NECとNECネクサ、中堅・中小企業向けサービス事業を強化
日本電気株式会社(以下、NEC)とNECネクサソリューションズ株式会社(以下、NECネクサ)は2月15日、中堅・中小企業に向けたサービス事業を強化すると発表した。第一弾として、SaaSを軸とした中堅・中小企業向けソリューションを体系化し、拡充を図るとともに、パートナー経由の販売を支援する200人規模の専門部隊の確立、およびパートナー支援プログラム「NEC SaaSパートナープログラム」の新設などによってパートナーとの連携・支援体制を大幅に強化する。
今回の事業強化では、まず、NECとNECネクサ、および販売パートナーがもつ中堅・中小企業向けSaaSアプリケーション、サービス基盤、導入コンサルティングなどをトータルに提供するSaaS型ソリューションを体系化・拡充する。特に、SaaSアプリケーションについては、基幹系サービス「EXPLANNER for SaaS」を中核に、周辺業務システム、メールやポータルなどのフロントオフィスシステム、建設業やホテル向けなどの業種特化システムを強化。さらに、シンクライアントや給与計算、人事情報メンテナンス、コールセンターなどのBPO分野も含め、中堅・中小企業の情報システム部門が担うシステム領域のほぼすべてを網羅するサービスメニューを展開する予定だ。
中堅・中小企業向けSaaS型ソリューションの体系 | 提供サービスの拡充計画 | 中核ソリューション「EXPLANNER for SaaS」 |
ITサービスビジネスユニット執行役員の龍野康次郞氏 |
NEC ITサービスビジネスユニット執行役員の龍野康次郞氏は、「当社ではこれまで、企業向けクラウドを注力領域として、フロントオフィスからバックオフィスまでのアプリケーションを共有環境および専用環境を用意してサービス提供してきた。今回は、その中でもSaaS型を軸にした中堅・中小企業向けソリューションを体系化し、現在約15種のサービスメニューを2010年度上期中に約50種まで拡充する。中核サービスとなるEXPLANNER for SaaSでは、差異化領域に“物流業務”を加えるほか、新たにオペレーション領域として“ワークフロー”を展開する。あわせて、販売パートナーとの連携サービスを拡大することで、国内ナンバーワンの品ぞろえを目指す」としている。
販売パートナーとのサービス連携拡大に向けた施策としては、販売パートナーが自社のアプリケーションを迅速かつ安価にSaaSに提供できるよう中堅・中小企業向けサービス基盤を提供する。ホスティング基盤上に提供する認証/テナント管理/帳票作成/外部サービス連携などを組み合わせることで、販売パートナーが所有するパッケージなどのサービス化に適したサービス基盤を構築し、販売パートナーがこのサービス基盤にアプリケーションを乗せる際には、NECおよびNECネクサが動作検証やセキュリティの技術支援を行う。販売パートナーは、同サービス基盤上に乗っているサービスであれば、自社・他社を問わず組み合わせて顧客に提供することができるという。
また、今回の中堅・中小企業向けSaaSソリューションの体系化にともない、顧客向けにSaaSアプリケーションの専用ポータルサイトを開設する。このサイトでは、顧客が直接、主なSaaSアプリケーションのデモンストレーションを見たり、試行的にデータを入力するなどして、サービス利用イメージを鮮明にすることで、顧客のサービス選択を支援する。第一弾として、5月に「EXPLANNER for SaaS」のサイトを開設し、順次、対象サービスを拡大する予定。
新たなSaaSソリューション体系が顧客に与えるメリットについて龍野氏は、「アプリケーションを自社導入する場合に比べて、導入期間を30~50%短縮できる。コスト面でも、TCOを30~50%削減できるとともに、資産を自社で保有することなく、必要なときに必要なだけ使える環境を実現する。さらに、ITの複雑な仕組みを気にすることなく利用できるため、運用業務からも解放される」とし、「標準化されたアプリケーション、ITリソースを使える環境を提供することで、業務の標準化を支援し、アプリケーションを“作る”から“使う”へ顧客の意識変革を促進していく」との考えを述べた。
販売パートナーへの支援体制強化としては、SaaSを中心としたソリューションの開発や拡販を支援するため、両社合わせて200人規模の専門部隊を4月に確立し、順次、要員数を拡大していく。これにともない、パートナー支援プログラム「NEC SaaSパートナープログラム」を5月に新設。同プログラムに契約したパートナーに対して、サービス運用全般に関する教育やコンサルティング、営業ツールやヘルプデスクサービスの提供などを行い、パートナーにおけるSaaS事業の早期立ち上げをサポートする。このほか、SaaSなどのサービスの実証・体験環境を整備した「NECクラウドプラザ」を国内主要拠点に展開する。現在は、東京のNEC本社1階にあるが、これを2010年度上期には名古屋・大阪に順次拡大し、「クラウドプラザ」の端末から国内外のデータセンターにアクセス可能とする。販売パートナーは、顧客への具体的な提案活動として「NECクラウドプラザ」を活用できるという。
パートナー支援プログラム「NEC SaaSパートナープログラム」を新設 | 「クラウドプラザ」を展開 |
中堅中小企業向けSaaS事業の拡大計画 |
龍野氏は、「従来のパッケージ/SIビジネスに加え、中堅・中小企業の新たな選択肢としてフルサービスのSaaSソリューションを提案することで、2012年度には、中堅企業向けサービスで契約ユーザー数2300社、中小企業向けサービスで契約ユーザー数3万3000社の獲得を目指す。また、SaaSソリューションを中核とした中堅・中小企業向けサービス事業を200億円以上の事業規模にまで拡大する」として、国内SaaS市場でのトップシェア獲得に意欲を見せた。
2010/2/15 16:20