富士通、「Interstage BPM」新版-現場の“非定型作業”も可視化


ミドルウェア事業本部 アプリケーションマネジメント・ミドルウェア事業部長の矢作毅彦氏

 富士通株式会社は11月9日、BPM(ビジネスプロセス管理)ソフトの新版「Interstage Business Process Manager V11(以下、Interstage BPM V11)」の販売を開始した。

 Interstage BPM V11では、従来の定型作業の可視化に加え、「難しかった非定型作業の可視化も実現したのが特長」(ミドルウェア事業本部 アプリケーションマネジメント・ミドルウェア事業部長の矢作毅彦氏)という。

 業務プロセスには、あらかじめ定義可能な「定型業務」と緊急発生する予測不可能な「非定型業務」の2種類が存在する。従来のBPMは、このうち定型業務をあらかじめモデリングして定義しておくことで、可視化を行うものだ。そのため、予測不可能な非定型業務の可視化は不得意といえた。

 例えば、「注文数や納期の変更」「発注元により異なる製造工程」「取引先ごとに異なる修正指示」などの非定型業務は、「業務プロセス全体の80%を占めるとも言われ、メールや電話で都度確認して作業状況を把握するしかなかった。そこで従来の定型業務に加え、非定型業務をいかに可視化するかが課題となっていた」(矢作氏)のだという。

 Interstage BPM V11では、この非定型業務の“見える化”機能を強化し、この課題を克服している。ポイントは、「非定型業務の管理」「全体状況の分析」「ナレッジ共有」の3つだ。

非定型業務の管理。ダイナミックにタスクを定義し、作業進ちょくや作業量をリアルタイムに確認できる全体状況の分析。多彩なKPI分析機能を搭載し、プロセス全体のリードタイムや問題予兆など多角的な分析が可能ナレッジ共有。作業にひも付けてノウハウを蓄積できる

 例えば出版会社にて、「雑誌に掲載する写真Aを写真A’に差し替える」といったタスクが発生した際、業務マネージャがリアルタイムにタスクを定義し、各担当社に作業を割り当てることが可能。割り当てたあとは、現時点での作業進ちょくや作業量をリアルタイムに確認できる。また、過去の作業実績を見ながら、適切に担当者に割り当てることも可能。過負荷となっている担当者の作業を、その作業が得意な別の担当者に割り当てることで、作業全体の平準化を図ることができるという。

 一方、全体を俯瞰(ふかん)する経営企画部門などは、メールなどで各現場から生産性情報を入手することなく、非定型業務を含めて状況の把握が実現。プロセス全体のリードタイムや問題予兆などを多角的に分析することが可能となる。

 ナレッジ共有では、単にノウハウを残すだけでなく、作業そのものにひも付けて蓄積できるので、蓄積したノウハウを作業に合わせて活用することが可能という。

マネージャ向けのトップ画面Tasks画面でやるべき業務が把握できる。カタログ原稿修正として、記事と写真の差し替え業務が発生しているTeam Tasks画面で各担当社の作業状況が把握可能。さらにドリルダウンすることで、より詳細な作業内容や過去の実績なども分かる。ここからタスクを誰に割り当てるべきかを判断する

実際に担当者にタスクを割り当てる割り当てたあとはプロセス全体のリードタイムなどが把握できる

 同製品は、北米ですでに展開済みで、企業内クラウドでの利用や、SaaS、パブリッククラウドの基盤としての利用が行われているという。富士通は国内でも同様の展開を目指していく方針で、企業内でのプロセス管理とクラウド上の業務プロセスを連携させた“見える化”を実現するとしている。出荷開始は2010年1月下旬を予定。価格は、600万円(税別)から。




(川島 弘之)

2009/11/9 15:29