シスコ、ビジネスビデオソリューションのポートフォリオ拡充

企業のコラボレーションを促進する新製品、新機能を提供

Cisco TelePresence製品のラインアップ
エンタープライズマーケティング シニアマネージャーの北川裕康氏

 シスコシステムズ合同会社は9月10日、企業のコラボレーションを促進するビジネスビデオソリューションのポートフォリオを拡充し、テレプレゼンス製品のラインアップ強化を図るとともに、ビデオ会議・Web会議機能を拡張すると発表した。

 今回のビジネスビデオソリューション拡充にあたり、まずエンタープライズマーケティング シニアマネージャーの北川裕康氏が、同社のビデオ会議ソリューション戦略について説明した。北川氏は、「今年6月に行った意識調査によると、国内企業の半数近くがすでにビデオ会議やWeb会議を導入していることがわかった。一方で、ビデオ会議やWeb会議の問題点・懸念としては、画像や音声の品質が低い、導入・保守費用が高い、導入設定や運用管理が難しいといった回答が全体の半数近くを占め、有効に活用できていない企業が多いことも浮き彫りになった」と国内ビデオ会議市場の現状を分析。

 この調査結果を基に、企業がビデオ会議を活用するための要件として、1)相互運用性、2)モビリティ、3)簡単操作&遅延なき通信、の3点を挙げ、「当社では、この3つの要件を満たすビジネスビデオソリューションに注力するとともに、テレプレゼンス製品を中核にしたユニファイドコミュニケーションよって企業組織のニーズに最適化したコラボレーション環境を提供することで、企業の生産性を高め、ビジネスの変革を支援していく」との考えを示した。

 同社では現在、企業のコラボレーションを促進するソリューションとして、テレプレゼンス製品「Cisco TelePresence System」、SaaS型Web会議システム「Cisco WebEx Meeting Center」、音声とデータを統合する「Cisco Unified Communication」などを提供しているが、今回、これらソリューションのポートフォリオをさらに拡充した。


ビデオを企業で活用するための3つの要件シスコの実現するユニファイドコミュニケーション

 「Cisco TelePresence System」のラインアップ強化では、「Cisco TelePresence System 1300」「Cisco TelePresence System 1100」の2製品を新たに追加。「Cisco TelePresence System 1300」は、6人まで参加可能な中規模会議向け端末で、マルチカメラを実装し、65インチサイズスクリーンによって等身大のビデオ会議を実現する。また、テレビ会議用の多地点接続装置(MCU)「Cisco Unified Video Conferencing」およびWeb会議システム「Cisco WebEx Meeting Center」とテレプレゼンスミーティングでの連携が可能となっている。一方、「Cisco TelePresence System 1100」は、2人程度までの少人数(小規模会議室)向けの端末で、シングルカメラを実装。オプションキットにより「Cisco TelePresence System 1300」にアップロードすることもできる。このほか、「Cisco TelePresence System」によるテレプレゼンスを簡単かつ高品質に録画できるシステム「Cisco TelePresence Recording Server」も新たにリリースする。


Cisco TelePresence System 1300の概要Cisco TelePresence System 1100の概要Cisco TelePresence Recording Serverの概要

 ビデオ会議機能の拡張では、テレビ会議用MCUの「Cisco Unified Video Conferencing」において、自社製品接続と他社ビデオ端末との連携を実現するとともに、上位モデルとして「Cisco Unified Video Conferencing 5000シリーズ」を投入。「5000シリーズ」では、12MbpsまでのフルHDビットレートでの話者分割やH.264 SVCコーデック、テレプレゼンスおよびWeb会議システム「Cisco WebEx Meeting Center」とのHD接続にも対応する。

 Web会議システム「Cisco WebEx Meeting Center」の機能拡張としては、今回、スマートフォンの3G回線または無線LAN回線に対応。これにより、外出先からも、音声だけでなくプレゼンテーションなどの会議資料に目を通しながら会議に参加することが可能となった。対応するスマートフォンは、Apple iPhoneとiPod Touchで、今後BlackBerry BoldおよびWindows Mobileにも対応する予定。


Cisco Unified Videoconferencing 5000シリーズの概要多様な端末と相互接続したビデオ会議のデモ画面
プロダクトマネージメント ビジネスディベロップメントマネージャーの渡邊靖博氏

 プロダクトマネージメント ビジネスディベロップメントマネージャーの渡邊靖博氏は、「今回のポートフォリオ拡充では、製品ラインアップの強化とともに、Web会議システムと携帯端末との連携、および当社の既存会議システムと他社会議システムとの接続など、あらゆるビデオ会議を統合して運用可能にする相互運用性を実現した。これにより、社内のコラボレーションだけでなく社外、さらにはオフィス外まで、場所を問わず、快適なコラボレーション環境を提供する」と、ポートフォリオ拡充による同社ビジネスビデオソリューションの優位性を述べた。

 なお、発表会では、実際に「Cisco TelePresence System」を活用したビデオ会議システムのデモンストレーションが行われた。「Cisco TelePresence System」を中核に、「Cisco Unified Video Conferencing」を介して、PCソフトクライアントやSDビデオ会議専用機、FOMA携帯電話などさまざまな端末との相互接続を行うとともに、新たに実現した「Cisco WebEx Meeting Center」によるスマートフォンとの相互接続も披露した。



(唐沢 正和)

2009/9/10 17:19