Morphlabs、クラウド環境構築・運用アプライアンス「mCloudシリーズ」

複雑なクラウド配備・運用を自動化、オープン性も意識

管理画面イメージ
MorphlabsのCEO、ウィンストン・ダマリロ氏

 米Morphlabsは1月29日、クラウドコンピューティング市場向けのアプライアンスサーバー「mCloudシリーズ」を発表した。クラウド基盤をオールインワンで提供する製品や、管理機能のみを備えた製品など、ユーザーの必要に応じたものを提供するという。仮想化ハイパーバイザーは、XenとKVMをサポートし、近日中にVMwareにも対応する予定。

 Morphlabsは、オープンソース技術をもとにクラウド関連サービス、製品を提供するベンチャー企業。Amazon Web Service(AWS)上にWebアプリケーションをホスティングする「Morph AppSpace」や、「Morph AppCloud」といったサービスを提供しており、すでに4000社が利用している。

 今回、同社が提供するmCloudシリーズは、クラウド環境に必要な基盤を提供するアプライアンス製品。クラウド環境の管理を自動化するエンジンを搭載しているため、サーバー間のルーティング、バックアップ、アプリケーション/データベースサーバーの設定など、クラウドサービスに必要な環境設定作業を、10分前後で構築できるという。また、柔軟かつ短期間にリソースを増減でき、分単位のニーズに合わせて最適なリソースを確保できるとした。加えて、開発済みのアプリケーションのデプロイ、管理を自動化するエンジンも搭載するので、アプリケーションごとの詳細な環境設定、リソースの確保などを自動処理できる。

 一方で、オープン性の高さも特徴。AWSと互換性のあるオープンなAPIを採用するなど、ポータビリティを意識して設計されていることから、mCloud上で開発したアプリケーションを、「AWSをはじめとする、ほかのクラウド環境へ容易に移植できる」(MorphlabsのCEO、ウィンストン・ダマリロ氏)。運用・監視ツールについても、オープンソースのEucalyptus、Nagios、Puppetなどを活用し、標準的な運用環境を提供する。

mCloud Serverが利用するブレードサーバー
mCloudソリューションフレームワーク

 ラインアップは3種類。クラウド基盤を一括で提供する「mCloud Server」は、日本IBMのブレードサーバーをハードウェアプラットフォームとして利用。最大100VMまでの構築・管理を行える。価格は70万円/月からで、2年以上の契約が必須となる。また、テストや検証に利用したいという企業向けに、小型版の「mCloud Server スタータ・キット」を用意した。10~20VM程度の構築・管理が可能で、Shuttleのハードウェアを利用する。価格は10万円/月からで、最小契約期間は3カ月。

 さらに、インフラは自前で用意し、管理機能だけを使いたいという企業向けには、「mCloud Controller」を提供する。こちらも100VMまでの管理が可能で、価格は20万円/月から。2年以上の契約が必須となるのは、mCloud Serverと同様である。

 Morphlabsは2月にも国内で100%出資の日本法人を立ち上げる予定だが、日本では、パートナーとの緊密な関係のもとに展開したい考えを示す。ダマリロ氏は、「SIer、特にエンタープライズクラウドに強いパートナーと連携するほか、ハードウェアベンダー、国内のソフトウェアベンダー、クラウドへの展開を図るデータセンターと、4種類のパートナーとの連携を図る」とパートナー戦略を説明。パートナーエコシステムを作り上げ、mCloudシリーズの販売を進めるとした。売り上げ目標としては、向こう3年間で20億円を見込む。

 なお、当初のパートナーとしては、データセンター事業者のブロードバンドタワー、SIerのCSKシステムズ、ISVのネオジャパンを紹介した。このうちブロードバンドタワーは、mCloudシリーズを活用したサービスを提供するほか、CSKシステムズも、自社の進める「ハイブリッド・クラウド」の取り組みの中で、mCloudを利用するとのことである。


(石井 一志)

2010/1/29 15:07