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サイボウズ・ラボ代表取締役社長に就任する畑慎也氏
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サイボウズ株式会社は7月26日、ソフトウェアの研究開発に特化した新会社「サイボウズ・ラボ株式会社」を8月初旬に設立すると発表した。代表取締役社長にはサイボウズの創業メンバーの1人で、同社CTO(最高技術責任者)の畑慎也氏が就任し「GoogleやMicrosoftのような世界に通用するソフトウェアをつくり出せる企業」に向けたテクノロジーの追究を行っていくとしている。
サイボウズ・ラボは、サイボウズにおけるソフトウェアの研究開発を専門に行う新会社。「テクノロジーを追究し、中長期的な視点に立って情報共有ソフトウェアの研究開発を進める」という。当初は、グループウェアなどを開発してきたサイボウズのソフトウェア開発部隊50人前後のうち、畑氏をはじめとする3~4人がサイボウズ・ラボに移り、サイボウズの開発部隊はそのまま稼働、畑氏はサイボウズのCTOを兼務する。
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サイボウズとは対照的にシンプルなサイボウズ・ラボのwebサイト。「英語が中心で技術者にじっくり読んでもらえるような情報を載せていく」という
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畑氏によると、サイボウズ・ラボが研究開発を進めるというのは、主にソフトウェアの土台や次世代技術の採り入れといった部分で、ここでの成果をサイボウズの開発部隊が製品化するという。サイボウズは6月に大規模向けグループウェア「サイボウズガルーン2」と、その開発フレームワークとなった「CyDE2」を発表したが、今後は前者をサイボウズ、後者をサイボウズ・ラボが開発していくというすみ分けだ。
また、「すべての成果物を商品化や収益化に向けるというわけではなく、一定の条件下でフリーソフトやオープンソース(Free/Libre and Open Source Software(FLOSS))としての提供も計画している」とのことだ。畑氏は例として、MySQLやMovable Typeなどのように個人での利用に対しては無償で提供したり、あるいはRed Hat Linuxのようにコードは無償で提供するが、サポートなどを組み合わせたパッケージを有償で販売するといったモデルを挙げる。いずれも具体的なスケジュールは未定だが、2006年の第1四半期あたりをめどに何らかの成果物を出す計画であるという。
サイボウズ・ラボでは、国内はもちろん、海外でも情報共有の標準となるようなソフトウェアを開発することに照準が向けられている。サイボウズが国内でシェアを争う相手であるLotus NotesやMicrosoft Exchangeは、世界各地で利用されている製品であるから、世界で通用するソフトも開発できるという考えだ。サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏は「世界に通用する製品開発に専念させる」と話している。
サイボウズ・ラボは、当初は少人数でスタートするものの、すでに人員増強に向けて動いているとのことで、その国籍は問わないほか、将来的には海外拠点の設置も構想しているという。
コンピュータソフトウェア開発においては、ほとんどが米国などに遅れをとっている中、ここから「日本初で世界標準となるソフトウェア」が生まれるか注目される。
■ URL
サイボウズ・ラボ株式会社
http://labs.cybozu.co.jp/
プレスリリース
http://cybozu.co.jp/company/news/2005/20050725.html
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( 朝夷 剛士 )
2005/07/25 16:45
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