日本AMD、12コアを搭載した最新プロセッサ「Opteron 6100シリーズ」

2ソケット並みの価格で4ソケットサーバーにも対応

Opteron 6100を手にする、米AMDサーバー・ワークステーション部門マーケティングディレクターのジョン・フリー氏

 日本AMD株式会社は3月29日、最新のサーバープラットフォーム「AMD Opteron 6000シリーズプラットフォーム」、および2~4ソケットサーバー向けの最新プロセッサ「AMD Opteron 6100シリーズ」を発表した。

 Opteron 6000シリーズは、新しくG34ソケットを採用した2~4ソケットサーバー向けのプラットフォーム。プロセッサあたり4チャネル、合計12本のDIMMをサポートしており、プロセッサあたり最大96GB(8GB DIMM使用時)、4ソケットシステム利用時で最大384GBとシステム全体で利用可能なメモリ容量が大幅に増加しているのが特長。チップセットは、I/O仮想化機能を搭載したAMD 5600シリーズチップセットを採用。HyperTransport 3.0やPCI Express 2.0といった機能を採用している。

 米AMDサーバー・ワークステーション部門マーケティングディレクターのジョン・フリー氏は、「これまで、4ソケット向けプロセッサは2ソケット向けプロセッサと比べると、価格プレミアムが存在していた。その結果、サーバー市場は2ソケットが主流となっている。今回、2ソケットでも4ソケットでも利用できるOpteron 6000シリーズを提供することで、お客さまにより高い価値を提供できる」と、4ソケットサーバーに2ソケットサーバー並みの価格メリットを与えると宣言。

 これに伴い、製品ラインも、1~2ソケット向けの「Opteron 4000シリーズ」と、2~4ソケット向けの「Opteron 6000シリーズ」の2つに統合。「Opteron 6000シリーズでは、ワットあたりの性能や拡張性にフォーカスし、Opteron 4000シリーズでは、電力効率や低コストを重視する。この2つの製品ラインは機能的には同じものを提供するので、プラットフォームとしての共通項が多く、管理面でも効率化が図れる」(フリー氏)と、インテルの製品が価格や製品ラインにより提供される機能が制限されるのに対して、そういった制限がない構成が特長であると強調した。


サーバー向けプロセッサは、Opteron 6000シリーズとOpteron 4000シリーズの2ラインにサーバーのメインストリームである2ソケット向けにOpteron 6000/4000の両製品を提供製品ラインや価格により機能差を設けているインテルに対して、AMDはすべての製品で同じ機能を提供
ダイレクトコネクト・アーキテクチャー 2.0

 機能面では、ダイレクトコネクト・アーキテクチャーを2.0にバージョンアップ。「1.0ではプロセッサあたり2チャネル・8 DIMMのサポートであったが、2.0ではプロセッサあたり4チャネル・12 DIMMをサポートした。4チャネルのサポートはAMDだけが実現しており、仮想化やデータベースなどで効果を発揮する。搭載可能なメモリ容量が増えることで、より低コストでキャパシティを増加することもできる。また、4つのプロセッサ間を1ステップで接続することで、プロセッサ間の通信を拡充。スケーラビリティやパフォーマンスの向上を実現している」(フリー氏)と紹介。

 また、4ソケット対応ながら、2ソケット相当の価格を実現しているのも大きな特長として紹介した。「4ソケットサーバー市場は、プロセッサの価格プレミアムなどの影響もあり、市場が縮小している。これを変えるのが、今回発表したOpteron 6000シリーズ。2ソケットサーバーと同じ価格帯で提供することで、これまでの4ソケット向けプロセッサと比べて、価格は半分になりながら、パフォーマンスは倍にすることができる。これにより、4ソケットサーバー市場を大きく変えることができる」と、4ソケットサーバーで新しい波を起こすと述べた。


競合製品と比べて、価格面で優位性があると紹介競合製品とのパフォーマンス比較。同等のパフォーマンスで価格面で大きな優位性があると強調競合製品の2ソケットシステムとAMDの4ソケットシステムとを比較しても価格メリットがあると紹介
Opteron 6100

 Opteron 6100は、開発コード名「Magny-Cours」と呼ばれていた12コアおよび8コアを搭載したサーバー用プロセッサ。2つのプロセッサダイをパッケージ化することで、12コア/8コアを実現している。

 6コアOpteronと比べると、SPECint_rate2006で88%、SPECfp_rate2006で119%の性能向上を実現。コストパフォーマンスでは、競合のIntel Xeon X5680×2の価格が3326ドルに対して、Opteron 6136×4の価格が2976ドルと、4ソケットながら2ソケットよりも価格が低い点を強調。あわせて、消費電力に関しても、Xeonが130Wなのに対して、Opteronが80Wであるなど、消費電力も少ないと圧倒的な優位性にあるとした。


Opteron 6100を搭載したHPのサーバー(参考出品)同じくOpteron 6100を搭載したデルのサーバー(参考出品)デルのサーバーの内部
代表取締役社長の宮本啓志氏

 同社代表取締役社長の宮本啓志氏は、ユーザーにとってのメリットを「これまでの4ソケット向けプロセッサは、2ソケット向けプロセッサと比べて、倍程度の価格プレミアムがあった。今回発表したOpteron 6000シリーズは4ソケットのプレミアムをなくしたことで、2ソケット相当の価格で、性能を大幅に強化できるため、4ソケットならではのメリットを大幅に向上できる」と説明。「サーバープロセッサで、パラダイムシフトが起こるだろう」と、4ソケットサーバーの新しい使い方などが可能になると述べた。

 1000個受注時の価格は、Opteron 6176 SE(12コア、2.3GHz、105W)が1386ドル、Opteron 6174(12コア、2.2GHz、80W)が1165ドル、Opteron 6172(12コア、2.1GHz、80W)が989ドル、Opteron 6168(12コア、1.9GHz、80W)が744ドル、Opteron 6136(8コア、2.4GHz、80W)が744ドル、Opteron 6134(8コア、2.3GHz、80W)が523ドル、Opteron 6128(8コア、2.0GHz、80W)が266ドル、Opteron 6164 HE(12コア、1.7GHz、65W)が744ドル、Opteron 6128 HE(8コア、2.0GHz、65W)が523ドル、Opteron 6124 HE(8コア、1.8GHz、65W)が455ドル。



(福浦 一広)

2010/3/29 14:17