日本IBM、構築期間を1/15に短縮可能なDWHアプライアンス
理事 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長の下垣典弘氏 |
Smart Analytics Systemの特徴 |
Smart Analytics Systemの構成内容 |
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は9月30日、データウェアハウス(DWH)アプライアンス「IBM Smart Analytics System V1.0」(以下、Smart Analytics System)を発表した。これを利用すると、DWHシステムを最短12日で構築できるという。価格は2億3000万円からで、出荷は同日より開始される。
Smart Analytics Systemは、サーバー、ストレージ、DWHに特化したソフトウェアを1つに統合したアプライアンス製品。IBMが長年蓄積したDWH構築とコンサルティングのノウハウをもとに、最適な構成をすでにチューニングされた状態で提供するため、最短では、従来の1/15にあたる12日間でDWHシステムを構築できるという。
理事 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長の下垣典弘氏は、「今の商流、データの中から統合した情報を経営に生かしたいというビジネスインテリジェンス(BI)のニーズが高くなっており、ITRによれば、2008年~13年のビジネスインテリジェンス(BI)市場については、年平均成長率が10%と予測されている。これは、IT業界の伸び率を見ても大変大きな伸び率であり、ビジネスニーズがあるから市場が伸びている」と話す。しかし、さらなる普及のためには、1)導入までに時間がかかりすぎる、2)システム規模の予測が困難、3)チューニングなどの運用管理が困難、といった課題があるという点を指摘。Smart Analytics Systemでは、それらをすべて解決できると強調する。
1)では、前述したように検証済みのアプライアンスとして提供することで導入期間を大幅に短縮しているほか、2)では、モジュール構成を採用しているため、キャパシティや機能面の要求に合わせて、1つ1つのコンポーネントを拡張できるという。また3)に対しても、ワークロードの識別・分類や実行優先度の制御といったワークロード管理や、チューニングを自動化する仕組みを盛り込むことで解決している。
加えて、BI機能を提供するモジュールが追加されている点も特徴で、ダッシュボード、レポーティングの機能や、従来はDWH構築後に別途作り込みを行ってきた多次元分析、データマイニングなどの高度な分析機能がすぐに利用可能になっているとした。
Smart Analytics Systemの具体的なサーバーハードウェアとしてはUNIXサーバーを、ソフトウェアコンポーネントはInfoSphere Warehouse、Cognos、Tivoliなどを利用するが、ハードウェア面では、DB2のボトルネックを解消する特殊な機構も搭載しているという。ラインアップとしては、最小4TB(ユーザー領域2TB)から最大200TBまで、データサイズに応じた6種類をあらかじめ用意する。それぞれ、ソフトウェア、ハードウェアに加えて、基本導入から性能チューニング、高可用設計、総合テスト、初年度保守サポートなどを含めてパッケージ化されており、価格は2億3000万円から。下垣氏は、「このハードが入ってる、ソフトが入ってるというのではなく、それらがベストチューニングされ、高機能化されて、短時間で届けられることが重要だ」と述べ、アプライアンスとして提供されることのメリットを強調している。
日本IBMでは、「大きな企業では、DWHがばらばらに存在し、そのサイジングが大きいことも多いため、即効性、拡張性のあるソリューションを求めているお客さまがたくさんいる」(下垣氏)ことから、年内は大企業を中心に提案していく考え。その後、パートナー向け説明会などを順次開催し、それらとの協業を進めて、大企業以外の領域も狙っていくとした。また、ビジネスの分析・最適化に関するコンサルティングを提供する「Business Analytics&Optimization」事業部門とも連携し、案件発掘を行っていくとのこと。
2009/9/30 14:09