日立、2009年第1四半期の連結決算を発表-純損失は826億円


執行役副社長の三好崇司氏

 株式会社日立製作所(以下、日立)は7月28日、2009年度(2010年3月期)第1四半期の連結決算を発表した。

 それによると、売上高は前年同期比26%減の1兆8929億円、営業損失は前年同期から1282億円悪化した505億円の赤字、税引前損失は同1644億円悪化した808億円の赤字、当期純損失は同1142億円悪化し、826億円の赤字に転落した。それでも、執行役副社長の三好崇司氏が「当初の計画値よりは上ぶれしている」と述べたように、多少回復はしているという。

 情報通信システムは、売上高が前年同期比21%減の4716億円、営業利益が同86%減の32億円。内訳は、ソフトウェア/サービスの売上高が、前年同期比12%減の2379億円。そのうち、ソフトウェアが同7%減の353億円、サービスが同13%減の2026億円。ハードウェアの売上高は同28%減の2337億円で、さらに細かく見ると、ストレージは同31%減の1349億円、サーバー(汎用機とUNIXサーバーなど)が同41%減の121億円、PC(ビジネスPCとPCサーバーなど)が同37%減の70億円、通信ネットワークが同8%減の321億円となっている。

 「IT投資が非常に厳しい状況であり、また金融業界の大規模システムが一巡して、ソフト、ハード、サービスともに売り上げが減少した」(三好氏)影響が大きかった。また、売上高が減少した結果、利益も減少している。ストレージについても、需要の低迷や為替の影響によって前年同期を下回った。HDDも赤字となっているが、次四半期は黒字に転じる見込みという。

 電子デバイスは、売上高が前年同期比33%減の1898億円、営業損失は71億円の赤字。日立ハイテクが半導体製造などで厳しい状況だったことに加え、ディスプレイも厳しく、赤字で終わった。ただし、「6月からはディスプレイが海外の携帯向けなどで堅調に推移しており、第2四半期は黒字の見通し」(三好氏)とした。

 デジタルメディア・民生機器は、売上高が前年同期比28%減の2412億円、営業損失は134億円の赤字。空調関係、産業部門の投資が少なく苦戦したほか、薄型テレビで海外の販売チャネルを大幅に絞ったため、減収となっている。営業損益は構造改革などの影響で前年同期よりは改善した。

 このほか、電力・産業システムは、売上高が前年同期比20%減の6571億円、営業損失が168億円の赤字。高機能材料は、売上高が同40%減の2726億円、営業損失が25億円の赤字。物流およびサービスが、売上高が同27%減の2130億円、営業利益が同35%減の25億円。金融サービスは、売上高がほぼ前年並みの922億円、営業利益が同63%減の23億円となった。

 なお、営業損益は当初計画を上ぶれしているものの、「下期の状況が不透明であることもあり、上期、年度ともに業績見通しは変更しない」(三好氏)としている。


(石井 一志)

2009/7/29 00:00