リコー、2009年度第3四半期は減収ながら増益を達成-通期見通しも利益を上方修正


 株式会社リコーは1月29日、2009年度第3四半期連結決算を発表した。売上高は前年同期比3.2%減の4859億円、営業利益は同11.4%増の237億円、税引前利益は同229億円増の240億円、当期純利益は前年同期のマイナス48億円の赤字から126億円の黒字となり、減収増益となった。また、これで3四半期連続で対前四半期増益となった。

 同社取締役 専務執行役員の三浦善司氏は、「市場環境は引き続き厳しい状況が続いており、IKONの売り上げ増があるにもかかわらず、基盤となる画像ソリューション分野の落ち込みをカバーしきれず、売上高は減収となった。しかし、上期のマイナス幅よりは圧縮できており、市場環境は少しずつ上向いてきている感覚はある。ただ、その中でドバイショックが起こるなど、依然として楽観できない状況だ」としながら、「利益面については、久々に増益に転じることができた。これは、収益性を重視した販売活動に注力してきたことに加え、経費削減や構造改革の成果取り込み、原材料費削減などが計画以上に進んだことが大きい。特に税引前利益は、前年同期が悪すぎたこともあり、約20倍と大幅増となった」と、売上高は減収したものの増益を達成した背景を説明した。

 地域別では、国内売上高は前年同期比7.3%減の2048億円、海外売上高は前年同期並みの2811億円。海外売上高は為替の影響を除くと、前年同期比2.2%増となっている。

取締役 専務執行役員の三浦善司氏第3四半期の業績
第3四半期の分野別売上高
画像&ソリューション分野の業績

 事業分野別では、画像&ソリューション分野の売上高が、前年同期比2.9%減の4309億円。そのうち、画像ソリューションの売上高は前年同期比4.1%減の3681億円、ネットワークシステムソリューションが同4.6%増の627億円。

 画像ソリューションに関しては、米州において前年度実施したIKON買収による販売体制の強化などが寄与し、PPCおよびMFPを中心に増加したものの、米州以外の地域では景気低迷や円高などの影響より減収。「中でもMFPハードの売り上げが低迷し、前年同期比11%減と落ち込んだことが、画像ソリューション減収の大きな原因になった」(三浦氏)という。一方、ネットワークシステムソリューションは、米国での直販体制の強化などにより売上高が増加。引き続き戦略的に事業を拡大し、今後さらなる高い成長を見込む。

 産業分野の売上高は、前年同期比2.9%減の251億円。半導体事業、サーマル事業および電装ユニット事業の売上高が国内外で前年同期に比べて減少。その結果、営業損失も10億円となっている。

 その他分野の売上高は、前年同期比7.3%減の298億円。デジタルカメラの売上高が国内外ともに減少した結果、営業損失は19億円となっている。デジタルカメラ事業のトピックとして、「デジタルカメラについては、第3四半期に新コンセプトのレンズユニット交換式コンパクト機を投入した。現時点では、開発費が先行している状態だが、来期以降は売り上げ増が見込める」(三浦氏)と、新商材の成長に期待を寄せている。

産業分野の業績その他分野の業績

 あわせて、2009年度通期の業績見通しを修正したことも発表した。

2009年度通期の業績見通し

 売上高は2兆円(2009年10月公表値と比べて650億円減)と下方修正したが、営業利益は450億円(同50億円増)、税引前利益は350億円(同50億円増)、当期純利益は150億円(同50億円増)と利益については上方修正した。

 三浦氏は、業績予想の修正について、「売上高は前回発表予想を下回る見通しだが、ITサービスやソリューションビジネスなど収益性の高い事業を継続して成長させるとともに、グループをあげて取り組んでいるコスト削減によって、利益面については予想を上回る見通し。ここまでの成長ペースからすると、営業利益の予想値は少なめに思えるが、今後も円高傾向が続くことと、リストラコストが第4四半期に計上されることから、第4四半期の伸びについては慎重に見ている」と述べた。


(唐沢 正和)

2010/2/1 00:00