マイクロソフト、Visual Studio 2010の日本語ベータ2を一般向けに公開

基本ラインアップを3つに集約、同等・上位版への自動移行キャンペーンも

Visual Studio 2010の機能強化ポイント
デベロッパー&プラットフォーム統括本部 開発ツール製品部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの近藤和彦氏

 マイクロソフト株式会社は11月13日、次期統合開発ソフトウェア製品群「Visual Studio 2010」の日本語ベータ2を、同日より一般ユーザー向けに公開したと発表した。同時に、Visual Studio 2010、ならびに.NET Framework 4に対して、開発者が早期に対応できるよう、各種の施策を展開する。製品版については、2010年上半期の提供を予定する。

 Visual Studio 2010は、マイクロソフトが提供する統合開発ソフトウェア製品の最新版。さまざまなアプリケーション開発を包括的に行える環境を提供するという、以前からの特徴はそのままに、多くの最新機能が搭載されている。

 具体的には、まず、UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)ダイアグラムに対応したほか、実装が正しく行われているかをチェックする機能も搭載している。また、Silverlightへの標準対応に加えて、エディターの強化、マルチモニタ対応といったIDE(統合開発環境)の強化が行われた。

 さらに、.NET Framework 2.0/3.0/3.5/4を単一の製品でサポート。Windows 7、Windows Azureといったプラットフォームや、マルチコア対応アプリケーションを開発するための支援機能など、最新の技術にも対応した。デベロッパー&プラットフォーム統括本部 開発ツール製品部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの近藤和彦氏は、「新しいテクノロジーが登場したときでも、新しい開発スタイルが必要になるということはなく、これまでの知識や経験を生かして対応できる。これがVisual Studioの特徴だ」と述べた。

 テスト機能についても、大きな強化が行われている。近藤氏はそのポイントについて「設計時においては、アーキテクチャの設計と実装が正しく行われているかをチェックするほか、コーディング時にも、パフォーマンスやセキュリティなどの観点からテストをする仕組みを備えている」と説明。デバッグの際の履歴を保持し、過去にどのような状態だったかを確認できる「インテリジェントトレース」機能を紹介したほか、テストのライフサイクル全体をカバーする専用ツールにより、テストにおける一連の流れの包括的なカバーと、問題発生時の詳細なデータ確認が可能になったとした。

基本ラインアップを3つに整理した
テストツール単体や、テスト環境を仮想環境上に提供する製品も用意される

 また今回は、「ユーザーやパートナーから、構成が複雑だという声をいただいた」(近藤氏)ことから、Visual Studioの製品ラインアップを分かりやすく整理した。最上位の「Ultimate」は、設計から開発、テスト、導入までの、アプリケーションライフサイクル全般をカバーする製品。日本でも多い、複数の役割を共有する開発者、上級SEなどに向いたパッケージという。また中位版の「Premium」、下位版の「Professional」は、いずれも、開発に必要な基本機能のみを搭載する。両製品の違いは、Expression Studio 3によるアプリケーションデザイン機能や、データベース開発とアプリケーション開発の連携機能などの有無。Premiumの方が、より広い環境に対応できる。

 このほか、Ultimateにも含まれる、テストプロセス全般をカバーする専用ツール「Visual Studio Test Elements 2010」を単品で提供。さらに、テスト環境をHyper V上の仮想環境として提供する「Visual Studio Team Lab Management 2010」、ソフトウェアのチーム開発を支援するサーバーアプリケーション「Visual Studio Team Foundation Server 2010」も用意された。各エディションの価格は、現時点では未定となっている。

 Visual Studio Team Lab Management 2010では、一人の担当者が用意した仮想環境を複数で共有することにより、生産性向上が見込めるメリットを提供。加えて、開発者とテスト担当者が同じ環境を共有できるため、環境に依存した問題を排除できるほか、問題が起きた瞬間のスナップショットをバックエンドでとっているので、問題のある環境そのものを引き渡せるという。

 Visual Studio Team Foundation Server 2010についても、「基本構成」という新インストールオプションが追加され、クライアントOSへのインストールに対応した。「基本構成」では、プロジェクト管理やレポーティングの機能は使えないものの、ソースコード管理、ビルド管理、バグ管理、タスク管理といった機能を使用でき、「高度な管理をクライアントOSで行える」(近藤氏)としている。

同等あるいは上位のエディションへ移行できる「究極のオファー」キャンペーンを実施する

 なおマイクロソフトは、Visual Studioのユーザー向けに、「究極のオファー ~期間限定 上位エディションへの自動移行~」キャンペーンを3月22日までの期間限定で実施する予定。Visual Studio 2010の製品版が提供された際に、ユーザーが所有しているVisual Studio with MDSNサブスクリプション(MSDNサブスクリプションが有効なものに限る)のレベルに応じて、同等、ないしは上位のエディションに移行できるようになる。

 加えて、翻訳/オリジナルのドキュメント提供の強化、コードサンプルと関連情報の提供強化、勉強会キットの提供、東名阪(とうめいはん)を含む全国5都市でのセミナー開催、といった活動もあわせて実施し、ユーザーのスキルアップ支援や、Visual Studio 2010の浸透などを図るとしている。


(石井 一志)

2009/11/13 16:40