リコー、経営陣への助言を行う研究組織「リコー経済社会研究所」を設立


リコーの代表取締役 社長執行役員の近藤史朗氏(左)と、リコー経済社会研究所の所長に就任する稲葉延雄氏(右)
リコー経済社会研究所とリコー経営陣とのかかわり
4つの研究分野

 株式会社リコーは3月25日、社内組織として「リコー経済社会研究所」を4月1日付けで設立すると発表した。研究を行う「シンクタンク」機能と、その研究結果をもとにした「アドバイザリー」機能をあわせ持つ組織で、所長には、リコー特別顧問で元・日本銀行理事の稲葉延雄氏が就任する。

 リコーの代表取締役 社長執行役員の近藤史朗氏は、「企業であるから利益の最大化を図るが、しかし、それが持続可能な経済社会の実現につなげることが、これからの経済活動に必須だと考えており、リコーがこれを実現することを、研究を通して後押しする」と設立の狙いを説明。「企業の競争力強化」「国際社会からの信頼獲得」の両面を目指すという。

 メンバーは、社内組織ではあるが、社外より招聘(しょうへい)した人員を中心に、当初は20名程度で活動を開始する。また、非常勤の参与としては、パナソニック株式会社の中村邦夫会長、三井物産株式会社の槍田松瑩会長、東京理科大学の伊丹敬之教授を招聘。外部の人員を積極的に取り入れた理由を、近藤社長は「企業が安定すると内向きな視点が増えてくる。企業の中にはない気付きを与えてくれることを期待する」と説明した。

 機能としては、「研究成果を実際の企業活動につなげることが、研究所を企業が持つ意味。研究成果を経営に反映し、企業価値を向上させる」(近藤社長)ことを目的に、「シンクタンク」「アドバイザリー」の両機能を兼ね備える。このうち「シンクタンク」は、経済社会の将来動向と企業経営へのインパクトを研究することが目的で、その研究成果をもとに経営陣に対して助言・課題提起を行うのが「アドバイザリー」の役割。

 「(両機能によって)リコーのマネジメントのために情報のインプット、提言することが第一義だ」(稲葉氏)とするが、「実践した企業活動の結果を研究にフィードバックしてさらに研究を深め、その結果、有用な知見があれば、社会や企業経営全般に立つように発信はしていきたいと考えている」とのことで、最終的には、社会への貢献も視野に入れているという。

 なお研究分野は、「産業・企業」「社会構造」「環境・資源・エネルギー」「経済」の4つを設定する。例えば「産業・企業」では、「経済の多極化、市場の統合と分散といった世界経済の変化が企業経営にどういった影響を与えるか」といった点を研究するほか、「『環境・資源・エネルギー』では、環境負荷低減と利益創出の両立を図るための経営を研究する。当社ではこうした環境経営を十数年進めてきたが、それをもっと掘り下げていく」(近藤社長)研究を行うとしている。

 「日本を代表する経営者、学者に参加していただけるのは光栄で、大いに期待している。すでに、稲葉氏より助言をいただくなど、近いことを始めており、この成果が出るのは比較的速いと思っている。早い段階で貢献してもらえるのではないかと思う」(近藤社長)。




(石井 一志)

2010/3/25 13:28