「新しいWeb体験を実現する」、デンマークの「Sitecore CMS」日本進出

日本法人社長に元Microsoftの片山氏

Sitecore CEOのマイケル・サイファート氏

 デンマークでCMS(コンテンツ管理システム)を手がけるSitecoreは2月26日、アジア地域で初の拠点として日本法人の設立を発表した。サイトコア株式会社の代表取締役社長には、前Microsoftの片山雅之氏が就任し、26日より営業を開始する。

 Sitecoreは、2001年に創業したソフトウェア企業。2002年に、CMSとしては初めて.NETを採用した「Sitecore CMS」を発売。その後、米国、英国、オーストラリア、スウェーデン、オランダなどに拠点を広げ、今回、アジア地域で初の拠点となるサイトコア株式会社を設立するに至った。

 同社のラインアップには、Sitecore CMSのほか、複数のWebサイトを一元管理できる大規模向け「Sitecore Foundry」、イントラネット向け「Sitecore Intranet Portal」、分析ツールなどもすべて包含した「Sitecore Online Marketing Suite」などがある。また2010年には新製品として、「Sitecore eCommerce」「Sitecore eMail Marketing」、2011年には「Sitecore Marketing Automation」も発売する予定。Sitecore CEOのマイケル・サイファート氏は「当社はユーザーエクスペリエンスに関する豊富なノウハウを有している。製品には、必要な機能をすべて統合しているのが強みだ」と、同社と製品の特長を語る。

 日本をアジア進出の第一拠点に選んだ理由については、「大きな経済規模と、モバイルを中心に先進的なコミュニケーションインフラに魅力を感じた」(サイファート氏)と説明。Sitecoreに日本語サイトの経験があったことや、海外で日本企業との付き合いが豊富だったことも、その理由に挙げた。

日本法人の代表取締役社長に就任する片山雅之氏

 日本法人の代表取締役社長に就任する片山雅之氏は、1995年、Windows 95の発売を控えたマイクロソフト株式会社に入社。大企業向けのサーバービジネスなどに携わり、2001年以降は米Microsoftに移籍して、世界20カ国以上の拠点におけるアライアンスビジネスを推進してきた。

 同氏はSitecoreに入社した経緯を「15年お世話になったMicrosoftを離れるのに郷愁もあったが、Sitecoreにはそれだけの価値があると感じた」と説明。技術力、会社の哲学、日本と似たデンマークのお国柄、人、業界の評価に魅力を感じたのだという。「製品の技術に衝撃を覚えた。ここまでできるのなら、Webは変わっていくのではないかと思った。世界経済は依然と厳しく、IT投資は減少している中で、Webに対しては新世代の考え方が生まれてきている。Webは“情報提供”から“機会創出”へと役割を変え、企業ガバナンスの実現のためにも、コストを削減するためにも、Webの捉え方が変わり、企業は新世代のCMSを求めるようになっている。その意味で、Sitecoreに大きな可能性を感じたのだ。同社はこれまで、試しに販売してみて、うまくいった地域に法人を設立するという戦略だった。しかし、日本ではいきなり法人設立からスタートを切る。それだけの熱意を持って日本へ進出するのだとご理解いただきたい」。

 今後のビジネスプランとしては、「3年でCMS業界のNo.1を目指す」(同氏)という。間接販売を基本姿勢とする同社にとっては、販売パートナー獲得が急務だ。現在、11社と検討中で「目標を達成するためには30社、40社と増やしていく必要があるだろう」。日本法人のスタッフもまだ数が少ないというが、今後、さまざまな体制強化を図りながら、「主に大中規模の企業へ展開を図っていく方針だ」。

 最後にサイファート氏は、Sitecoreのビジョンを語った。「Webサイトはビジネスの統合された重要な一部であるべきだ。顧客にとっても統合されたものでなければならない。では、理想的な顧客とのコミュニケーションとは何であろう。リアルの世界には、リアルな顧客担当者がいて、顧客と双方向のやり取りを実現している。一方、オンライン(Webサイト)は巨大なカタログが置いてあるようなもので、普通は顧客からの単方向でしかない。もしも、オンラインにもAIによる顧客担当者がいたとしたら、Webサイトでも双方向のやり取りが可能となる。具体的に言えば、顧客がアクセスした際に必要な情報のみを自動選別して表示する仕組みだ。これにより顧客の不満の半分が解消される。残りの半分は、リアルとオンラインでのやり取りをマッチングさせること。これらを当社のCMSで実現する」。

企業ミッション。素晴らしいWebエクスペリエンスを提供し、揺るぎないリーダーの地位を築くリアルとオンラインで顧客コミュニケーションの双方向性を実現する



(川島 弘之)

2010/2/26 14:31