アドビ、アプリケーションサーバーの最新版「ColdFusion 9」

統合開発環境やクラウド対応版なども発表

米Adobe Systems、Adobe ColdFusion/ColdFusion Builder担当プロダクトマネージャーのアダム・レーマン氏
さまざまなソースに対応するColdFusion

 アドビシステムズ株式会社は12月10日、アプリケーションサーバーの最新版「Adobe ColdFusion 9」および統合開発環境の新製品「Adobe ColdFusion Builder」に関する説明会を開催。米Adobe Systems、Adobe ColdFusion/ColdFusion Builder担当プロダクトマネージャーのアダム・レーマン氏が出席し、最新版の機能をデモを交えて紹介した。

 ColdFusionは、CFML(ColdFusion Markup Language)という言語を使用するアプリケーションサーバー。レーマン氏は、「コードとしてはJavaと大きな違いはないが、CFMLを使うことで、少ないコードで開発できるのが特長。また、コードが少ないので、メンテナンスコストの削減にも有効」と生産性の高さを利点として挙げた。

 ColdFusionを利用するユーザーは年々増えており、開発者は80万人に、利用企業は1万2000社に拡大しているという。「もともとMacromediaで扱われていた製品だが、Adobeに統合した2006年以降だけで2000社の新規顧客が採用している」(レーマン氏)と、Flashとの親和性の高さなどが評価され、導入企業が増えていると紹介した。

 最新版のColdFusion 9では、生産性・連携・豊かな表現力、の3つの面を強化。

 生産性の面では、HibernateベースのORM(オブジェクトリレーショナルマッピング)を実現。これにより、SQL文を使うことなく、ColdFusionコンポーネントをデータベースに保存することが可能になった。「Hibernateを活用したことで、データベースに依存することなくアプリケーションを構築できるほか、コードの量も大幅に削減できる。コーディングの単純作業をColdFusionが肩代わりするようなイメージと考えてもらえると理解しやすい」(レーマン氏)と紹介。このほか、AIRベースのデスクトップアプリケーションを利用し、ColdFusionサーバーを一元的に管理できるサーバーマネージャーなども用意されている。


生産性での強化点従来であれば100行以上記述しなければならなかったコードも数行で完結

 連携の面では、OfficeやSharePointとの連携機能を用意。Excelファイルの作成・読み込み・更新が行えるほか、Word/PowerPointからのPDF生成、PowerPointプレゼンテーションの動的な生成などをサポート。「Excelファイルの場合、ブック全体のデータでも特定のセルのデータでも読み込めるほか、Webインターフェイス経由でExcelファイルを更新するといった使い方も可能。そのほか、Excelが持つ書式や関数を用いて、ColdFusion側でExcelファイルを生成することできる」(レーマン氏)と説明。このほか、SharePoint用のWebパーツをColdFusionで作成したり、ネイティブにSharePointサービスにアクセスすることもできる。


連携での強化点Excelファイルとの連携が大幅に強化されている
豊かな表現力

 豊かな表現力という面では、Flashとの連携機能を強化。Flash Builder 4と連携する機能や、AIRアプリケーションのオンライン・オフライン機能を利用したデータの保存や同期といった機能にも対応している。そのほか、Blaze DSによるFlashリモーティングを高速化するといった強化が行われている。「Flashリモーティングはこれまでのバージョンですでに提供しているものだが、ColdFusionではさらに高速化している」(レーマン氏)

 ColdFusion 9はすでに出荷が始まっており、同社オンラインストアでの価格は、17万8500円(ColdFusion 9 Standard)。

 新たに提供されるColdFusion Builderは、アプリケーションのコーディングやサーバーの管理、プロジェクトの展開を行うためのEclipseベースの統合開発環境。Flash Builderから直接ColdFusionのサービスに接続できるなど、併用しながら使用することができる。また、記述されるコードの中身を判断し、次のコードを予測する機能を備えるなど、開発生産性を向上させる機能も用意されている。「RIAを容易に開発できるよう、Flash BuilderとColdFusion Builderを意識することなく作業できるようになっている。データのバインドなどもドラッグアンドドロップで行える」(レーマン氏)と、利便性の高さを強調した。正式提供は2010年年初の予定。ワールドワイドでの提供後、日本語版がリリースされるとしている。


ColdFusion Builderの特長ドラッグ操作でデータをバインドできる

 説明会では、現在プライベートベータ版を公開しているクラウド環境向けのColdFusion in the Cloudも紹介。レーマン氏は、「これはクラウド化を進めているユーザーを意識したもので、既存ライセンスをクラウドプロバイダー環境に拡張できるもの。Standardの場合で1インスタンス、Enterpriseの場合で10インスタンスをクラウド環境でも利用できるライセンスを提供する予定。今はAmazonとパートナーシップを結んで、Amazon EC2向けでサービス化を進めており、ライセンスを持っていないユーザーでも時間単位で利用可能なサービスを用意している」と、クラウド環境での利用の広がりに対応するモデルとして正式サービス化を進めているとした。この新ライセンスは2010年初頭に提供する予定。

 「クラウドサービスの爆発的な拡大という背景もあり、ColdFusionの次期バージョンでは、こうしたサーバー側の環境を抜本的に見直すというコンセプトで開発を進めている。今はAmazonと協力しているが、ほかのクラウドとも同様な取り組みが可能か検討はしている」(レーマン氏)と、次期バージョンではクラウドを想定した製品になると述べた。





(福浦 一広)

2009/12/10 13:54