日本SGI、次世代データセンターサーバー「CloudRack」など提供

Rackableによる米SGI買収後、初の製品投入

代表取締役社長の佐藤年成氏

 日本SGI株式会社は9月16日、次世代データセンターサーバー「CloudRack」、拡張性に優れたエンタープライズサーバー「Foundation Rack」、コンテナ型データセンター「ICE Cube」を販売開始すると発表した。

 米SGIは4月1日に連邦破産法11条(Chapter 11)を申請し、米Rackable Systems(以下、Rackable)の買収提案に合意。統合後、社名をSilicon Graphics Internationalに変更し、SGIブランドで事業を再開している。新生SGIでは「『HPC』『Visualization』『Media&Archive』の旧3事業に、Rackableの『DataCenter』事業を加え、4本柱で展開する方針」(代表取締役社長の佐藤年成氏)とのことで、今回の発表は、DataCenter分野の製品群を改めて提供開始するとしたもの。

CloudRackシリーズの特徴

 CloudRackシリーズは、次世代データセンターサーバー製品群。HPCなどワークグループクラスタに最適な「CloudRack X2」と、次世代データセンターにおける大規模スケールアウトにも対応する上位機種「同 C2」を用意し、「ワークグループクラスタから台規模スケールアウトデータセンターまで網羅する省電力・高密度サーバー」(データセンタービジネス担当部長の増月孝信氏)として訴求する。特に前者は日本市場へ初めて投入する新製品となる。

 搭載可能なコア数は、CloudRack X2が最大216コア/台、同 C2が最大912コア/台。前者は標準19型ラックに3段積みできるのに対し、後者は24型ラック製品として提供される。

 特徴は、独自の配電テクノロジ「Power XM」を採用する点で、「電力変換時に発生する損失を削減し、99%の配電効率を実現した」(増月氏)。筐体に格納するサーバートレイからは冷却ファン、電源、カバーを排除し、保守性の向上、障害ポイントの排除を実現。代わりに筐体背面に冷却ファンと電源をまとめて実装することで、「ファンの数を削減しつつ、回転速度を自動的に調整する機能により、冷却効率を大幅に高めている」(同氏)。

 サーバートレイでは、CPU・メモリ・HDD・マザーボードなどの構成を自由に選択できるBTO方式を採用。ニーズに応じた柔軟性を実現している。

CloudRack X2CloudRack C2一般的な3相電源では配電バランスが不均等になり、過度の電力を必要とする場合があるという。Power XMでは、電源プールを設けることで配電バランスを均等にし、電力を最適化する

サーバートレイからカバー、ファン、電源を排除筐体背面に冷却ファンと電源を実装サーバートレイのBTO例

Foundation Rackの特徴
ICE Cubeの特徴

 一方、Foundation Rackは、拡張性に優れたエンタープライズサーバーで、22U/36U/40U/44Uのラックサイズを用意する。AMD/インテルCPUの選択をはじめ、メモリ・HDD・PCIなどの要件に細かく対応するのが、CloudRackシリーズとの違い。奥行き半分のサーバートレイ設計と、Back-to-Back(背面向かい合わせ)のラックマウント方式により、通常の2倍の高密度を実現したのが特徴だ。サーバートレイの背面同士を向かい合わせるため、熱処理はラック中央の通風空間より上部へ廃熱する設計となっている。

 ICE Cubeは、コンテナ型モジュラーデータセンター製品。40m×8mのコンテナ内に最大1540Uの収容スペースを確保し、最大2万2400コア、または11.8ペタバイトのストレージを搭載可能となっている。

 Rackableとの統合で、SGIブランドとしては初のDataCenter事業となる。「ノウハウなど学ぶべきことは多いが、省エネ性能を武器に、データセンターの消費電力量やCO2排出量といった課題を支援したい」と佐藤社長。販売体制として、新規のデータセンター事業者に対しては、営業・マーケティング・エンジニアで専任体制で臨み、企業内クラウドサービスに関しては既存営業体制を整える。また、直接・間接販売に導入・運用支援といった付加価値サービスを順次追加していく方針。こうした販売戦略の下、データセンター事業者やプライベートクラウド市場を対象に、初年度8億円、3年後に40億円の売り上げをめざす。




(川島 弘之)

2009/9/16 17:33