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代表取締役社長の青野慶久氏
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サイボウズ株式会社は6月30日、2007年度初頭にも、同社の大企業向けグループウェア「サイボウズ ガルーン2」と連携するSFA(営業支援)ソフトを販売する予定であることを明らかにした。7月に予定されている東証一部指定を受けて開催した事業説明会で、代表取締役社長の青野慶久氏と、取締役副社長の津幡靖久氏が語ったもの。
青野社長はこの説明会においてまず、サイボウズの企業理念について触れ、「情報サービスの大衆化を進める。難しい、高い今のサービスを安く、簡単にすることが当社の使命」と切り出した。そして、中長期的なポイントとして「情報共有」を取り上げ、「個人で持っている情報を共有することで、新しい知が創造できる。情報共有なら日本の“和の文化”が生かせる」と説明。加えて「グループウェアの国内シェアで当社は2位だが、1位との差は縮まっている。1位のIBM、3位のマイクロソフトという“世界最強”の企業を相手に日本のグループウェア市場を、和の文化を持ったサイボウズが切り開いている」と語っている。
そんなサイボウズだが、これからはグループウェア以外に、さまざまな商品を提供していくという。現在同社が提供しているのは、メールシステムの「サイボウズ メールワイズ」、ワークフローシステムの「サイボウズ ワークフロー」などだが、こうした情報共有のソフトを展開することで、「トヨタのように、日本のいい文化を輸出していきたい。助け合う和の文化を輸出したいという夢を持っている」と野心をのぞかせた。
さらに、「ソフトを作って売るということだけをしてきたが、それだけでは満足しない時代になった。(オンデマンドの)SaaS(Software as a Service)が流行ってきており、サービスを高めて提供していきたい。現在はサイボウズ単体でそこまではできないが、資本提携などを行いながら、グループで協力しながらいっそう大きくしていく」と語り、津幡副社長にバトンタッチ。
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取締役副社長の津幡靖久氏
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津幡副社長は、「外部の力を借りて、より大きく強く、事業を発展させる。M&Aでは、仲間を集めたい」と説明。「業績やブランドの価値は大きいが、まずは事業をするために一番重要な“人”を集めてくる。今まで持っていなかった知恵を加えていく」と述べ、拡大の方向性を示した。
そして津幡副社長は、サイボウズがこうした方向性で考えている事業の例として3つを紹介した。1つ目は、すでに発表済みの「ビジネスケータイ プロジェクト」。グループウェアを携帯電話から安全にアクセスできる環境を整備する狙いがあり、MVNOも視野に入れ、ウィルコムと提携して顧客に提供している。現在は240回線でテスト中とのことで、2006年度中の正式サービス提供を目指す。
2つ目は「iDCプロジェクト」。「既存データセンターの設備を借りて、ASPやホスティングのビジネスをサイボウズブランドで提供する基盤を作る」(津幡副社長)目的があるという。「ほとんどのユーザーはまだパッケージとしての提供を望むが、サービスとしての提供を望む人が増えているのは事実なので、サービスを拡大していきたい」(青野社長)。
最後の3つ目は、「SFAプロジェクト」で、サイボウズ ガルーン2と連携するSFAソフトの提供を目指している。津幡副社長は「ユーザーから、営業面の管理強化を要望いただくこともあり、これを自社グループブランドで強化する」としたほか、「ASPには市場性がある」とも述べ、セールスフォースなどと同様のSaaS形態の提供も視野に入れているとした。この場合は、2つ目のiDCプロジェクトの成果を活用するとのことである。提供時期は、2007年度初頭を目指している。
■ URL
サイボウズ株式会社
http://cybozu.co.jp/
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( 石井 一志 )
2006/06/30 15:59
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