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日本HP、システム開発の要件とテストを統合管理できる「Quality Center 10」


HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 マーケティング部の岡崎義明氏
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は2月25日、システム開発時の要件とテストを統合管理できる品質管理ソリューションの新版「HP Quality Center 10.0」を発表した。4月1日から販売開始する。

 HP Quality Centerは、アプリケーション品質管理を担うソリューション。新版では、統合された品質管理と全社レベルでの品質プロセス標準化をサポートする。

 HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 マーケティング部の岡崎義明氏によると、「ソフトの不具合の大半は、要件が不明確であることに起因する」という。このような不具合は、エンジニアが開発の途中で発見・修正することが難しく、多くがユーザー受け入れテストでユーザーによって検出されるため、後戻りが発生してプロジェクトに多大な影響を与えてしまう。

 また、昨今はSOAの発展などにより、オープンアーキテクチャの採用が進んでいる。例えば、販売、会計などのシステムが開発された場合、それぞれのデータは有機的に結合するようになっていることが多い。ところが、実際の開発においては、「それぞれ別のプロジェクトとして異なる基準で管理されているのが一般的。だが、プロジェクトごとの基準で品質管理を行うのは限界がある」と岡崎氏は指摘。「こうした異なる品質基準で開発されたシステムにおいて、データ連携しようとすると、そごが生じる場合がある。また、オフシェア開発を推進していれば、それこそ品質基準はまったく異なるものとなり、全社的なコンプライアンスに対応することは困難」(同氏)とした。


HP Quality Centerの概要

反復可能な品質管理プロセスを実現
 HP Quality Center 10.0では、この課題を解決するため、「要件管理」と「テスト管理」を統合したのが特長。すべてのテスト資産(要件、テスト、ビジネスコンポーネントなど)を統合的に管理することで、複数の資産間で双方向のトレーサビリティを実現。加えて「バージョン管理」や「ベースライン管理」といった支援機能によって、要件の変更に素早く対応し、必要な品質レベル達成に向けた全社的な品質プロセスが確立できるという。

 具体的には、さまざまなテストの内容を、各要件とひも付けて管理することが可能。要件に変更があった場合の影響や、どのテストをやり直すべきかなどが把握できるようになる。各テスト資産に対する変更履歴は、バージョン管理機能で管理。変更の重複による不一致を防げるほか、付与されるバージョン番号を基に、以前の内容を表示したり、異なるバージョンで内容比較したりできる。自動機能テストソフト「HP QuickTest Professional software」が使用するテストリソースも集中的に管理できるため、品質プロセスに「自動化されたテスト」を連携させることがさらに容易になるとしている。

 一方のベースライン管理機能では、その時々のテスト資産を「基準点」としてキャプチャ。プロジェクト進行中はテスト資産にさまざまな変更が加えられるが、必要に応じていつでもベースラインの内容を復元できるほか、ベースラインを別のプロジェクトにエクスポートすることも可能になる。

 また、HP Quality Center 10.0には、「Starter Edition」「Enterprise Edition」「Premier Edition」の3種類が用意されており、最上位のPremier Editionでは「プロセス設定支援機能」なども利用できる。

 これは、あるプロジェクトの品質基準を「テンプレート」として定義し、ほかのプロジェクトで共有できるようにする機能。プロジェクトごとのテスト資産管理だけでなく、品質プロセスを効率的にマネジメントし、全社的な標準化を図ることが可能となる。なお、テンプレートをプロジェクト独自にカスタマイズすることも可能だ。

 岡崎氏は「これら品質プロセスの標準化、および品質レベルの統一を支援する機能は、HP Quality Center 10.0のユニークな特長」とアピールした。

 価格は、Starter Editionが50万4000円から、Enterprise Editionが504万円から、Premier Editionが924万円から。


バージョン管理機能の概要 ベースライン管理機能の概要 Editionごとの機能一覧


URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2009/fy09-062.html

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( 川島 弘之 )
2009/02/25 16:36

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