「単なるポータルから製品ファミリへ」-マイクロソフト、活用の枠が広がるSharePoint 2010を説明


 マイクロソフト株式会社は2月26日、2010年上半期に提供を予定する次期コラボレーション製品群「SharePoint 2010」に関する説明会を開催。インフォメーションワーカービジネス本部 IWソリューションマーケティンググループ 部長の吉村徹也氏が、その概要を解説した。

 SharePoint Serverはもともと「SharePoint Portal Server」としてスタートしたように、ポータルとしての性格が強い製品だった。しかし、現行バージョンのSharePoint Server 2007より、製品名から「Portal」が取れ、BI(ビジネスインテリジェンス)や文書管理など、バックエンドのシステムとつながるハブとしての性格を強く持つようになっているのだという。さらに、次期バージョンとなるSharePoint 2010ではこの方向性を進化させており、「ポータル」「ソーシャルネットワーク」「コンテンツ管理」「検索」「可視化と分析」「コンポジット型アプリケーション」といった、大きく6つの機能群から構成される「ビジネスコラボレーションプラットフォーム」として位置付けられた。

 吉村氏は、「BIを行って、分析した結果で人を動かしたり、文書を管理したり、ソーシャルコンピューティングで情報を持っている人を見つけ出したり、ビジネスにかかわる人と人との広いつながりを支援するものを、『ビジネスコラボレーションプラットフォーム』と考えている」とこの概念を説明。それらにかかわる広い機能を、単一のプラットフォームで提供できる点、そして、各機能がアナリストから高い評価を受けているように、専業ベンダーの単体製品と比べてもまったく遜色(そんしょく)がないものを提供できるという点が、SharePoint 2010のメリットだと強調する。

インフォメーションワーカービジネス本部 IWソリューションマーケティンググループ 部長の吉村徹也氏SharePoint Serverの歴史SharePoint 2010の特徴
製品ラインアップ

 ラインアップとしても、オンプレミス型の「SharePoint Server 2010 Enterprise/Standard」のみならず、クラウドサービスの「SharePoint Online」、高度な検索機能を提供する「FAST Search Server 2010 for SharePoint」、クライアントツールの「SharePoint Workspace 2010」などをそろえており、複数の製品を持つ「SharePointファミリ」としての性格が強く打ち出されるようになった。

 その中で、中核製品となるSharePoint Server 2010は、サーバーライセンスとCAL(クライアントアクセスライセンス)を購入し、イントラネットにおいて、社員や従業員を対象に使われている例が多い。しかし吉村氏は「社内で使っているコラボレーション環境を、エクストラネットやインターネットを経由してお客さまやパートナーにも提供するのが、新バージョンでの大きな目標だ」と主張。そのために、CALが不要な「SharePoint Server 2010 for Internet Sites」のラインアップも拡張し、小規模サイトの構築に適した廉価版「同 Standard」を追加したと話す。

 なお、CALについてもすべての機能が利用可能なEnterprise CALと、一部機能に限って利用可能なStandard CALが用意されており、ユーザーは必要に応じてどちらかを選択する形。サーバー製品は、ボリュームライセンスによる64ビット版のみの提供となり、パッケージ版、32ビット版は提供されない。

利用に必要なライセンスエクストラネット、インターネット向けの製品が拡充されているCALも2種類が用意される

 クライアントについては、Officeスイートの各製品との連携がもちろん可能。それ以外では、Groove 2007の後継としてSharePoint Workspace 2010を提供する。従来はP2P技術を利用して他ユーザーのコンテンツと同期していたが、SharePoint Workspace 2010ではこれに加えて、おのおののユーザーがSharePoint Serverを中心に同期を取れる、新しいワークスペースの機能を搭載した。ユーザーはオフラインで作業した内容をSharePoint Serverと容易に同期できるようになっており、作業効率の向上が図れるとのこと。吉村氏はこうした機能を紹介し、「Exchange ServerにおけるOutlookに相当するものだ」とSharePoint Workspace 2010を評している。

 このほかSharePoint 2010では、ベーステクノロジーとしてのSharePoint Foundation(旧SharePoint Portal Services)、2009年4月に無償化されたカスタマイズツール「SharePoint Designer」などを、引き続き無償で提供するとのこと。

Office 2010との連携機能オフラインクライアントとして、SharePoint Workspace 2010を提供する



(石井 一志)

2010/2/26 15:46