アドビ、SaaS形式のリッチコンテンツ作成プラットフォーム「Scene7」

画像の拡大・回転から紙カタログの電子化までSaaSで提供

 アドビシステムズ株式会社は9月17日、オンデマンド型メディアパブリッシングプラットフォーム「Adobe Scene7」の国内でのサービスを開始した。

 Scene7は、ダイナミック表示可能な画像やビデオ、オンラインカタログなどを作成できるSaaS形式のリッチメディア配信プラットフォーム。特別な知識がなくても、ビデオや画像、音声などを組み合わせたWebコンテンツを作成できるのが特長。Adobe FlexベースのWebユーザーインターフェイスを採用しており、ドラッグアンドドロップなど直感的・視覚的に操作できる。初心者でも手軽に作業できるよう、スタートガイドやチュートリアルビデオ、Webトレーニングを用意。カスタマイズ可能なライブラリも用意されているので、好みのデザインを選択して作成することもできる。

米Adobe Systems、Scene7メディアソリューションズ部門 プロダクトマーケティング担当シニアディレクターのシーラ・ダルグレン氏

 Scene7の基本的な機能といえるのが、ダイナミックイメージング。Scene7に画像を登録するだけで、自由自在に拡大したり、色やパターンを変更したり、360度表示を可能にしたり、といったダイナミックな表現が可能になる。

 米Adobe Systems、Scene7メディアソリューションズ部門 プロダクトマーケティング担当シニアディレクターのシーラ・ダルグレン氏は、「一般的なショッピングサイトの場合、サムネイル状の小さな画像と拡大画像の2枚くらいしか用意されていない。そのため、ディテールを確認したくても確認できない。Scene7のダイナミックイメージングなら、各パーツを細かく確認できるくらいまで拡大できる。実際にScene7を採用した企業では、顧客満足度が12ポイントも向上するほど」と、顧客満足度向上に効果的な機能であると紹介する。


ダイナミックイメージングのサンプル質感などが確認できるくらいまで拡大可能。拡大率などもユーザー側で自由に変更できる

ダイナミックイメージングでは色を変更することも可能選択した色に変更できる色のほか、パターンも変更できる

 eカタログは、紙のカタログをデジタル化する機能。PDF化されたファイルをScene7に登録することで、ページをめくるといった操作やページ内の拡大縮小表示といった機能を付加できる。また、ページのサムネイル表示などにも対応している。「利用企業のサイトイメージを生かしたまま、eカタログをサイト内で表示することも可能。また、eカタログ内にコメントを追加するといった機能も用意されている」(ダルグレン氏)と紹介する。


eカタログの利用例紙のカタログのような感覚でページをめくることができるもちろん拡大して詳細を確認することもできる

 これらの応用的な使い方として、ビジュアルコンフィグレーターという機能も用意されている。これは、室内のイメージに合わせて家具の色を変えたり、ラグを追加したりと、ユーザー自身でさまざまなカスタマイズが行えるもの。家具のように高額な商品の場合、実際に配置したイメージを手軽にできるため、ユーザーにとってメリットの大きな機能となっている。

 このほか、さまざまなビデオフォーマットに対応した「eビデオ」や、オンデマンドでPDFを作成できる「ウェブtoプリント」、パーソナライズされたメール送信機能などが用意されている。

 Scene7は、中小企業を対象とした「Small Businessエディション」とリッチメディアソリューションを大規模導入する企業を対象とした「Enterpriseエディション」を用意。年間契約のサブスクリプション形式で提供され、価格はコンテンツの配信数や利用帯域などによって設定される。「アメリカの場合で、月額数百ドル程度から利用していただいている」(ダルグレン氏)と、手ごろな価格で利用できると述べた。

 なお、英語のみではあるが、30日間利用できる体験版も用意されている。





(福浦 一広)

2009/9/18 14:06