日本ティーマックス、レガシーマイグレーション・ソリューションの最新版

IBM、富士通に続き日立メインフレームへの対応を実現

取締役 営業本部長の張統氏
次世代システムへの移行手法

 日本ティーマックスソフト株式会社(以下、日本ティーマックス)は11月26日、レガシーマイグレーション・ソリューション「OpenFrame」の最新版として、日立メインフレーム対応版「OpenFrame for VOS3」を発表した。2010年1月初旬より販売開始する。

 OpenFrameは、既存のメインフレーム資産を書き換えることなくオープン環境にストレート・コンバージョンすることで、コスト削減とビジネスの継続性・拡張性を支援するレガシーマイグレーション・ソリューション。これまで、IBMと富士通のメインフレームに対応していたが、最新版では日立メインフレームのレガシーマイグレーションをサポートした。

 取締役 営業本部長の張統氏は、「日本市場では、基幹業務処理のコンピュータとして大型汎用機がいまだに多く残っているのが現状で、大手金融機関や大手製造業の過半数以上がサポート切れのOSを使っているともいわれている。これは、メインフレームベンダーへの依存度が高いことや、再構築への人材・ノウハウ不足などが大きな要因だ。しかし、メインフレームは維持保守費用が高いことに加え、技術者の減少やメインフレームベンダーの投資抑制といった動きもあり、今後、日本でも次世代オープンシステムへの移行ニーズはさらに高まってくるはず」と、日本にはレガシーマイグレーションの大きな潜在需要があると指摘。

 さらに、「OpenFrameは、韓国では多数の大手企業に採用されており、日本でも大手金融機関などで採用され始めている。今回の最新版によって、日立メインフレームのレガシーマイグレーションに対応したことで、IBM互換の国産メインフレームベンダーをほぼサポートすることができた。これを機に、レガシーマイグレーションのキラーソリューションとして、日本市場でもOpenFrameの拡販展開に注力していく」(張氏)との考えを示した。

日立対応環境の概要
OpenFrameの動作環境

 最新版の「OpenFrame for VOS3」は、従来のIBMおよび富士通メインフレーム対応版と同様、日立オペレーティング・システムにおけるコア部分であるJSS3などによるバッチジョブ管理や開発環境、COBOL85、JCLなどプログラム言語のストレート・コンバージョンに対応。また、ADM/DB、PDM IIなどのデータベースシステム、およびADM/DC、DCCM3などのオンラインシステムの移行にも対応している。

 具体的には、インフラ環境については、日立メインフレームのVOS3を、UNIXおよびLinuxによってシステムリプレースし、オープン化を行う。データ環境は、同じ構造のデータベースおよびファイルシステムをOpenFrameが提供し、コード変換のみで移行する。ADM/DCやJSS3といった機能についても、OpenFrameが同等の機能を提供することで、メインフレームと同レベルの安定性を実現する。アプリケーション資産は、コード変換のみで、これまでの記述をそのままOpenFrameが解釈。メンテナンスも従来の言語で、そのまま記述できる。ユーザーインターフェイスについては、OpenFrame Gatewayを利用して、これまで同様にエミュレータを利用可能とする予定。

 OpenFrame for VOS3を活用することで、日立メインフレームのユーザーは、アプリケーションやデータの書き換え、さらには新たなアーキテクチャへの移行を行うことなく、操作性から運用ノウハウ、開発環境、ユーザーインターフェイスなどまで既存のシステム資産をそのままに、より低コストかつ低リスクでレガシーマイグレーションを実現することができる。移行後は、完全なオープン環境での稼働となるため、JP1など日立製運用管理ツールや開発環境との共存も可能となる。

 参考価格は、最小構成で約2000万円(税別)から。日本ティーマックスでは、既存のIBMや富士通系OpenFrameパートナーに加え、日立系システムに強みを持つシステムインテグレータと新たに連携し、最新版の販売・サポートを推進していく方針。

移行の流れ次世代システムへのステップアップ



(唐沢 正和)

2009/11/26 16:20