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薄い幸せを与える官僚から、深い幸せを与える経営者に
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アセンディア酒井社長
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本日のゲストはアセンディア酒井社長です。元通産省官僚であり、ベイン・アンド・カンパニーのコンサルタント出身者でもある酒井氏はいま、ベンチャー企業の経営に取り組んでいます。
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酒井 秀夫
株式会社アセンディア 代表取締役社長
東京大学法学部卒業
1995年 通商産業省(現、経済産業省)入省後、産業政策、情報政策の企画立案等を実施。
2002年より、戦略コンサルティングファーム ベイン・アンド・カンパニーにてコンサルティングを実施。現在、株式会社アセンディア代表取締役社長。
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■ 地方発ベンチャーの再生に賭ける
小川氏
社名のアセンディアとはどういう意味なんでしたっけ? 伺った気もしますが(笑)。
酒井氏
造語なんですけど、“向上、上昇、復活”を意味する英語のAscendに、地域を意味するAreaを加えて、アセンディアとしました。他にもいろいろ候補がありましたが、社員投票を行った上でアセンディアに決定しました。
小川氏
大分に本社があるんですね。
酒井氏
そうです。当社は大分の会社で、地域活性化をキーワードにしています。社員の9割くらいは九州出身ではないでしょうか。
小川氏
事業内容はソフトウェアの開発でしたね。
酒井氏
はい。それにWeb系の受託開発や、教育サービスなどを行っています。教育サービスというのは、ソフト開発の未経験者にJavaなどの教育を行って、エンジニアを育成しようというものです。
小川氏
それを大分で行っているということですか。
酒井氏
ええ。まず当社の成り立ちを説明いたしますと、会社自体は2006年の10月1日にウッドランドグループ3社統合でできた会社です。それぞれの3社は、ソフトウェアの製造工程に強みを持つ会社、独自のパッケージソフトウェアを持つ会社、自治体向けのコンサルティングに強い会社と、それぞれの強みがありながらも、なかなか単体で大きくしていくのは難しい会社だったのですが、今回の統合により、上流から下流までを押さえるSIerに生まれ変わったと思っています。
■ 大分に拠点、国内オフショアによる開発
小川氏
なるほど。統合後の人数はどのくらいですか?
酒井氏
約130人です。内訳をいうと、東京と大分・福岡で半々、エンジニアだけでいうと6割が東京にいます。大分・福岡を国内オフショアとみています。
小川氏
開発拠点をすべて大分にもっていきたいですか?
酒井氏
実際に全部は無理ですね。仕事は東京が多いですし。だから設計をお客さんのところで行って、あとは大分・福岡でやるという形になっています。
小川氏
再建途中の苦労は計り知れませんが、これは苦労するな、という点はどこですか?
酒井氏
よく冗談で言っているのは、社員が100人いると、社長の仕事はその調整と彼らの愚痴をきくことですね(笑)。もちろん個々のパフォーマンスをいかに最大化するかを考えるためにも必要なことだと思います。親会社であるウッドランドも統合してフューチャーアーキテクトとなりましたし、われわれも三社合併後の調整がようやく終わって、武器はそろったなーという感じがしてますね。
小川氏
現在の売上の構成は?
酒井氏
WebのなかでもCRMの話が多いですね。ついこないだSugarCRMに関する業務提携の話をプレスリリースしたんですけど、これはオープンソースをベースとしたCRMソフトです。3社統合により、売上も伸びてきていて、7~8億くらいの売上から11億にまできました。
小川氏
アセンディアとして、再上場を考えたりするんですか?
酒井氏
もちろん目標は再上場です。九州で地道にやることによって、大分県、大分のVC、大分の銀行などにも恩返ししたいですね。
小川氏
酒井さんご自身も大分出身なんでしたっけ?
酒井氏
いえ。でも母が中津の出身でね、縁はありますよ。いまは月に2回くらい、行ったり来たりをしてまして、月のうち3分の1くらいは大分に滞在しています。関サバ、関アジ、とおいしい魚を満喫してますよ。とくにね、フグのキモを食せるのは大分だけなんじゃないですか(笑)。
小川氏
おなかすいてきました(笑)。
酒井氏
大分は湯布院からクルマで30分くらいですので、近くですよ。
■ 起業より経営、ベンチャーより大企業を模範に
小川氏
酒井さんは通産省の官僚でいらしたんですよね。
酒井氏
ええ。親会社であるフューチャーアーキテクトの安延社長は当時の上司です。通産省を辞めて、コンサルタントをしているときに一緒に寿司を食べながら企業経営の話をされまして、自然な流れで私がそれを受けることになったんです。
小川氏
そもそも起業家になりたかったというわけでもないんでしょう?
酒井氏
違いますね。起業よりは経営、マネージメントに興味がありましたね。語弊があるかもしれませんが、役人は多くの人に薄い幸せを提供する仕事だと感じていました。コンサルだともう少し狭い人に、中くらいの幸せ(笑)。
小川氏
(笑)で、経営者は?
酒井氏
経営者は、もっと少なく狭い対象の人に、深い幸せを与えられる仕事かな、と。そして経営に長けてくれば、もっと大きく広い対象を相手にできるだろうと思ったんですね。
小川氏
経営者として参考にされているような方はいますか?
酒井氏
不遜な言い方ですけど、あまり考えたことないですね。ああ、でもミスミの三枝さんかな…。コンサル出身者が興した会社はあまり成功している例がないように思えるので。というか、ベンチャー企業の社長よりも、大企業の事業部長のような方に興味がありますね。
小川氏
それはなぜ?
酒井氏
ベンチャーの多くはしょせん10億とか20億円の売上じゃないですか。日立や富士通のような大企業は何兆円という規模です。そういう大きな企業の事業部長になれるような人を育成できたら、これはほんとに面白いですね。
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小川 浩(おがわ ひろし) 株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター。
東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。
2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、現在サンブリッジにて起業準備中。
著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。 |
2007/03/30 00:00
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