シスコ、ボーダレスネットワークを実現する第2世代サービス統合型ルータ
シスコシステムズ合同会社は10月21日、サービス統合型ルータの第2世代として「Cisco ISR G2」シリーズを10月から順次販売開始すると発表した。あわせて、企業ネットワークの新たなアーキテクチャアプローチ「Cisco Borderless Networks Architecture(シスコボーダレスネットワークアーキテクチャ)」も発表した。
「Cisco ISR G2」は、シスコのルーティング、スイッチング、ワイヤレス、セキュリティなどのテクノロジーを、密接に統合されたネットワーキングインフラに統合することで、ネットワークを利用した同時サービスやアプリケーションを安全かつ低コストで提供可能とするルータ製品のフルポートフォリオ。同社が新たに掲げるシスコボーダレスネットワークアーキテクチャの本質的な要素の一つとして機能するという。
第2世代サービス統合型ルータ「Cisco 2911」とCisco SREサービスモジュール「SM-SRE-700-K9」 | 第2世代サービス統合型ルータ「Cisco 1941」とCisco SREインターナルサービスモジュール「ISM-SRE-300-K9」 | 第2世代サービス統合型ルータ「Cisco 3945」とCisco SREサービスモジュール「SM-SRE-900-K9」 |
エンタープライズマーケティング シニアマネージャの北川裕康氏 |
シスコ第2世代サービス統合型ルータ「Cisco ISR G2」製品ポートフォリオ |
エンタープライズマーケティング シニアマネージャの北川裕康氏は、シスコボーダレスネットワークアーキテクチャの狙いについて、「企業ネットワークは、労働力の分散化やコラボレーション化が進む中で、より複雑さを増してきている。今回の新アーキテクチャは、こうした現状に対し、場所、デバイス、アプリケーションのボーダーを取り払い、複雑化する企業ネットワークの変革を促すものとなる。これにより、いつでも、どこでも、誰にでも、どのようなデバイスに対しても、アプリケーションやサービスをシームレスかつ安全に提供できる進化した企業ネットワークを構築することができる」と述べた。
また、「今後、段階的に製品を投入し、アーキテクチャを進化させていく。その第一弾となるのが今回のCisco ISR G2であり、支店・支社におけるボーダレスネットワークを実現するキーコンポーネントとして提供していく。支店・支社は、営業部隊やサービスの拠点として、顧客や取引先と最前線でやりとりする非常に戦略的なポイントであり、まずはこの部分の顧客エクスペリエンス向上を支援する」(北川氏)として、「Cisco ISR G2」の位置づけを説明した。
シスコボーダレスネットワークアーキテクチャを取り入れた第2世代のサービス統合型ルータ「Cisco ISR G2」は、2004年に発表した一世代前の「Cisco ISR」から大幅な機能拡張を図っており、最大5倍のパフォーマンスを実現するという。具体的には、マルチコアネットワークプロセッサや新規マルチギガビットファブリック、ビデオ対応マルチコアDSPモジュール、ユニバーサルイメージIOSといった新世代アーキテクチャを採用するとともに、「Services Ready Engine(SRE)」によるバーチャルサービスを実現している点が大きな特徴。
プロダクトマネージメント ボーダレスネットワーク担当 シニアマネージャの大木聡氏 |
「Cisco ISR G2」の新世代アーキテクチャ |
「Cisco ISR G2」についてプロダクトマネージメント ボーダレスネットワーク担当 シニアマネージャの大木聡氏は、「Cisco ISR G2には、企業ネットワークのパフォーマンスを向上するさまざまな新世代アーキテクチャが搭載されているが、今回はハードウェアだけでなくソフトウェアパッケージの見直しも行い、ユニバーサルイメージを採用したCisco IOS リリース15.0(1)Mを標準提供する。最新版のIOSでは、従来まで8種類のイメージで提供した機能を、4種類のイメージに集約。ユーザーは、単一のユニバーサルイメージを導入した後、ライセンス方式のアクティベーションによって、必要に応じてセキュリティ機能や音声通信機能などの高度な機能を簡単に追加することができる」という。
さらに、バーチャルサービスを実現する「SRE」に関して大木氏は、「SREは、ボーダレスネットワークを実現するキーテクノロジーだ。ハードウェアとソフトウェアを切り離すことで、さまざまなバーチャルサービスの導入や管理をリモートで行えるようになる。これにより、企業は支社・支店へのサービス導入を動的に行うことができ、費用のかかるオンサイトサポートも不要となる」と説明した。バーチャルサービスとしては、同社のネットワークおよびセキュリティサービス、コラボレーションサービスのほか、サードパーティの各種アプリケーションも提供していく予定。
「SRE」を動作させるためのサービスモジュールには、シングルコアでフラッシュメモリ内蔵の「Internal Service Module(ISM)」と、デュアルコアで最大1TBのHDDを内蔵できる「Service Module」の2タイプを用意。以前のネットワークモジュールに比べ、最大7倍のパフォーマンスを発揮するとともに、「Cisco EnergyWise」のサポートにより、消費電力や電力コストの削減を図ることも可能となった。
「Cisco ISR G2」の製品ラインアップは、フラッグシップモデルの「Cisco 3900シリーズ」(2モデル)、ミッドレンジモデルの「Cisco 2900シリーズ」(4モデル)、コンパクトでモジュラ型の「Cisco 1900シリーズ」(2モデル)の3シリーズを展開。「Cisco 3900シリーズ」と「Cisco 2900シリーズ」は10月から販売を開始しており、「Cisco 1900シリーズ」は11月からの販売開始を予定している。
2009/10/21 16:40