マカフィー、個人向け製品に危険なダウンロードを防ぐ新機能など追加

2010年版アップデートを配信へ

コンシューマ事業本部 プロダクトマーケティングマネージャーの葛原卓造氏

 マカフィー株式会社は2月10日、個人向けセキュリティ製品「マカフィーアンチウイルスプラス2010(MAV 2010)」「マカフィーインターネットセキュリティ2010(MIS 2010)」「マカフィートータルプロテクション2010(MTP 2010)」向けに、豊富な新機能を含んだ2010年版メジャーアップデートの提供を12日より開始すると発表した。新機能はインターネット経由でリアルタイムに配信され、ユーザーが意識して新版に入れ替える必要はないという。

 今回のアップデート目標は「効果/性能」「速さ/軽さ」「簡単な操作性」を向上すること。これらはフィードバックの上位3点で、「今回は特にお客さまの声を反映することを意識した」とコンシューマ事業本部 プロダクトマーケティングマネージャーの葛原卓造氏は語る。

 効果/性能面では、Webサイトにアクセスして安全性を確かめる「Site Advisor」に、2種類の新機能「ウェブダウンロードプロテクション」「URLレピュテーション」を追加。前者は、ファイルをダウンロードする際にオンラインデータベース「グローバル・スレッド・インテリジェンス(GTI)」に安全性を問い合わせ、危険と判定された場合、ダウンロード前に警告を発するもの。後者は、GTIで収集した属性情報(サイト運営者やホストサーバーの評価など)を基に、URL/IPアドレスの安全性を評価するもの。従来機能と組み合わせて、より正確な脅威の判定が可能となる。

 速さ/軽さの面では、エンジンを改良してスキャン速度を向上。総合的にスピードアップするとともに、1回スキャンしたデータに変更がなければ次回スキャンの対象外とするキャッシング技術により、「特に2回目のスキャン速度を8倍に高めている」(同氏)。

 PCへの負荷対策としては、アイドル状態になるまでスキャンや更新を延期する「スマートタイマー」を搭載するとともに、ソフトを再設計し、起動や各種機能の操作時間を大幅に短縮。メモリ使用量、HDD使用量、プロセス数も削減し、「特にUI起動時間を、前版の5.86秒から0.55秒へと大幅に改良した」(同氏)。

スキャン速度を向上。2回目のスキャン速度は8倍にUI起動時間を改善メモリ使用量やHDD使用量なども削減

 操作性では、シンプルで機能的な配置とした新UIを採用。PCの保護状態を示すステータスバーを巨大化して視認性を高めたほか、主要機能の状態、最新のアクティビティを直感的に把握できるようにした。各機能のボタン配置に一貫性を持たせて、有効・無効をより簡単にするなど、設定面のユーザビリティも向上。また、ネットブックなど解像度の低い環境で自動的にUIサイズを調整する機能も搭載している。

UIを刷新ボタン配置に一貫性を持たせ、設定を簡易にネットブックなどに合わせてUIサイズを自動調整
オンラインバックアップ機能も追加

 追加機能としてはこのほか、オンラインバックアップやホームネットワーク防御に対応。バックアップでは画像・動画・文書などを自動的にオンラインサーバーへ保存することが可能で、下位版のMAV 2010を除く、MIS 2010/MTP 2010で利用できる。バックアップ可能な容量はそれぞれ1GBと2GBまでだが、無制限版へのアップグレードも可能。

 なお、マカフィーは新機能をいつでも配信可能なSaaS型の仕組みを採用するため、今回の新機能もリアルタイムにユーザーへ配信される。まずは2月12日以降、パッケージ版を新規購入したユーザーへ配信し、順次、既存ユーザーにも配信していく。「アップデートは透過的に行われるため、ユーザーの操作は必要なく、朝起きたら新機能を利用できる環境になっている」(葛原氏)とのこと。

 パッケージの想定価格は、「MAV 2010(1年版)」が3900円前後/1ユーザー、1PC。「MIS 2010(1年版)」が6000円前後/1ユーザー、3PC。「MIS 2010(2年版)」が9000円前後/1ユーザー、3PC。「MTP 2010(1年版)」が7600円前後/1ユーザー、3PC。

 マカフィー製品は、Dellをはじめとした主要11ベンダーのPCにバンドルされ、2009年に出荷されたコンシューマ向けPCの45%を占めるなど、PC向けのOEM分野では競合を圧倒しているという。コンシューマ事業部 取締役 事業本部長の大岩憲三氏は、2010年の目標について、「さらにパートナー協業を進め、50%のシェアを目指すほか、ISP月額課金サービスでも100社の採用を目指す」と発言。また量販店では「SaaS型ビジネスの積極展開を図り、店頭でのカスタマイズや月額サービスの提供を進める」とともに、「金融・テレコムを中心としたB2B2C市場へも参入を図り、当社のエンタープライズ営業と連携を強めていく」とした。




(川島 弘之)

2010/2/10 15:27