日本ユニシス、イントラ感覚で利用可能な企業向けクラウドサービス


クラウド型iDC基盤の拡張とそれに伴う新サービス
ICTサービス本部 副本部長の庭山宣幸氏

 日本ユニシス株式会社は10月7日、クラウド型iDC基盤の拡張と、それに伴う新サービスの拡充を発表した。

 同社は2008年10月より、パブリック型クラウドサービスとしてICTホスティングサービスを提供。これまでに30ユーザー・50システムが稼働している。同社ICTサービス本部 副本部長の庭山宣幸氏は、「既存ユーザーに聞いてみると、エンタープライズでクラウドサービスを利用する場合、自社で使う場合と同等の高速なネットワーク回線やイントラネットとしての利用ができないかという声を聞く。また、既存データのシステム移行環境のほか、さまざまなニーズに対応可能なストレージも求められている。そのほか、時間単位での課金というサービスに対するリクエストもあった」と、クラウドサービスに対してさまざまなニーズがあると紹介。今回の機能強化はこうしたニーズに応えるものとして提供するものとした。

 クラウド型iDC基盤の拡充では、東京のデータセンターに加えて、新たに北海道と大阪にデータセンターを構築。この3つのデータセンター間を密結合する高速ネットワークを構築することで、基盤の強化を図っている。

 この基盤を生かして提供されるのが「エンタープライズクラウド」。ユーザー企業の既存ネットワークと直接接続可能な形式がとれるのが最大の特長。これを利用することで、既存のIT環境をそのままクラウド環境に移行することができる。エンタープライズクラウドは11月より販売を開始する。

 また、専用線を設置するなどネットワーク環境構築に手間がかかっていた部分をパッケージ化した「WANアクセスパッケージ」も用意。回線およびネットワーク機器をセットにしたもので、100Mbps、10Mbps、共用ブロードバンド回線などから選択できる。提供は10月13日より。

 強化された基盤を用いたストレージクラウドも新たに用意。これは、複数のデータセンターを高速回線で結合し、顧客データを分散して保存できるストレージサービスとして提供するもの。利用者は意識することなく、DR化された環境を利用することができる。データセンターの開設にあわせて、12月より順次サービスを提供する。

 ストレージクラウドに関して、庭山氏は、「今後提供を予定しているサービスとして、秘密分散データストアサービス、超高速データストアサービス、WORM(Write Once Read Many)データストアサービスを予定している。秘密分散データストアは、3つのデータセンターに分割して保存するもので、1カ所で障害が起きても復号化できるほか、特定のデータセンターにあるデータだけをのぞいても解読不能にできるのが特長。超高速ストレージはストレージエリアを超高速化することで実現するもので、高速バッチ処理をクラウドでも行えるもの。WORMは監査用にデータの長期間保存に対応するもので、低価格で提供する予定」と、各種ストレージクラウドサービスを提供すると紹介した。

 このほか、時間単位での課金に対応した「ICTホスティングサービスCT」を11月1日から、日本ユニシスの各支店からクラウド環境にアクセス可能な「ICTサービスカフェテリア」を10月13日から提供する。


ネットワーククラウドの概要ストレージクラウドの概要

常務執行役員 ICTサービス部門長の角泰志氏

 同社常務執行役員 ICTサービス部門長の角泰志氏は、「エンタープライズがクラウドを利用するためには、ハイセキュリティ、ハイパフォーマンス。ハイボリュームな環境を実現することが重要。今回、これらを共用型のクラウドで実現できているのが最大の特長。今後は、ユーザーに対して、データセンターを意識させない自律型・適応型・自由形のICT環境を提供できるよう、現在開発を進めている」と紹介。「クラウドでは、AmazonやGoogleなどが目立っているが、われわれはエンタープライズ領域で日本最大のクラウド事業者になるべくがんばっていく」と、引き続き積極的に取り組む考えを示した。



(福浦 一広)

2009/10/7 13:10