オートデスク、3D機能を強化したCADソフト最新版「AutoCAD 2011」

　オートデスク株式会社は2月19日、2D/3D CADソフトウェアの新版「AutoCAD 2011」と、2DドラフティングCADソフトウェアの新版「AutoCAD LT 2011」を発表した。価格はそれぞれ、61万4250円、19万9500円。いずれも3月19日より販売を開始する。

AutoCAD 2011の特徴

プラットフォームソリューション マーケティングデベロップメントマネージャの田中ゆかり氏

　AutoCADは、2D機能に加えて3D機能を搭載するCADソフトウェア。またAutoCAD LTは、AutoCADの機能を制限し、2D機能の一部に限って提供するソフトウェア。いずれも、「信頼性があり、生産性を高め、ほかのCADソフトとの親和性が高い」といった点が強化されているという。例えば、Windows 7への正式対応により、64ビット環境のサポートを強化しているほか、ユーザーのウィッシュリストや良く使われているコマンド・作業を分析し、それをもとに機能強化を図っている。

　AutoCAD 2011では、特に3D機能を強化した。「設計者の意図を分かりやすく伝える」（プラットフォームソリューション マーケティングデベロップメントマネージャの田中ゆかり氏）ことを主眼に、3Dサーフェイスモデリングをサポート。従来対応していたソリッド、メッシュとあわせて利用することで、さらに精度の高いモデルを作成できるという。また、点群データをサポートし、3Dスキャンで取得した20億ポイントの点群データを取り込んで、モデルを作成することもできる。

　もちろん、まだまだ本格的な3D CADソフトに比べれば機能は少ない。しかし、プラットフォームソリューション デベロッパリレーションマネージャ 伊勢崎俊明氏は「3D CADに関しては、設計者がすべて高度な機能を必要としているわけではないし、高機能製品を導入しても、活用できずに苦しんでいるユーザーが多いとも聞いている。AutoCADでは下図に2D図面を使え、AutoCAD LTからのアップグレードに最適ではないか」と述べ、AutoCAD 2011でも3D機能を訴求する考えを示した。

　また、ユーザーのリクエストが多かった選択ツール、ハッチングツールの機能を強化。2Dパラメトリックの推測拘束機能が追加されたことで、図面、詳細図のより素早い仕上げが可能になった。加えて、ファイル形式のサポートを増やし、点群データのファイル形式ならびにFBX形式に対応。これによって、マテリアルを設定した3Dモデルを、ほかのソフトウェアとデータ交換できるようになっている。

サーフェスモデリングと点群データをサポート	2Dパラメトリックの推測拘束機能が追加された

AutoCAD LT 2011の特徴

　一方のAutoCAD LT 2011では、自動調整寸法をまとめて入力する「クイック寸法」、図形の位置合わせを容易に行える「位置合わせコマンド」といった、AutoCADだけが持っていた機能を新たに取り込み、ユーザーの利便性を向上。オートデスク製品などで作成された信頼できるDWGファイル「TrustedDWG」による、AutoCADとの安全なデータ交換と、PDF図面の下書きへの利用をサポートしたことで、複数の設計者によるコラボレーション作業を支援するという。

　なおAutoCAD LT 2011では、ソフトウェアの最新バージョンや機能拡張モジュール、過去バージョンの使用権、Webベースの技術サポートなどが含まれる年間契約の保守サービス「Autodesk Subscription」とのバンドルパッケージも提供される。こちらの価格は、23万2050円。

AutoCAD LT 2011での新機能	AutoCADとAutoCAD LTの比較