Infoblox、ネットワークポートを“棚卸し”するアプライアンス「PortIQ」

サービスプロバイダ向けのDNSサーバーアプライアンスも

 Infoblox株式会社は10月8日、ネットワークポートの可視化を実現するアプライアンス「Infoblox PortIQ」シリーズと、サービスプロバイダ向けのDNSサーバーアプライアンス「Infoblox-1852-A」を発表した。

Infoblox PortIQシリーズInfoblox-1852-A

 PortIQシリーズは、ネットワークスイッチのポートを“棚卸し”し、その使用状況などを可視化するためのアプライアンス。ネットワーク上にスイッチが何台あるかという点は管理されていても、各スイッチの何ポートが使われ、どのくらい空きがあるのか、どのポートの先にどのデバイスが接続されているか、という点までをきちんと管理している企業は少ない。このため、「未承認のデバイスをユーザーがネットワークに接続するなど、セキュリティ上問題がある状況が生まれたり、使えるスイッチがあるのに不必要なスイッチを購入したり、といった問題が生じてしまう」(システムエンジニアの丸茂章太郎氏)という。

PortIQシリーズのメリット

 こうした課題を解決するため、きちんとした管理がなされている企業では、ネットワーク管理ソフトなどを利用しているケースも多い。しかし、接続されているデバイスの追跡などに多大な手間がかかってしまうため、スイッチのポート管理に特化した機能をアプライアンスで提供し、管理の自動化を実現するのが、PortIQシリーズの役割になる。具体的には、ネットワークスイッチの台数やポート利用の詳細などを把握でき、そうした情報に基づいてネットワーク配備の計画・メンテナンスを行うことで、設備投資の節約を実現する。また、デバイスが接続している場所の把握が可能なため、特定スイッチをメンテナンスする場合の影響範囲を容易に判定可能。無許可ネットワーク利用や、誤ってオープンにされているポートなどを把握し、迅速に排除することによって、セキュリティ上のリスクを減らすこともできる。

 対応するスイッチはSNMP v1/v2cをサポートし、CDPやLLDP MIBsに対応する製品。すでに、3Com、Cisco、Enterasys、Extreme、Force10、Foundry、HP、Nortelといったベンダーのスイッチは検証済みで、「国産ベンダーについても検証を進めている」(丸茂氏)とのこと。

 PortIQは単独でもアプライアンスとして動作するが、InfobloxのIPアドレス管理(IPAM)ソリューションと連携した利用も可能。スイッチ名、スイッチポート、VLAN名・ナンバー、リンクステータス、ポートの速度などの情報を、IPAMソリューションと連携させる機能を備えている。

 ラインアップは、2万ポートまでを管理可能な「1050-A-SME」、8万ポートまで対応する「1050-A」、32万ポートまで対応する「1550-A」、1550-Aの冗長電源対応版「1552-A」の4製品を用意。1050-A以上の3製品については、フル機能版「キャパシティマネージメントオプション」以外に、IPAMソリューションと連携機能のみを備えた廉価な「IPAMコネクターオプション」も利用できる。参考価格は、1050-A-SMEが267万2000円からで、Infobloxでは初年度100ユニットの販売を見込んでいる。

キャパシティマネージメントオプションの画面イメージIPAMコネクターオプションによる連携時の画面イメージ
Infoblox-1852-Aの概要

 一方のInfoblox-1852-Aは、高速DNSキャッシュに特化したアプライアンス。「DNSの負荷が急上昇し、いっぱいいっぱいになってしまっているサービスプロバイダ向けに開発された」(丸茂氏)という。もちろん、DNSサーバーの台数やロードバランサーを増強することで負荷増大にも対応は可能だが、DNSSEC(DNS Security Extension)への対応や、x86サーバーを利用したソフトウェア製品での課題となる、パッチ適用にかかる手間などを考えると、高性能なDNSサーバーアプライアンスのニーズはあるとのこと。そこでInfobloxでは、11万qps(クエリ/秒)という高い処理能力を持ったアプライアンスを提供することにした。

 この製品は、サービスプロバイダのデータセンターでの使用を前提としているため、信頼性を重視し、冗長電源搭載モデルのみを用意。AC電源、DC電源に対応した2モデルが発売される。参考価格は、AC電源対応モデルで647万9100円から。なお、米国でも9月に発売されたばかりの新しい製品だが、国内のサービスプロバイダが世界で初めて採用を決めているという。同社では、初年度100ユニットの販売を目標としている。




(石井 一志)

2009/10/8 17:18