独Avira、1億のユーザーを持つウイルス対策ソフトの日本語版－無償版も提供

独Avira 創設者兼CEOのチャーク・アウアーバッハ氏

　独Aviraは12月1日、無償版「Avira AntiVir Personal - Free Antivirus」を含めた統合セキュリティソフト3製品の日本語版を提供し、日本のコンシューマ市場に参入すると発表した。同社では11月9日に日本法人「株式会社アビラ」を設立しており、同社を通じて国内でのビジネスやサポートなどを行っていく意向。アジアの拠点は、香港、マレーシアに次ぐ3拠点目になる。

　Aviraは、「Avira AntiVir」ブランドのウイルス対策ソフトを中心に、セキュリティ関連のソフトを提供しているベンダー。ドイツでは60％以上のシェアを持つほか、ワールドワイドでは1億人を超えるユーザーに利用されており、「ベストインクラスの性能と、PCに影響を与えないこと」（Avira 創設者兼CEOのチャーク・アウアーバッハ氏）を目標として製品を提供しているという。

　国内でも、英語版を中心にすでに75万ユーザーを獲得しているが、無償版を含めた日本語化により、利用を促進し、ブランド認知の向上を図りたい考えで、アウアーバッハCEOは、「無償ではあるが、最新の検知技術と、最高水準の検出率を維持していく。そのために、多額の研究投資を進めている」点を強調。多くの賞を受け、検査機関での性能テストでは常に上位にランクインする優れた検知率・機能により、日本のユーザーにもメリットを与えられるだろうとした。

　優れた機能の例として、Avira CTOのシュテファン・シッファート氏は、動作の軽さ、高速なスキャン、1日数回のアップデートによる迅速なウイルス対応といった例を示す。さらに、検査機関が行ったヒューリスティック検知テストで、71.3％ともっとも高い検知率だったことを取り上げ、「毎日4万を超える新種がウイルスラボに入ってくる現在の状況でも、常時99％以上の検出率を持っている」と述べた。

Aviraの実績	ヒューリスティック検知の高い検知率が実証されたという	独Avira CTOのシュテファン・シッファート氏

　こうした特徴は無償版にも取り入れられているものの、有償版とはいくつかの差異が設けられている。シッファートCTOはその違いを、「いずれも同一のスキャンエンジンを備えているが、無償版はマルウェアがディスク上にあるのが前提で、実行される際に検知する。一方有償版は、メール防御、Web防御、フィッシング対策などの機能を持ち、PCに入る前に止めることができる」と説明した。

コンシューマ向け製品のラインアップ

　有償版「Avira AntiVir Premium」の価格は、1PC版が3500円から、3PC版が7000円から。このほかAviraでは、ファイアウォール機能や子供向けの有害Webサイトのフィルタリング機能、迷惑メール（スパム）対策、バックアップ機能などを追加した統合セキュリティソフト「Avira Premium Security Suite」もラインアップした。こちらの価格は、1PC版が5000円から、3PC版が9000円からで、有償版両製品の販売は、アビラのWebサイトで行われる。対応OSは、無償版を含め、Windows 7/Vista/XP SP2以降/2000 SP4 Rollup1以降。Windows Vista/XPは、64ビット版もサポートする。

　一方で、ワールドワイドでは売り上げの6割を占める法人向け製品の国内展開についても、アウターバッハCEOは、「法人向け拡大するためには、ローカルにもプレゼンスを拡大しないといけないが、そのために株式会社を設立した」とコメント。さらに、「品質・パフォーマンスに対する信頼度が上がったら、法人向けの提供を積極的に行いたい」と述べ、前向きな姿勢を示した。

　なお、集中管理機能を持つ法人向け製品「Avira AntiVir Professional」は、一足早く8月より日本語化が行われ、代理店のプロマークを経由して提供されているが、Aviraは今後もパートナー経由での間接販売でビジネスを進める計画。プロマークはAviraブランドの製品が提供される以前から、スキャンエンジンの提供を受け、すでに5年ほどProScanブランドで製品販売を行っている実績を持つ。その同社によれば、研究機関、公共、金融といった業種を中心に、すでに1000弱の企業・団体へ導入されているとのことだ。

　今後の展開としてAviraでは、サポートなどの強化のため、国内での技術スタッフの募集を進めるほか、2010年中には、アジアでのウイルスラボ設立、開発センターの設置などが行われる予定である。