「Hyper-V選択は制限された機能を選択すること」、VMwareが競合優位性を強調


米VMware APAC プロダクトマーケティングのスティーブ・グロス氏

 ヴイエムウェア株式会社は2月17日、同社製品に関する記者向け説明会を開催。来日中の米VMware APAC プロダクトマーケティングのスティーブ・グロス氏より、競合製品と比較しながら、同社製品の優位性などが紹介された。

 同社が提供する製品は、核となるサーバー仮想化スイートの「VMware vSphere」、デスクトップ仮想化を実現する「VMware View」、仮想化環境の各種管理機能を提供する「VMware vCenter」、そしてプライベートクラウド・パブリッククラウドを実現するイニシアチブ「VMware vCloud」などで構成されている。

 サーバー仮想化製品では、マイクロソフトのHyper-VやシトリックスのXenServerなどがある。グロス氏はHyper-VとvSphereを比較し、「Hyper-Vの機能がVMwareと同程度になっているという話があるが、これはライブマイグレーションをHyper-Vがサポートしたことで出た話。ライブマイグレーション自体はVMwareが6年前に実現した技術であり、すでに使われてきているもの。サポートしたとはいえ、Hyper-Vを本番環境で使うには、まだまだ準備できていないのが現実だ」と、機能面で追いついても実績がないと指摘。

 管理ツールのSCVMM(System Center Virtual Machine Manager)については、「Hyper-VとvSphereの両環境を管理できるといわれているが、実際には仮想マシンの電源のオンオフと移行の部分のみ。そのため、日々の業務はvCenterを使わざるを得ないのが現実だ」と一元管理というには機能として不十分であると強調する。

 価格の面では、「Hyper-Vは無償だという話が強調されているが、管理ツールの値上げが予定されている」と、ハイパーバイザが無償であっても管理ツールが有償である点をあらためて指摘した。

 デスクトップ仮想化製品では、シトリックスのXenDesktopが競合として存在している。このXenDesktopに対しても、「Viewは100万ライセンスを販売しており、この市場をリードする製品。また、競合製品が既存技術を組み合わせてデスクトップ仮想化を実現しているのに対して、ViewはVMwareが持つさまざまな技術を生かして一から作られた製品」と、デスクトップ仮想化に最適化されている点を強調。

 デスクトップ仮想化に最適化されているメリットのひとつとして、インストールのシンプルさを紹介。「XenDesktopは統合されていない管理コンソールがまたがっているため、インストールが非常に複雑だ。Viewと比べると、3倍もの手順が必要となっている。また、ハードウェアも複雑化しているので、コストも余分にかかってしまう」と、導入や管理で余分な手間がかかる点を指摘する。

 そのほか、XenDesktopの特長でもある、さまざまなサーバー仮想化環境をサポートできる点については、「XenDesktopの実に9割がvSphere上で動作している」と指摘。「ViewにはvSphereが含まれているので、XenDesktopのように余分な費用を払う必要がない」と述べた。

 こうした特徴を持つ同社の仮想化製品が、クラウドコンピューティングにも適しているとグロス氏は強調する。「クラウドコンピューティングといってもさまざまな定義があるが、ハードウェアを抽象化できること、リソースを共有できること、リソースに関して弾性が高いこと、自動化・効率化を実現するポリシー主導型であること、そして利用者が自発的に使えるセルフサービス、といった機能が共通の特性といえる。VMware製品を利用することで、これらを実現できる」と、クラウドコンピューティングを支える製品であると紹介。

 特に、企業内で構築されたプライベートクラウドとパブリッククラウドの双方で展開可能なハイブリッドクラウドを実現できるところを利点として挙げた。「パブリッククラウド側が既存のシステムとかけ離れたものであると互換性はたもてない。しかし、パブリッククラウド側でも共通基盤としてvSphereを使っていることで、ハイブリッドクラウドは実現可能だ。クラウドはあくまでも進化の過程であり、革新的であってはいけない」と、クラウドコンピューティングだからといって、技術的な互換性がたもてないのは利用者にとってデメリットになると強調した。

 サーバー仮想化分野で先行する同社だが、Hyper-Vなど競合も大規模な採用事例が出てきているのは事実。これについては、「現時点でHyper-Vを選択するということは、さまざまな機能や選択肢のメリットを享受できないのも事実。あくまでも制限された使い方しかできない。実際、vSphereとHyper-Vを比較するお客さまは多いが、選択するのはvSphereだ」と、機能と実績で先行する優位性をあらためて強調した。



(福浦 一広)

2010/2/17 16:26