ウチダスペクトラム、ソフト資産管理を包括支援するサービス「SAM N@VI」


ウチダスペクトラム代表取締役社長の町田潔氏

 ウチダスペクトラム株式会社は9月8日、企業のソフトウェア資産管理(SAM)を包括支援するサービス「SAM N@VI」を提供開始した。

 SAM N@VIは、SAMのライフサイクルをサポートする総合的サービス。国際標準「ISO/IEC 19770-1」、および同標準に準拠した「ソフトウェア資産管理基準 Ver2.0」に基づき、SAM業務をPDCAサイクルに定義した上で、顧客の課題とゴールに応じた計15種のサービスを組み合わせて提供するもの。

 ソフトウェア資産管理基準 Ver2.0とは、SAMの実務ノウハウ・Tip集として13個の管理目標を定めたもの。1)初期・場当たり的な段階、2)反復可能な段階、3)定義されている段階、4)管理されている段階、5)最適化されている段階、と企業の成熟度を5段階に評価する「成熟度モデル」も用意されている。

 新サービスではこうしたモデルに基づいて、SAMプロセスに有効なコンサルティング・トレーニング・ツールが体系化されており、単なるツール提供にとどまらない広い視野での支援を行うのが特徴。ウチダスペクトラム代表取締役社長の町田潔氏によれば、「最低限、成熟度モデルで合格ラインとされるレベル3への到達をサポートするのが目的だ」という。

サービスメニュー

 サービスメニューは以下の通り。

  1. 現状分析から解決策立案までを行う「コンサルテーションサービス」
  2. SAMに関する最新情報を提供する「ニュース配信サービス」
  3. ユーザー事例や運用上のノウハウの共有をサポートする「ユーザー会支援」
  4. SAM実務に関する情報を集約した「SAM業務ポータル」
  5. SAMについて時間・場所を選ばず受講できる「eラーニング」
  6. 専門家の講義を受けられる「個別セミナー」
  7. SAMに関する問い合わせに答える「Careサポートサービス」
  8. SAMの仕組みを短期間で構築する「IT資産管理構築サービス」
  9. 所有ライセンスと契約状況を管理するレポートサービス「My Asset Reporter」
  10. ソフト購入プロセスの標準化を行う「ウェブ・プロキュアメント・システム」
  11. グローバル規模でソフト資産の簡素化・効率化を図る「包括契約運用支援サービス」
  12. ライセンスの過不足を把握する「GAP分析支援サービス」
  13. ソフトのインストール状況を把握する「棚卸支援サービス」
  14. 現状分析と改善点の提示を行う「SAMアセスメントサービス」
  15. 管理体制の整備・運用状況を実際に監査する「SAM監査」

 従来より、ウチダスペクトラムが提供してきた単体サービスを、PDCAサイクル上に定義したことに加え、一部のサービスについては、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)やデロイト トーマツ リスクサービス(DTRS)と協業して提供する。

 ACCSが担当するのは、5)と6)。長年、ソフトウェアの違法コピー問題に取り組んできた観点から、SAMの運用にかかわる教育面をサポートする。ACCS専務理事の久保田裕氏は「違法コピーの問題は深刻だが、企業がSAMをしっかりやれば著作権侵害が自然と減少する側面がある。こういう社会で、ベンダーから違法コピーはダメというのは簡単だが、著作権を守りながら、なおかつソフトウェアを有効活用してもらいつつ、企業が更なる知識創造できるようにすることが重要となっている。そのためには、法・電子技術・教育の一体化が必要。今回の新サービスはそういう意味で非常に期待できるもので、当会も教育面で支援することとなった」と説明。

 一方、DTRSが担当するのは、PDCAの計画・見直しプロセスにおいて、現状分析から解決策立案を行う 1)だ。DTRS代表取締役社長の久保恵一氏は、「SAMはそう簡単なものではない。なぜならソフトウェアは費用として処理されるためだ。資産とならないので“管理する”という観点が経理部に欠けていることがある。こうした場合、単なるツールとしてのSAMソフトを導入すればいいというわけではなく、まず会社の購買と結びつける在庫管理が必要。また無形資産として、総務部も関与して管理する必要がある。さらにユーザーもひも付けるとなると、人事部が果たすべき役割も出てくる。当社では、コンサルを通じて、こうしたノウハウの提供を行っていく」と述べている。

ACCS専務理事の久保田裕氏DTRS代表取締役社長の久保恵一氏
販売チャネル

 どのサービスを利用するかは、こうしたコンサルにより、企業の現状と成熟度モデルのどの段階までレベルアップしたいかによって検討されることとなる。価格例としては、レベル1「初期/場当たり的な段階」からレベル3「定義されている段階」までレベルアップする場合が約2000万円から(PC5000台の場合)。レベル2「反復可能な段階」からレベル3までレベルアップする場合が500万円から(同)。レベル3からレベル4「管理されている段階」までレベルアップする場合が200万円から(同)。

 販売は、ウチダスペクトラムと親会社の内田洋行が行う。「大企業に強いウチダスペクトラムに加え、文教・公共・中堅を内田洋行がカバーすることで、あらゆる企業へ訴求する」(内田洋行 取締役専務執行役員の大久保昇氏)とのこと。






(川島 弘之)

2009/9/8 17:19