとともに、企業情報基盤としてのBI構築を支援する。具体的には、複数のシステムに存在するマスターデータを共通的に管理可能にする「マスターデータ管理」を中核に、「情報品質管理」、「情報戦略とガバナンス」の3つのサービスを提供する。

 このうちマスターデータ管理サービスは、組織や業務システム間で扱う共通のマスターデータの一貫性を保つため、その収集、管理、保管のプロセスを定義し、必要なシステムを構築するもの。情報品質管理サービスでは、情報の高い品質を維持するために必要な組織、プロセス、手順と、データの不具合を継続的に発見、監視、報告、改善するためのシステム的なアーキテクチャを定義する。そして、情報戦略とガバナンスサービスでは、データの品質、可用性、整合性、監視性、機密保持性の維持を行う社内組織と、役割、運用の原理原則を定義することで、複数部門間のデータ管理の重複排除、変化に対応する柔軟性の確保、情報透過性の向上を実現する。

 「パフォーマンス管理と分析」では、組織がさまざまな視点からパフォーマンスを管理するために必要な指標の策定、分析のための仕組みを構築する。パフォーマンス管理に必要な指標は、ビジネスのスタイルによって異なるが、それぞれのビジネススタイルにあった指標の設定支援を行う。

HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 BIS事業本部 BIソリューション部 シニア・アーキテクトの羽田宏氏
サービスの品質を支えるツール群

 HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 BIS事業本部 BIソリューション部 シニア・アーキテクトの羽田宏氏は、これらBIコンサルティングサービスの日本での展開に向けて、「日本市場では、まずは金融サービス、通信・メディア、小売り・製造・流通の3つの業界をターゲットにサービスを展開する。特に金融サービスでは、リスクマネジメントやコンプライアンス、顧客分析への適用、通信・メディアでは、サービス保証分析、運用最適化、顧客価値管理への適用、そして小売り・製造・流通では、サプライチェーンの可視化、キャンペーン管理、マーチャンダイジングへの適用を提案していく」と説明した。

 また、BIコンサルティングサービスを展開する上での同社の優位性について、「当社は、BI/DWH(データウェアハウス)に対する深いコンサルティング経験を持つとともに、ハードウェアからソフトウェア、サービスまでワンストップでソリューション提供できるBIに特化したIT技術を備えている。そして、戦略パートナーとの協業によってベスト・オブ・ブリードのソリューションを提供できる。さらに、BI構築の方法論をツール化したHP Global Method for Master Plan、およびグローバル・デリバリ・リソースを最適活用することで、高品質なBIコンサルティングサービスを提供できることも大きな強み」(羽田氏)であると強調した。


(唐沢 正和)

2009/7/14 17:40