レッドハットがサーバー仮想化製品のロードマップを公開


米Red Hat、仮想化担当シニアダイレクタのNavin R. Thadani氏
他社製品との機能とコスト比較

 レッドハット株式会社は3月9日、同社仮想化製品に関して、記者向けの説明会を開催。米国本社でサーバー仮想化の製品ポートフォリオ全体に関する戦略を担当している、米Red Hat 仮想化担当シニアダイレクタのNavin R. Thadani氏から、現行製品の特長と今後のロードマップが発表された。

 サーバー仮想化を実現する製品として同社が提供しているのは、仮想化機能を標準搭載したサーバーOS「Red Hat Enterprise Linux 5.4(以下、RHEL)」、仮想化基盤ソフトウェア製品群「Red Hat Enterprise Virtualization for Servers(以下、RHEV)」。

 サーバー仮想化製品で使用しているハイパーバイザは、Linuxの標準仮想化技術である「KVM」。KVMの特長について、Thadani氏は、「KVMはLinuxカーネルに組み込まれているので、密に統合しており、Linuxが持つ性能をそのまま利用できる。これは、セキュリティに関しても同様で、SELinuxにも対応している。また、フットプリントも100MB以下と小さいのが特長」と、Linuxカーネルと密に統合されることで、Linuxが持つ機能を変更することなく利用できる点をメリットとして紹介。

 サーバー仮想化で提供される機能については、「高可用性をサポートしているほか、ライブマイグレーション、ロードバランシングなど、サーバー仮想化で求められる機能をすべて提供している。また、管理ソフトは検索指向のインターフェイスを採用しており、Googleを利用するように仮想マシンを検索して管理することが可能」(Thadani氏)と、機能面でも操作性でも、他社のサーバー仮想化製品と遜色(そんしょく)ないところをアピールした。

 特にLinuxカーネルと統合されたKVMを利用していることで、アプリケーションの展開が容易になる点を強調。「KVMはLinuxの性能をそのまま生かせるため、物理環境と大差ないパフォーマンスを実現することができる。また、3000社のISVとエコシステムを構築しており、物理環境で動作していたアプリケーションを仮想環境でも同様に動作するよう、密に協力している」と、仮想環境であってもミッションクリティカルなアプリケーションを安心して利用できる環境作りをしていると述べた。

 そのほか、コスト面での優位性も紹介。「VMware vSphere 4 EnterpriseとRHEVの導入初年度のコストを比較すると、最大7倍ものコスト差がついている。また、3年間の合計で比較しても、最大3倍の差がついている」(Thadani氏)と、同程度の機能で大幅なコスト削減が可能であると強調。「性能や拡張性、エコシステムなどを評価していただけるとありがたい」(Thadani氏)と述べた。

仮想化製品の2010年ロードマップ

 今後の製品展開については、「2010年前半には、デスクトップ仮想化向けの製品を提供するほか、OVFのインポートとエクスポートへの対応、VMwareやXenなどの仮想マシンに対応した変換ツールなどを提供する予定。2010年後半には、次期サーバーOSのRHEL 6サポートのほか、ライブスナップショットやプライベートクラウド構築用のセルフサービスポータルなどの機能を追加する予定」(Thadani氏)と紹介した。





(福浦 一広)

2010/3/9 18:30