インテル、32nmプロセス技術の新Coreプロセッサを国内でお披露目


今回発表された新2010インテルCoreプロセッサー・ファミリー
Core i5プロセッサを手にする代表取締役社長の吉田和正氏

 インテル株式会社は1月25日、同社の最新プロセッサである「新2010インテルCoreプロセッサー・ファミリー」を国内で初めて公開した。

 お披露目されたのは、開発コード名「Westmere」と呼ばれていた、32nmプロセス技術で製造されたプロセッサ。ハイエンド向けの「Core i7」、スタンダード向けの「Core i5」、今回初めて用意された廉価版の「Core i3」の3つの製品ラインで提供される。

 同社代表取締役社長の吉田和正氏は、「今回発表した新2010インテルCoreプロセッサー・ファミリーは、あらゆる価格帯のPC、そして組み込み市場までサポートできる製品。搭載予定の製品は600もあるなど、幅広い支持を集めている」と、さまざまなニーズに対応できる製品に仕上がっていると強調。

 機能面では、利用状況に応じて自動的に動作周波数を変更する「ターボ・ブースト・テクノロジー」、1つのコアで2つのスレッドを動作させる「ハイパースレッディング・テクノロジー」などを紹介。吉田氏は、「ターボ・ブースト・テクノロジーを利用することで、必要に応じて高い性能を得られるほか、電力効率の向上にも役立つ。ハイパースレッディング・テクノロジーは、1コアあたり2つのスレッドを動作できるので、デュアルコアプロセッサの場合、仮想的に4つのスレッドを処理できるため、処理性能の向上に有効」と紹介した。


ターボ・ブースト・テクノロジーハイパースレッディング・テクノロジー3年前のプロセッサと比べてパフォーマンスは大きく向上

 この新2010インテルCoreプロセッサー・ファミリーが、社会に大きく貢献できると吉田氏は強調する。「全世界でのインターネット利用者数は、2000年が3億6100万人だったのに対して、2009年9月時点で17億3400万人にまで拡大している。この数は世界の人口の4分の1を占めるもの。また、インターネットの利用方法も進化しており、ブログやTwitterなど新しいコミュニケーションを利用する人は、インターネット人口の実に3分の1にまでなっている」と、インターネットを利用した新しいコミュニケーションが生まれていると指摘。

 また、扱うコンテンツ自体も高品質化が進んでいることも、PCの新しい利用スタイルとして紹介した。「HD動画の編集を個人レベルで行えるなど、一昔前ではプロしか使えなかった環境が、PCの性能向上により、手軽に利用できるようになっている。まだ一部の人の話かもしれないが、インターネットが急速に成長したように、こうした環境も数年のうちに当たり前になっている世界がやってくるのではないか」と、PCがライフスタイルに大きな変革を与える道具になっていると述べた。

慶応義塾大学 大学院 政策・メディア研究科 教授の金子郁容氏

 ゲストスピーカーの慶応義塾大学 大学院 政策・メディア研究科 教授の金子郁容氏も、「日本は、テクノロジーもITインフラも充実しており、次はそれを社会でどう利活用するかが課題となっている。PCは難しいので、高齢者には使えないという声もあるが、現在、奥多摩町で遠隔医療の実証実験の成果を見ると、人はニーズがあればPCを使いこなせることが証明されている。TV会議の仕組みを使って診断しているが、通院していたときよりもちゃんと診てくれているという声もあるなど、テクノロジーを活用することで、ライフスタイルの変革は可能。とはいえ、ライフスタイルの変革には、さらなるPCの性能向上やネットワークの接続性が重要になってくる」と、ITによるライフスタイルの変革の必要性を強調した。

 これを受け、吉田氏は、「今回発表した新2010インテルCoreプロセッサー・ファミリーは、多くのPCベンダーに支持していただき、各社から搭載製品を発表していただいている。ネットワークに関しては、無線技術による“いつでも・どこでも・誰でも”つながることが重要との考えから、WiMAXに注目し、支援してきている。国内でWiMAXを展開しているUQ WiMAXは、基地局の数が5000局を突破したほか、屋外・屋内でシームレスに利用可能になったことを同日発表したように、環境の整備が進んでいる」と述べた。

 最後に吉田氏は、「インテルは、今後も最新のテクノロジーを開発し、そして業界全体と力を合わせて、より豊かな社会の実現に向け取り組んでいく」と締めくくった。


PCベンダー各社の代表も出席





(福浦 一広)

2010/1/25 14:37