米HP、「Converged Infrastructure」など新たな企業戦略を説明
HPエンタープライズビジネス エンタープライズストレージサーバー&ネットワーキング 日本及びアジア太平洋週担当 副社長兼ゼネラルマネージャー、エイドリアン・ジョーンズ氏 |
日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は11月16日、米HPが11月4日(米国時間)に発表した、新たな企業戦略に関する説明会を開催。HPエンタープライズビジネス エンタープライズストレージサーバー&ネットワーキング 日本及びアジア太平洋週担当 副社長兼ゼネラルマネージャー、エイドリアン・ジョーンズ氏が、その中核となる「Converged Infrastructure」アーキテクチャなどを説明した。
現在、「米国では景気回復の兆しが見えつつある」(ジョーンズ氏)ものの、企業のビジネス層の92%は、依然として景気の先行きが不透明と考えているほか、84%の経営者は革新が企業の成功に不可欠と考え、またビジネスと技術に対するアプローチを柔軟にし、顧客のニーズに応えていくべきと考えているという。
企業のこうした考え方を踏まえ、HPは、「Light of Sight(見通し)」「Innovation」「Elasticity(弾力性)」の3つの柱を持って、顧客に価値を提供する。「Light of Sight」では、新たなデータウェアハウスプラットフォームの「HP NeoView Advantage」を提供。情報の可視化によって、ユーザーの意志決定をサポートする。また「Innovation」においては、継続したR&Dへの投資により新たな技術を開発。その有効利用によって、ユーザーの抱える問題を解決するとした。
最後の「Elasticity」は、ジョーンズ氏がもっとも時間をかけて説明した部分。以前から何度もいわれていることであるが、企業のIT投資のうち、実に7割が保守に使われており、新規の戦略投資に回せるのは3割にすぎない。しかし、ビジネスを発展させるためには、投資比率を逆に、つまり戦略投資の部分が保守費用を上回るようにしていく必要がある。
HPが提供する「Converged Infrastructure」は、Elasticityを実現するための大きなビジョンで、PC、サーバー、ストレージ、ネットワーク、電力・冷却、管理ソフトなどが一体となって、柔軟性のある統合されたインフラの構築をワンストップで支援するという。「データセンター内のサーバーやストレージを単品として管理するのではなく、データセンターとして、1つで管理できるようにする」(HP アジアパシフィック&ジャパン エンタープライズ ストレージ・サーバー&ネットワーキング ES連携セールス ディレクタの松本芳武氏)イメージで、仮想化技術を用いたリソースプールを作り、それを統合的に管理したり、効率的に必要なリソースを供給したりすることなどで実現される。
しかし、すべてを1社が提供するというと、ベンダーによる囲い込みを想像しがちで、ユーザーに敬遠されることにもなりかねないが、HPでは、これを明確に否定する。HPが提供するConverged Infrastructureの構成要素は、業界標準のコンポーネントに基づいているため、ユーザーがHP以外の製品を選択できる余地が大いにあり、ユーザーの不利益にならないようにしているというのだ。
もちろんHPでは、製品ごとの優位性や、それらを統合して1社から提供できるメリットを主張するほか、そのインフラの上に載るソフト、サービスについても、豊富なラインアップと能力があるので、ユーザーにもっともメリットを与えられるのは自社だという自信を持っている。そのメリットの1つには、コスト面でのメリットも含まれているという。ジョーンズ氏によれば、HPではPC、サーバー、ストレージ、ネットワークの各製品ラインで、業界標準のコンポーネントに基づく製品開発を進めており、PCとサーバーだけなら80%、4つの製品ラインでも30%のコンポーネントが共有可能になっているとのこと。この共有率をさらに向上させることで、さらなるコスト削減を実現し、それを製品の価格に反映させられれば、ユーザーにも明確なメリットを提供できる。これが、すべてを自社開発している強みなのだという。またコストについては、世界最大規模の680億ドルのサプライチェーンを有する、“規模のメリット”からも提供可能とした。
事例としては、現時点での重要な構成要素の1つである統合インフラソリューション「HP BladeSystem Matrix」により、ドバイ空港が、ITをコストセンターからプロフィットセンターへ転換させた例があるとのこと。またHP自身が、85あるデータセンターを6カ所に統合した経験も反映する。この統合では、約6万人の人口を持つパロアルト市1年分の電力に匹敵する量を削減。ほかにもITインフラの共用化などによって、大きなコスト削減を実現したが、これだけのメリットを出すには、4年の歳月がかかっている。このように、大がかりなメリットを出す、データセンターの変革を成し遂げるためには、長い期間をかけていく必要があるため、ユーザーに対しても、3年といった長期的なスパンでのゴールを設定し、計画策定やROI算出、PoCなどを総合的に支援するとしている。
2009/11/16 15:27