日本オラクル株式会社は、「Oracle Database 10g」を4月5日より出荷すると発表した。最小構成時の5ネームドユーザーライセンス価格を従来の1/3となる10万円以下に抑え、2CPUまでのWindowsプラットフォーム市場に本格参入を果たす。

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日本オラクル株式会社 代表取締役社長 新宅 正明氏
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Oracle Database 10gはこれまで通り、「Oracle Standard Edition One(以下SE One)」、「Oracle Database 10g Standard Edition(以下、10g SE)」、「Oracle Database 10g Enterprise Edition(以下、10g EE)」の3製品で構成される。
SE Oneでは、CPU数の上限を従来の1から2へ変更するとともに、価格を約20%引き下げ、最小構成となる5ネームドユーザーライセンスで93,000円、CPUライセンスで624,400円とした。
また4CPUまでの環境向けとなる10g SEでは、従来オプション製品だった「Oracle Real Application Clusters(RAC)」の4CPU限定ライセンスを標準で付属する。このため例えば1CPUのサーバー4台でシステムを構成することも可能となる。価格はこれまでと同じくCPUライセンス1,875,000円だが、6月末までは980,000円のキャンペーン価格で購入できる。
それ以上のシステムを対象とする10g EEではライセンス体系や価格に変更はなく、CPUライセンスで5,000,000円となっている。

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OS別データベース製品のシェア
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今回発売されるのは、Linux x86、Solaris SPARC、HP-UX PA-RISC、AIX5Lで、32ビットWindows対応版は5~6月ごろ提供される予定。このほかSolaris x86、Mac OS Xに新たに対応するほか、64ビットWindowsやHP-UXとLinuxのItanium版、IBM S/390 Linux、Tru64、OpenVMS Alphaの各プラットフォーム対応版も出荷予定となっている。
同社代表取締役社長 新宅 正明氏は、今回の発表について「マイクロソフト製品に対し、焦点を当てた戦略」と語った。そして「Windowsプラットフォームでは、1997年に61%のシェアを持っていた。その後SQL Serverのシェアが広がり、現在でも48.3%と1位ではあるがUnix、Linuxと比べて低い。今年、来年で、このエリアでのシェアを97年当時の水準に戻したい」と述べた。このため同社では価格戦略以外にも、SQL Serverからの移行プログラムを新たに提供するとともにパートナー支援プログラムを強化する。

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日本オラクル株式会社 取締役専務執行役員 セールス・マーケティング・開発統括担当 山元賢治氏
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同社取締役専務執行役員 セールス・マーケティング・開発統括担当 山元賢治氏は、1~4CPU構成の小規模システムでのデータベース製品で競合する、Microsoft SQL Serverとの比較について、パートナーや同社の「Oracle Direct」からの声として「セキュリティやスケーラビリティでは勝っていたが、価格面、導入や管理、運用での容易さで劣っているとされていた」と述べ、「10gではこれらの弱点を解消して、これまでより間口を中小規模システムにまで広げる」と語った。
同氏は今回の価格設定について「SE Oneでは、Microsoft SQL Server 2000 Standard Editionと比較してユーザーライセンスで1/3、CPUライセンスで2/3」としたほか、10g SEでは、2CPU2ノードの場合に「単純なHA構成では1/6、RAC構成の場合でもSQL Serverと同等価格でのシステム構築が可能となる」とした。そして「クラスタソフトウェアは実際にかなりのシステムで利用が広まっている」との調査結果を示しながら、「10g SEにRACをバンドルすることで、スモールスタートが可能になり、投資も無駄にならない。将来的には小規模のシステムがグリッドによるユーティリティコンピューティング実現の大きな要素になって欲しい」とした。
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システム規模別の主要なデータベース製品
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単純なHA構成では1/6、拡張性も確保できるRAC構成でもSQL Serverと同等程度での構築が可能だ
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SQL Serverへの移行では、購入価格の半分が下取り価格の上限となる
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このほか同社では「Microsoft SQL Server下取りプログラム」と、「移行コンサルティング」のサービスを12月31日まで提供する。
SQL Serverの下取りでは、Oracleへの移行時にSQL Server購入価格を上回る場合にはライセンスによる規定価格が設定される。下回る場合には、価格の50%を上限にした下取りが行われる。対象となるのは10g SE/EEのみとなる。
移行コンサルティングは、データベース移行時の技術支援を行うもの。50テーブル/ビューを上限に、4,000,000円の固定価格で提供される。
現在同社のパートナーは、2003年2月に発表されたメンバーパートナーの拡充により、2月25日現在で703社に達しており、Oracle DatabaseやRACをはじめとした製品群のほか、MIRACLE LINUXのライセンスも提供している。これらパートナーに対して、2日間の教育コース「Oracle 10gクイックスタート」を70%のディスカウントとなる36,000円で提供する。。また10gの新機能である「HTML DB」のテンプレートを無償で提供する。
現在Microsoft Excel/Accessでデータ管理を行っている中小企業向けの新機能である「HTML DB」のデモも行われた。同社では小規模アプリを手近に作るのに向いているとしている。
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秘密性の高いデータをExcelで管理する中小企業は案外多い
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HTML DBではこうしたデータをコピー&ペーストなど複数の手段でインポートできる
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表の定義とデータ取り込みを一度に行える
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取り込んだデータはWebフォームの形式で編集が可能だ
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取り込んだデータを元にしたグラフ作成も、画像でなくダイナミックに作成される
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ユーザーのアクセス状況や振る舞いを監視することも可能だ
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■ URL
日本オラクル株式会社
http://www.oracle.co.jp/
ニュースリリース
http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1075
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( 岩崎 宰守 )
2004/03/03 17:17
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