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マイクロソフト、SQL Server 2008の新機能を説明


サーバープラットフォームビジネス本部 アプリケーションプラットフォーム製品部の野田良平部長

SQL Server 2008の強化点
 マイクロソフト株式会社は1月15日、次期データベース製品「SQL Server 2008」に関する記者説明会を開催。サーバープラットフォームビジネス本部 アプリケーションプラットフォーム製品部の野田良平部長、斎藤泰行エグゼクティブプロダクトマネージャが、新機能などについて解説を行った。

 SQL Server 2008は、SQL Server 2005をベースに開発されている次期データベース製品で、野田部長は「良い意味でのマイナーアップグレード」と説明する。前バージョンのSQL Server 2005はすでに、百五銀行を初め、米NASDAQ、英ロンドン証券取引所などで稼働実績を積み、ミッションクリティカル用途での採用実績も増えてきているが、SQL Server 2008は、そのSQL Server 2005をメインラインとして改良を実施。さらに、100近い新機能をImprovementという開発チームに分割して開発を行っており、「製品クオリティに近いものになった際に、はじめてメインラインに組み込む」(斎藤氏)手法を採用することで、製品の信頼性を向上させてきたという。野田部長はこうした開発プロセスを採用している点を踏まえて、「SQL Server 2005の実績、堅牢性などはそのままに新機能が追加されており、蓄積された技術、ソリューションを(SQL Server 2008で)そのまま活用できる」と評した。

 また斎藤氏は新機能について、1)コンプライアンス、2)サーバー統合シナリオへの対応、3)大規模データウェアハウス(DWH)への対応と管理性向上、4)BI基盤としての機能強化、の各観点から説明した。1)ではまず、透過的なデータ暗号化を実現。これまでは関数を利用して明示的に暗号化と復号を行う必要があったが、既存のアプリケーションを変更せずに、データベース内のすべてが暗号化できるようになったとした。また、データベースがあらかじめ定義したポリシーに従っているかどうかを確認する「Declarative Management Framework」機能、企業全体の監査レポートを一元管理できる機能なども追加される。


サーバープラットフォームビジネス本部 アプリケーションプラットフォーム製品部の斎藤泰行エグゼクティブプロダクトマネージャ

リソースガバナ機能によって、各アプリケーションの利用するリソース量を管理者が制御できる
 2)では、分類したワークロードに従ってCPUやメモリなどのリソース利用率を制限する「リソースガバナ」を搭載。1つのデータベース内で複数のアプリケーションが動作すると、各アプリケーション間でのリソース調整が必要になるが、これを詳細に調整できるようにした。例えば、ある優先順位の低いアプリケーションのワークロードが、CPUを5%しか利用できないように制限することができる。ただしほかにワークロードがまったく動作していないのにずっと5%しか利用できないのでは、リソースの有効活用という観点からは問題になるため、こうしたケースでは制限が自動的に解除される。これを利用すれば、「バッチファイル処理に割り当てるリソースを昼間に5%、夜には100%、とすることも可能」(斎藤氏)という。

 3)では、データパーティションの機能を強化。SQL Server 2005ではシングルスレッド処理しか対応していなかった、パーティションをまたがるクエリについても、並列処理をサポートし、パフォーマンスを大幅に向上させた。さらに、運用時のデータ圧縮機能が実装されるほか、データ圧縮後に書き出すバックアップ圧縮機能も搭載。説明会で実施したデモでは、非圧縮時約20秒だったバックアップ時間を、圧縮して約9秒へ短縮して見せた。

 最後の4)では、Webレポーティング機能を大幅に強化した。ゲージ表示を可能にするなど、Report Designerで選択できるグラフを増やし、表現力を増したことに加えて、空間情報をサポート。経度・緯度情報をデータベース内に格納できるほか、マイクロソフトの地図情報サービス「Microsoft Virtual Earth」との統合もサポートしている。


SQL Server 2008では、これだけ多くのグラフ形式をサポートしている グラフの表示例。格段に表現力が向上しているという Microsoft Virtual Earthとの連携例

SQL Server 2008のリリーススケジュールと施策
 今回紹介された機能は、現状の最新版CTP(Community Technology Preview)であるCTP 5では一部提供されていないが、マイクロソフトの2008年度第3四半期(2008年1~3月)にリリースを予定しているCTP 6では、すべて提供される予定で、2008年夏の開発工程終了を目指し、開発が続けられていくとのこと。野田部長は、「品質を高めること、トレーニングを通じてエンジニアの育成を強化すること、SIerやISVとのレディネスを高めることを柱として、出荷に向けた取り組みを進める」と述べている。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/

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( 石井 一志 )
2008/01/15 16:47

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