マイクロソフト、クラウド向けコンサルティングサービスを強化

導入計画策定支援サービス「ITAP for S+S」発表

エンタープライズサービス 執行役 常務の鳴坂仁志氏

 マイクロソフト株式会社は2月16日、企業向けクラウド分野において同社が提供しているサービスに関する説明会を開催。同日発表したクラウド導入計画策定支援コンサルティングサービス「ITAP for S+S(IT Architecture & Planning for Software Plus Services)」など、同社の取り組み状況が説明された。

 同社エンタープライズサービス 執行役 常務の鳴坂仁志氏は、「マイクロソフトは、ソフトウェア+サービス(S+S)をクラウド戦略として掲げている。ほかのクラウドサービスと比べ、S+Sは、オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドと、状況に応じた柔軟な選択肢を提供できるのが特長。オンプレミスの技術をクラウド上に展開できるので、技術者育成の面でも有利なものとなっている」と、既存資産を有効活用しながら、柔軟なシステム構成を可能にできる点を強調。

 また、幅広いサービスを提供している点も強みのひとつとして紹介。「他社の場合、アプリケーションの分野やインフラの分野など、個別領域向けのサービスが提供されているにすぎないが、マイクロソフトはすべての領域でサービスを提供している。これは現時点ではマイクロソフトだけ」と、包括的なソリューションを提供している点を挙げた。

 これらの製品・サービスを実際に利用可能にするために、サービスにも力を入れていると鳴坂氏は説明する。「S+Sに対応するサービスを提供するという意味で“S+S plus S”と呼んでいる。この分野では、日本国内にサポートとコンサルを含めて800名が活動している」と、同社が持つノウハウを生かしたサポートサービスを提供できる点も強みとして紹介した。

ITAP for S+Sを発表
エンタープライズサービス コンサルティングサービス統括本部 業務執行役員 統括本部長の畑義和氏
コンサルティングサービスの取り組みについて

 このうち、クラウド導入計画におけるコンサルティングサービスとしてITAP for S+Sを新たに提供すると発表。「ITAPは、ITアーキテクチャ策定と計画立案を行うコンサルティングサービス。今回、このITAPのクラウド向けサービスとして発表したのが、ITAP for S+Sになる。システム規模にもよるが、1~2名から10名程度のコンサルタントが対応し、約9週間で導入計画を策定する」(鳴坂氏)と、説明する。

 ITAP for S+Sで提供されるのは、ワークショップ、分析手法MSBA(Microsoft Services Business Architecture)による業務分析とプラットフォーム選択のためのアセスメント、セキュリティアセスメント、ベネフィットマネジメントを活用したビジネスケース作成、ソフトウェア+サービスに基づくITアーキテクチャ策定、現行システムからの中期移行計画作成、高優先度プロジェクト計画の作成。

 同社エンタープライズサービス コンサルティングサービス統括本部 業務執行役員 統括本部長の畑義和氏は、「世界的に見て、日本はクラウドに対する関心が高い。その上、クラウドにもオンプレミスと同様のサービスレベルを期待する傾向が強い。こうしたニーズに応えるためにも、サービスを強化することが重要」と、同社がサービスに力を入れる理由を説明。「クラウド導入において、単一の解は存在しないのが現実。特に、クラウド導入が目的となってしまうと、あとで追加機能を開発する必要が発生したり、結果的にコスト効果も得られなくなってしまう。重要なのは、導入目的を明確にするなど、計画フェーズで最適なロードマップを策定すること」と、計画フェーズに重点をおいて取り組む必要があると述べた。

 ITAP for S+Sの価格は、840万円から。3月1日より提供を開始する。「ITAP for S+Sの開始に伴い、1年かけてクラウドエンジニアを50名から400名に拡充する」(鳴坂氏)と、クラウド分野の体制を大幅に強化すると発表。ITAP for S+Sの契約目標について、鳴坂氏は「今後3年間で300プロジェクトを目指す」とした。



(福浦 一広)

2010/2/16 14:10