ブロケード、チャネル向けの新たなパートナー支援プログラムを展開

SAN、LAN双方のトータルソリューション提供へ向け、販売体制を強化

米Brocade グローバルチャネルセールス担当副社長のBarbara Spicek氏(左)と、ブロケード 代表取締役社長の青葉雅和氏(右)

 ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社(以下、ブロケード)は11月19日、新たなチャネルパートナー向けビジネス支援プログラム「Alliance Partner Network(APN)」を発表した。すでに米国で発表されているプログラムを、国内のビジネスについても適用し、販売体制の強化を図るもので、米Brocadeのグローバルチャネルセールス担当副社長、Barbara Spicek氏は、「これまでのSANのビジネスでは、OEMが中心だったが、これからはOEMとチャネルを経由した、バランスのとれたアプローチで市場にのぞむ」と説明した。

 米Foundryを統合する前のBrocadeでは、OEMビジネスを中心に展開されており、一方、Foundryではシングルチャネルで販売を行っていた。しかし、別々の方式をいつまでも運営していては効率が悪いし、何よりも、SAN、LANの両製品を包括して提供できるという、統合によるメリットが十分に生かせない。そのため同社では、新たなアライアンスプログラムを導入することになったという。

 このAPNでは、認定パートナーを、一次店である「Distributor」と、二次店の「Elite」「Premier」「Select」といった4つのレベルに区分し、それぞれのレベルに応じた支援を提供する。具体的には、販売支援やデモ機器の取得支援のほか、営業やマーケティング活動、プリセールス/SE、技術と営業のトレーニング、MDF(Market Development Fund)による支援などが用意された。特徴的なのは、ブロケードブランドの製品を展開するパートナーだけでなく、OEM先のベンダーのパートナーに対してもこのプログラムが適用されること。これによって、OEMを含めたチャネル全体の拡大を図るとした。

 また、二次店向けの上位レベルであるEliteとPremierは、「Brocade Professional Service Program(BPS)」「Brocade Support Delivery Program(SFP)」を包含する形での展開が想定されている。BPSについては、ブロケードのプロフェッショナルサービスを再販したり、自社サービスを認定サービスとして販売したりすることが可能になるほか、SDPでは、ブロケード製品の一次、二次のサポートをパートナーが提供できるようになる。

 これらの施策についてSpicek氏は「現在、特にネットワークの分野で、ハードウェアだけの販売では、利益を出すのが難しくなっている。パートナーは、ソフトやサポート、サービスも扱うことで差別化を図れるようにしようとしており、当社としてもこれを支援する」と、その意味を説明した。なお、日本のパートナーについては、自身がサービスやサポートの提供能力を持つところが多いため、「(サービス、サポートを提供せず)製品の再販のみのSelectは少なくなるのではないか」(ブロケード 代表取締役社長の青葉雅和氏)と見ているという。

 もちろん、認定パートナーに認定されるためには、Brocadeの認定資格の取得や、販売に対するコミットといった条件が必要になるが、これに対しても、できるだけBrocadeからの支援を提供する意向。Spicek氏は「ほかのベンダーでは認定取得のためにかなりのコストを必要とするところもあるが、当社では、オンラインのWebベースの無償プログラムや、オンサイトでの無償トレーニングなども用意し、できるだけローコストでできるようにした」と話す。日本についても、無償のトレーニングを毎週開催するなど、できるだけの支援を提供していく予定だ。

 ただしBrocadeでは、無制限にパートナーを拡大するのではなく、「質の高いクオリティをパートナーに求めたいし、パートナーにもきちんと利益を出していただきたいので、できるだけ厳選する」(Spicek氏)方針。日本でもこれは同じで、青葉社長は「パートナーは拡大するが、現在の20社から、3年後の40社をめどとしている。ディストリビュータについては、これまでしていただいた投資に対してリターンを提供できるよう、現在の3社のパートナーとしっかりやっていく」とした。

 なおブロケードでは、このプログラム提供にあたり、社内の体制も変更した。これまでOEMと販売チャネル向けに別々だった部隊を再編し、11月より、1人の営業が双方を担当する体制にあらためている。青葉社長はこれについて、「当社では、SANとLANの双方を提供できる強みがあるが、この組織変更により、トータルソリューションがお客さまに届けやすくなる。社内の販売支援体制も、現在の60人程度から、3年後までには倍へ拡大したい」と話した。

 「データセンター内では、マルチベンダー環境で構築するのがふつうであり、それを推進するためにも、先に発表した、競合ベンダーの大手代理店であるネットワンとの協業は意味のあることで、相互接続性などのテストを進めたい。一方、サーバーやストレージについては、当社がOEM先のベンダーとのパートナーシップによって、きちんと確保していく」(青葉社長)。




(石井 一志)

2009/11/19 17:04