VMworld 2009開幕-vCloud Expressなどクラウド関連サービスを強化


 米VMware主催の仮想化関連イベント「VMworld 2009」が8月31日~9月3日(米国時間)まで米サンフランシスコで開催されている。9月1日には、米VMwareプレジデント兼CEOのポール・マリッツ氏が登壇し、vCenter Product Familyなどを発表した。


データセンターの複雑性を解消するvSphere 4

米VMwareプレジデント兼CEOのポール・マリッツ氏
仮想化の発展状況と同社の取り組み

 マリッツ氏はまず、ITの複雑性を解消することの重要性をあらためて強調。「仮想化は移行可能な技術であり、データセンターの複雑性を解消することができる。仮想化は、メンテナンスにIT予算の7割を費やしていることの解消につながるもの」と、ビジネスを機敏にするために仮想化が必要であると述べた。

 「データセンターの複雑性は仮想化ソフトであれば、VMwareであれ他社の製品であれ解決できる。ただし、既存のアプリケーションを用いて、スケーラブルにでき、管理を容易にできるのはvSphereだ」と、他社の仮想化製品との違いを強調した。

 マリッツ氏はVMware製品の進化を振り返り、「サーバー統合から始まり、インターナル/エクスターナルクラウドを実現する製品に進化してきた。さらに各種製品により操作の自動化までを実現していく」と述べた。

 まず紹介したのは、ベースとなるvSphere 4。基本性能を向上しクラウド環境での利用に最適化されたvSphere 4について、「多くのお客さまがvSphere 4へのアップグレードを計画している」と、高い評価が得られていると紹介。エコシステムも強化しており、「認証サーバーは1000を超え、ストレージも1000、ネットワークは300を超える製品がvSphereに対応している。また対応アプリケーションも200以上あるなど、強固なエコシステムを構築している」とした。


vSphereが提供する機能vSphere 4ではハイパーバイザーの性能も大幅に強化vSphere 4の導入状況

 このvSphere 4の管理性を強化するための製品群は、「vCenter Product Family」として再定義された。「VMware vCenter AppSpeed」「VMware vCenter CapacityIQ」「VMware vCenter ConfigControl」「VMware vCenter Site Recovery Manager」のインフラ管理製品、それに「VMware vCenter Lifecycle Manager」「VMware vCenter Chargeback」「VMware vCenter Lab Manager」のサービス配信管理製品などで構成される。


vCenter Lab Manager。仮想マシンを手軽に展開できるvCenter Chargeback。利用している仮想マシン単位で課金情報を表示できる

vCloud Expressなどクラウド関連サービスを発表

 次に紹介したのは、クラウドコンピューティングを実現するvCloudイニシアチブの取り組み状況。vCloud対応環境に対しては、VMware Virtualizedとして認証。また、新たな取り組みとしてvCloud Expressも発表された。

 vCloud Expressは、サービスプロバイダー向けに同社が提供するCompute as a Serviceの基盤。基調講演では、Terremark社が提供するvCloud Expressをデモを交えて説明。簡単なステップで、手軽にコンピュータリソースが使える様子が紹介された。


vCloud Express。クレジットカード情報を入力するなど、シンプルな手続きで利用可能OSを選択するだけで仮想マシンの作成は完了使用するリソース量に応じた価格体系を採用

 また、クラウド環境での相互運用性を実現するためのvCloud APIも発表。標準化団体のDMTF(Distributed Management Task Force)にも提出するなど、オープンな取り組みであると強調した。


SpringSource買収でPaaSベンダーに

SpringSource買収によりPaaS(Platform as a Service)を実現

 基調講演では、8月に買収を発表したSpringSourceも紹介された。SpringSourceは、Java開発フレームワークのオープンソースプロジェクト「Spring Framework」の開発者らが創業した企業。Spring Frameworkのほか、Webアプリケーションフレームワーク「Grails」、Java仮想マシン向けスクリプト言語「Groovy」、Webアプリケーションのモニタリングツール「Hyperic」などの製品を有している。

 マリッツ氏は、SpringSourceを買収することでエンタープライズクラスのJava (Platform as a Service)を実現できると説明。同社製品とvSphereが連携して動作する様子などを紹介した。





(福浦 一広)

2009/9/2 07:00