富士通、Xeon 7500番台を採用した基幹IAサーバー「PRIMEQUEST 1000シリーズ」

RAS機能はItaniumと同等、性能は明らかに上

PRIMEQUEST 1000シリーズのうち、「1800E」(左)と「1400S」(右)。中央に置かれているのはシステムボード

 富士通株式会社は3月31日、基幹IAサーバー「PRIMEQUEST」の新シリーズとして、「同 1000シリーズ」を発表した。従来製品ではItaniumを採用していたが、今回よりXeonベースの製品として生まれ変わっており、今後の新製品はすべてXeonを利用するという。販売は同日より開始される。

 PRIMEQUESTは、メインフレームの持つ信頼性・堅牢性と、オープンシステムの汎用性・経済性を両立させたサーバーとして、第1世代が2005年に発表された。富士通 IAサーバ事業本部長の河部本章氏は、「従来製品でも世界最高性能を出しているほか、高信頼性が評価されて、グローバル23カ国に1400~1500台を販売。重要な用途で利用され、ほとんどトラブルになく順調に稼働中だ」と現状を紹介。その集大成といえる代表的な導入例が、東京証券取引所(東証)の次世代株式売買システム「arrowhead」で、富士通のミドルウェア、東証と共同開発したアプリケーションなどと相まって、メインフレームベースの従来システムと比べ、1000倍以上の高速性を発揮できている。

PRIMEQUESTの開発コンセプトarrowheadでの採用事例富士通 IAサーバ事業本部長の河部本章氏

 今回発表されたPRIMEQUEST 1000シリーズは、こうした従来製品の特徴を引き継ぎながらも、CPUをItaniumからXeon 7500番台に変更した。この理由について河部本氏は、「以前はItaniumに分があったが、RAS機能が同等になり、パフォーマンスは明らかにXeonが上ということで、今後はXeonに切り替える」と説明する。

 性能面では、このXeonの採用で、従来製品に対して3~6倍のプライスパフォーマンスを実現。メインフレームを開発していた時と同じ開発・品質保証体制を継続するほか、内部コンポーネントの二重化・冗長化、ホットスワップ、フレキシブルI/Oと予備ボードによる自動復旧といった高信頼・高可用機能も搭載しているため、一般のIAサーバーと比べて、1けた低い停止率を実現しているという。また、Xeonの採用により、「(IAサーバーの)『PRIMERGY』で動くものは、すべてPRIMEQUESTで動くようになった」のもポイント。これによって、対応するソリューションが格段に増え、より適用領域を拡大できるとした。

 逆に、PRIMERGYとの差別化がしづらくなるようにも思えるが、河部本氏は「UNIXの受け皿を含めたミッションクリティカル市場は、PRIMEQUESTで引き続き対応。一方、コストパフォーマンスやタイムトゥマーケットを重視するお客さまにはPRIMERGY、といった形で売り分けができる」とし、混乱は起こらないとの見方を示した。

 またPRIMEQUEST 1000シリーズでは、柔軟性・運用性への取り組みも積極的に行っている。メインフレーム、UNIXサーバーで培ったハードウェアパーティショニングなどの仮想化技術、IAサーバー向けの仮想化ソフトなどを適用でき、PRIMEQUESTの持つ堅牢性とあわせて、信頼性が高い環境でのサーバーリソース集約を実現可能。今後は、メインフレームのXSP、オフコンのASPといったOSをPRIMEQUEST上で動作させる計画もあるとした。さらに、最大10年の長期保守サポートを提供するロングライフモデルを用意し、Linux、ミドルウェアとあわせた、「下位のレイヤから上位のレイヤまで一気通貫で、日本のお客さまが要望する長期サポートを実現した」(河部本氏)点でも、差別化を行えるとのこと。

高信頼・可用性への取り組み性能への取り組み柔軟性・運用性への取り組み

 ラインアップは、最大4CPU(32コア)のタイプが3モデル、最大8CPU(64コア)のタイプが2モデル用意される。最大4CPUのタイプは、エントリーモデル「1400S」が300万円(税別)から、エンタープライズモデル「1400E」が710万円(同)から、ロングライフモデル「1400L」が920万円(同)から。最大8CPUのタイプは、エンタープライズモデル「1800E」が1140万円(税別)から、ロングライフモデル「1800L」が1480万円(同)から。従来のItanium搭載製品についても、販売は継続する。

 なお、一般的にエンタープライズ製品は提供開始まで時間を要するケースが多いものの、今回はXeon 7500番台の発表と同時のリリースを実現している。こうした点について、河部本氏は、「従来のPRIMEQUESTでもそうだったが、Intelと強力な協業を実施した結果。構想・企画段階から共同で仕様検討を開始し、デバッグ、QAなどを行ってきた」と、強い協業関係をアピール。

 記者発表会に出席したインテル 代表取締役社長の吉田和正氏も、「富士通との協業の歴史は20年以上。当社がミッションクリティカル、エンタープライズといった領域に入って来た時から、技術、マーケティングなど多方面で教わり、当社の中に富士通の技術が組み込まれてきた歴史もある。当社のイノベーションを通じて、最新のソリューションを富士通と提供していきたい。ICTの利活用促進、日本企業の競争力向上を果たすことが両社の役割だと思っており、日本の進歩に大きな役割を果たしていく」と述べ、富士通のXeon採用に歓迎の意を表していた。

インテルの吉田和正社長(左)と、富士通の佐相秀幸執行役員常務(右)Intelとの協業体制





(石井 一志)

2010/3/31 17:23