SAS、クレームなどから問題を早期検知するアフターサービス向けソリューション
SAS Institute Japan株式会社は3月24日、製造業のアフターサービス向けソリューション「SAS Warranty Analysis」「SAS Service Parts Optimization」を発表した。4月1日より提供を開始する。
執行役員 ビジネス開発本部長 兼 プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏 |
両ソリューションを提供する背景について、同社執行役員 ビジネス開発本部長 兼 プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏は、「日本製品が相対的に高品質・リーズナブルではなくなっているなど、日本の製造業の地位が相対的に低下している。例えば、自動車をみると、リコール件数は件数・対象台数ともに増加傾向にあり、ここ数年高止まりになっている」と指摘。
また、製品保証コストを見てみると、これまで品質が高かった日本車は売上の1~2%程度を占めるにとどまっているが、欧米車は3~5%程度となっている。つまり、製品品質が相対的に低下すると、こうした製品保証コストも相対的に上昇することになるため、欧米車よりも負担が少ない日本車にとっても製品保証コストを意識しなければならない状況になりつつあるとしている。
こうした課題は、本質的には設計品質や製造品質の段階で対処することになるが、実際には出荷後の市場品質を重視する必要があると宮田氏は説明する。「出荷した製品は地域・環境により使われ方は異なってくる。そのため、地域ごとにきめ細かく留意する必要がある。また、出荷後は問題発生を早期に発見することも重要」と、利用者に製品品質に対する不安感を与えないことが顧客満足度向上につながり、結果として製品保証コストの削減にもつながると紹介した。
自動車のリコール件数は高止まりの傾向に | 製品保証コストは売上高の1~5%を占める | アフターサービスにおいて、顧客起点の価値向上とコスト低減の両立が求められている |
今回発表したSAS Warranty Analysisは製品保証を実現するもので、SAS Service Parts Optimizationは補修部品の最適化を実現するソリューション。
SAS Warranty Analysis |
SAS Warranty Analysisは、より早期段階で不具合を検知することで、対策までの時間を短縮できるソリューション。製品の品質に関する苦情やコールセンターのデータ、故障情報、生産情報といったデータを統合的に分析することで、イレギュラーなクレームを判別することができる。この結果、緊急事態を早期に検出し、問題解決と品質保証コストの予測が可能になるとしている。
同社独自の不具合検知モデルを利用して、大量の品質関連情報から早期検知を実現できるのが特長。具体的には、過去の故障情報などから故障率を算出し、今後想定されるクレーム発生件数・故障率を算出。これを元に、実際のクレーム発生をウォッチし、しきい値を上回るとアラートを発するという仕組みを採用している。
また、情報整理のためのデータモデルと分析環境も用意されているので、不具合の原因追及のための調査解析時間を短縮することができる。そのほか、情報共有のための情報基盤を共有化することで、品質情報の関連部門へのフィードバックの早期化も実現できるとしている。
不具合検知モデル | ソリューションの概要 | ワランティ・データモデル |
SAS Service Parts Optimizationは、統計モデルを利用することで補修部品の在庫適正化を実現するソリューション。需要実績、在庫データ(実在庫、積送中在庫、受注済出荷前、発注済)などのデータを統合的に分析することで、適正な安全在庫量を計算したり、在庫削減を支援することができる。これにより、部品ごとに担当者が手作業で行っていた業務を、アラートリストから自動的に発注量を検討するといったアラートドリブンの発注業務に変換できるため、例外処理のみを人が判断するといった省力化が可能。
SAS Service Parts Optimization | 統計手法を利用して理論在庫を算出 | アラートドリブンの発注業務 |
両ソリューションとも、価格は約5000万円。同社では、初年度3億円の売上を目標としている。
2010/3/24 16:34