日本オラクル、インメモリDB「TimesTen」新版-アプリ高速化を容易に実現


インメモリ・データベースキャッシュによるアプリケーション高速化
米Oracle リアルタイム&エンベデッド データベース開発担当バイスプレジデントのマリーアン・ニーマット氏

 日本オラクル株式会社は8月4日、インメモリ・データベース製品の最新バージョン「Oracle TimesTen In Memory Database 11g」と、「Oracle Database 11g」のオプションであるデータベース・キャッシング製品「Oracle In-Memory Database Cache 11g」を8月7日より順次出荷開始すると発表した。

 Oracle TimesTen In Memory Databaseは、アプリケーションサーバー上の物理メモリにデータベースを配置することで、高速なデータベース処理を実現する超高速インメモリ・データベース製品。データの永続性や復元性を備え、スタンドアロンで動作するリレーショナルデータベースとなっている。今回の最新バージョンでは、パフォーマンス、拡張性、可用性の向上を図るとともに、Oracle Databaseとの統合を強化するなど、大幅な機能拡張を行っている。

 主な機能拡張は、1)Database Cache Gridの搭載、2)PL/SQL、Oracle Call Interface(OCI)、SQL埋め込み言語Pro*Cのサポート、3)Oracle ClusterwareとOracle Data Guardの統合、の3点。

 米Oracle リアルタイム&エンベデッド データベース開発担当バイスプレジデントのマリーアン・ニーマット氏は、機能拡張のポイントについて、「新テクノロジーのDatabase Cache Gridを搭載することで、ビジネス要件にあわせて段階的にインメモリ・データベースキャッシュを拡張することが可能となった。また、PL/SQL、OCI、Pro*Cのサポート追加によって、既存のアプリケーションをほとんど改修することなく、インメモリ・データベースに対応し、容易に高速化を図ることができる。そして、Oracle ClusterwareおよびOracle Data Guardの統合により、自動フェイルオーバー機能などを提供し、さらなる高信頼性と高可用性を実現する」と説明した。

 具体的には、Database Cache Gridでは、サービスを停止することなく、キャッシュグリッドノードをオンライン上で追加および削除することが可能となった。これにより、インメモリ・データベースキャッシュの段階的な拡張を実現する。また、データの保存場所を透過的にすることで、アプリケーションがデータの保存場所を把握する必要がなくなるため、各キャッシュグリッドノードは同一サーバー上のローカルメモリやその他のキャッシュグリッドノード、バックエンドのOracle Databaseからデータにアクセスすることが可能となった。さらに、高い可用性とOracle Databaseとのデータ同期化を備えており、キャッシュノード間におけるトランザクション一貫性を提供する。

新機能Database Cache Gridの特徴-ビジネスの成長に応じた拡張新機能Database Cache Gridの特徴-透過的なデータ配置新機能Database Cache Gridの特徴-トランザクション一貫性の保証
PL/SQL、OCI、Pro*Cを新たにサポート
日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長の三澤智光氏

 次に、PL/SQL、OCI、Pro*Cをサポートすることで、既存のOracle Databaseを使用したアプリケーションをOracle TimesTen In Memory Database上で動作させる際に、アプリケーションの変更を最小限に抑えることができるようになり、アプリケーションのレスポンスおよびスループット向上を容易に実現可能とした。

 Oracle Clusterwareとの統合では、インメモリ・データベースとそのアプリケーションを自動的にフェイルオーバーする機能を提供。また、Oracle Data Guardとの統合では、同期フィジカルスタンバイ構成をサポートすることで、障害時のデータ損失をゼロに抑え、ダウンタイムを最小化することができる。これにより、アプリケーション層、データベース層をまたがるクロス・ティアの高可用性とともに、極めて高い信頼性を実現する。

 同時に出荷開始するOracle In-Memory Database Cache 11gは、Oracle Databaseのオプション機能として提供するもので、Oracle Databaseのデータをキャッシュして処理をオフロードする超高速のインメモリー・データベース・キャッシュ製品。Oracle In-Memory Database Cache 11gのすべての機能とOracle Databaseとのデータ連携機能を備えている。

 日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長の三澤智光氏は、新製品の発表にあたり、「今後本格化するクラウド時代では、大規模・集中化された環境で情報システムが動かされるようになってくる。その際、重要になるのが、高速のパフォーマンスをいかに保証するか。その意味で、今後、インメモリのデータベーステクノロジーは、ますます重要になってくると見ており、今回の新製品に対しても大きな期待をしている。本年度、パートナーとの協業による拡販展開を推進するとともに、アセスメントサービスも積極展開し、多くの顧客に新製品を提案していく」と意欲を見せた。

 プロセッサあたりのライセンス価格は、Oracle TimesTen In Memory Database 11g、Oracle In-Memory Database Cache 11gともに451万900円(税別)。なお、8月7日に出荷開始されるのは、Linux x86(32ビット/64ビット)、Windows(32ビット)、SPARC Solaris(64ビット)の各プラットフォームで、SPARC Solaris(32ビット)、HP-UX Itanium(32ビット/64ビット)、AIX Power(32ビット/64ビット)については2009年秋の出荷開始を予定している。


(唐沢 正和)

2009/8/4 19:41