EMC、データ重複除外バックアップソリューション新版-vSphere 4とAPI統合も


シンプルなリストア機能
テクノロジーソリューションズ本部プロダクト・ソリューション統括部プロダクトマーケティング部 部長の中野逸子氏
VCBとvStorage API連携の比較

 EMCジャパン株式会社は12月9日、データ重複除外バックアップソリューションの最新版「Avamar(アバマー)5.0」と、同製品を搭載した最新アプライアンスサーバー「Avamar Data Store Gen 3」を本日より販売開始すると発表した。

 Avamarは、バックアップクライアント側で重複データを除外した後に、ユニークなデータだけをバックアップするソフトウェア。変更のあったブロックデータのみをバックアップすることで、一般的なフルバックアップに比べて、毎日のバックアップデータ量を500分の1以上に削減できる。また、バックアップの負荷を従来よりも最大99.8%削減できるため、バックアップ時間も10分の1まで短縮することが可能。リストアの際も、すべてのバックアップを仮想フルイメージとして保存しているため、複数の差分イメージをリストアするよりも迅速なリカバリを実行できる。

 今回の最新版についてテクノロジーソリューションズ本部プロダクト・ソリューション統括部プロダクトマーケティング部 部長の中野逸子氏は、「クラウド時代を見据え、クライアント、ミッションクリティカルアプリケーションも含めた戦略的仮想化が進む中で、仮想データセンターにおけるデータ保護の重要性はさらに増してきている。最新版では、こうした課題を解決するため、従来の重複除外機能はそのままに、VMwareの最新クラウドOS『vSphere 4』のvStorage APIとの統合を実現した。これにより、仮想マシン丸ごとのバックアップおよびリストアをGUIから簡単に指定・設定・実行することが可能となった」としている。

 具体的には、VMware vCenter Serverとの統合により、VMware仮想環境と仮想マシンを検出し、マシン同士のつながりやオペレーティングシステムといった仮想マシンの特性を自動的に表示。自動表示された情報を使用して、AvamarのGUIから仮想マシンの重複除外バックアップを一元的に管理することができる。また、vStorage APIと連携することで、物理サーバーを用意することなく、仮想サーバー経由で仮想マシンのイメージバックアップが行えるようになった。イメージバックアップからは、ファイルレベルのリストアも可能となる。


グローバルサービス統括本部プロダクトソリューション統括部テクノロジーコンサルタントの細田博氏
重複除外データをテープに保管

 グローバルサービス統括本部プロダクトソリューション統括部テクノロジーコンサルタントの細田博氏は、「従来のVCBバックアップでは、プロキシサーバーとして物理マシンを1台用意し、VMDKイメージをFC-SAN経由でプロキシサーバーにエクスポートする必要があった。これに対し、最新版では、vStorage APIと連携し、仮想マシン上にプロキシサーバーを展開できるため、物理サーバー不要の効率的なバックアップを実現する。さらに、従来はバックアップするごとにVMDKイメージをすべてスキャンしていたが、チェンジブロック機能を活用し、変更があったブロックのみをスキャンすることで、バックアップ負荷や実行時間を大幅に短縮できる」と、最新版のメリットを説明した。

 さらに、最新版では、バックアップクライアント側での重複除外ソリューションとして初めて、重複除外後のデータを安価で長期保存に適したテープメディアにエクスポートできる「Avamar Data Transport」機能を無償提供する。重複除外データをテープに保管することで、テープ容量を最大50分の1に削減し、一般的なテープバックアップが必要とするテープ本数と比較して、最大98%のテープを削減することが可能となる。

 このほか、SQL Server 2008およびOracle 11gといった主要データベースの最新バージョンのオンラインバックアップに対応している。

 このAvamar 5.0を搭載した最新アプライアンスサーバー「Avamar Data Store Gen 3」は、ハードウェアを一新し、インテルXeon 5500シリーズを採用することで、従来製品と比較して消費電力を10%削減した。また、これまで1TBか2TBだったストレージ容量をノードあたり最大3.3TBに増強したことにより、システムあたり最大52.8TBの拡張性を実現している。さらに、ネットワークスイッチとNICを二重化することで、ネットワークの単一障害点をなくし、信頼性の向上を図っている。

 Avamar 5.0の参考価格は、500GBモデルが78万2000円(税別)、2TBモデルが312万8000円(税別)。Avamar Data Store Gen 3の価格は、最小構成1TBで343万5000円からとなる。





(唐沢 正和)

2009/12/9 16:04