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富士通のコンサルティング事業本部と富士通総研が統合へ

経営とITの一体化を推進するコンサル事業を強化

富士通グループにおけるコンサルティングの強化施策

プロフェッショナルサポートビジネスグループ グループ長・平田宏通経営執行役上席常務
 富士通株式会社は3月27日、コンサルティング事業の強化を図るため、4月1日付で富士通のコンサルティング事業本部を株式会社富士通総研(FRI)に統合し、グループ内に分散していたコンサルティング機能を集約することを発表した。

 富士通のコンサルティング事業本部は、内部統制対応やBCM(Business Continuity Management:事業継続管理)構築対応、ITにつなぐ上流コンサルティングなどで実績と強みを持つのが特徴。一方、FRIは、シンクタンクである経済研究所とのシナジーを生かした経営・業務コンサルティングを推進している。今回の統合によって、経営とITの一体化の視点から、顧客企業の経営課題により踏み込んだアプローチが可能になるという。統合後の従業員数は総勢430人となり、そのうちコンサルタントが350人を占める。コンサルタントのメンバーは、富士通からの出向が約200人、FRIが約150人で構成される。

 コンサルティング機能統合の狙いについて、富士通 プロフェッショナルサポートビジネスグループ グループ長・平田宏通経営執行役上席常務は、「今、顧客企業からは、さまざまな経営課題の解決に向けて、経営とITの一体化を推進するコンサルタントが求められている。今回のコンサルティング機能統合は、こうしたニーズに的確に対応できる体制を整えることが目的」とし、「世界の経済動向や業界動向を鳥瞰(ちょうかん)しながら、顧客の経営課題に踏み込み、より的確な経営とIT活用を実現する。そして、経営とITの高度なコンサルティングによって、顧客の価値最大化を図っていくことが新生・FRIのミッションである」と述べた。


新生・富士通総研がフォーカスする4つの活動領域 シンクタンク機能とコンサルティングの連携イメージの例 新生・富士通総研のビジネス体制

 新生・FRI発展に向けたビジョンとしては、1)“経営とITの一体化”の推進、2)FRI 経済研究所の知見の活用、3)新技術適用やグローバルなサポート―の3点を挙げた。

 まず、“経営とITの一体化”の推進では、顧客企業の経営課題を大きく4つの領域に整理し、それぞれの領域にフォーカスした課題解決とITの戦略的活用を提案する。フォーカスする領域は、「ビジネス・トランスフォーメーション」(事業領域の選択と集中や事業拡大、経営革新、事業構造の改革などに対する領域)、「プロセス・イノベーション」(経営・生産・会計などの業務プロセス改革の領域)、「ビジネス・アシュアランス」(内部統制などの社会的責任、存続のための経営基盤強化、リスクマネジメントの領域)、「ビジネス・クリエーション」(新技術への対応や新規ビジネスモデルの創出など技術とビジネスを結びつけるコンサルティング領域)の4つ。そして、「これら4つの領域それぞれにおいて、金融、製造、流通、公共、情報・通信など顧客企業の業種に応じた最適なコンサルティングを提案していく」(平田経営執行役上席常務)という。

 2つ目のビジョンであるFRI 経済研究所の知見の活用は、「今回のコンサルティング機能統合の大きな強みとなる部分」(平田経営執行役上席常務)であり、社会経済にかかわる幅広い調査研究と施策提言を行っている経済研究所との連携をさらに強化することで、中長期的な事業環境を想定した課題解決施策の検討など、他の競合コンサルにはない価値を提供することが可能になる。

 3つ目のビジョン、新技術の適用やグローバルなサポートについては、富士通研究所と連携してITの最先端技術に取り組んでいくとともに、北米で実績を持つ富士通コンサルティング、英国・欧州で実績を持つ富士通サービスなどの海外関係会社との連携をさらに強化することによって、各地域に合わせたノウハウ、ベストプラクティスを提供していく。


 新生・FRIではこれら3つのビジョンを展開することで、顧客視点で業務を可視化し、収益力向上や業務効率化のためのIT施策の提案、内部統制やBCMなど実践に基づくリファレンスモデルの活用、先進技術に基づくコンサルティング技法の適用など、経営とITを一体化した改革を推進していく方針。

 さらに、独立事業体として経営のスピードアップを図り、富士通のコンサルティング事業本部とFRIの2006年度売上合計約80億円を、統合後の2007年度には93億円まで拡大し、「今後2~3年で従業員1000人体制、売上規模も倍増を目指す」(平田経営執行役上席常務)考えを示した。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/03/27.html


( 唐沢 正和 )
2007/03/27 15:09

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