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OpenIDの国内普及団体が活動本格化、「日本発の追加仕様なども検討」


前列左からOIDF-J幹事の安田俊彦氏、代表理事の八木晃二氏、理事の柴田斉氏、後列左から発起人副代表の関信浩氏、発起人代表の崎村夏彦氏

OpenIDの特徴

OIDF-Jの概要
 OpenIDの国内普及を行う団体である有限責任中間法人OpenIDファウンデーション・ジャパン(以下、OIDF-J)は10月30日、活動を本格化すると発表した。第1期会員の国内企業32社により、活動母体となる会員組織を発足し、さらに広く企業への参加を呼びかけている。

 OpenIDとは、普段自分が使うIDを使って、複数サイトにログインできるようにする技術。また、その際に複数サイト間でユーザーの属性情報を伝達するためのプロトコルを指す言葉。同技術により、「エンドユーザーは複数のサイトごとにIDを取得する必要がなくなり、一方の企業側としては、顧客の管理が容易になる」(OIDF-J発起人代表の崎村夏彦氏)といった効果が期待されている。

 OIDF-Jは、このOpenIDを国内に普及するために、シックス・アパート、日本ベリサイン、野村総合研究所(NRI)の3社によって10月1日に設立された団体で、1)OpenIDに関する会員組織の運営、2)OpenIDに関する講習会・講演会・セミナーの開催、3)OpenIDに関するコミュニティなどへの支援・情報提供の3点を主な活動内容としている。

 さらに具体的には、技術セミナーの実施や実装ガイドライン、日本発の追加仕様の策定、ドキュメントの日本語化、国内外のケーススタディ収集、アンケートの実施、ビジネスアイデアコンテスト、法務面の研究、セキュリティのガイドライン化などを検討していく。12月12日には対外活動の第1弾として、OpenIDのビジネス活用を探索するセミナー「OpenID BizDay」の開催が決定している。

 今回の発表では、その活動母体となる会員組織の発足がアナウンスされ、インフォテリア、SBIホールディングス、OKI、KDDI、サイバートラスト、NEC、日本IBM、ミクシィ、ヤフーなど現時点における32社の会員企業が紹介された。OIDF-J代表理事の八木晃二氏は「これ以外にも参加したいという要望はたくさんいただいている」と業界の動向を説明。今回から正式に会員募集も開始し、「1年で3けたに到達するのでは」とした。

 また、会員組織の運営にあたっては、あらゆる角度からOpenID技術をとらえるため、東京大学大学院情報学環・学際情報学府の須藤修教授、慶應義塾大学総合政策学部の國領二郎教授、および中央大学大学院戦略経営研究科の杉浦宣彦教授をアドバイザーとして招請し、“ID社会への貢献”というアプローチからもOpenID技術の普及を目指すという。

 さらに別のID管理コミュニティ「Liberty Alliance」の日本分科会とパートナシップも締結する。Liberty Allianceは、より信頼できるICT社会の構築を目指し、ID管理の技術、プライバシー上の課題などに協力して取り組む場を提供するグローバルなコミュニティ。OpenID Foundationと同じ方向性の目指しながらも、別々に活動を行っていたのだが、ID管理の将来のために手を結ぶこととなった。崎村氏は「これまでもLiberty Allianceのセミナーで講演させていただくなど協調する部分はあったのだけど、今後はさらに技術的な部分にも踏み込んで、追加仕様を実現するための相互検証などを一緒に行っていく」としている。



URL
  有限責任中間法人OpenIDファウンデーション・ジャパン
  http://www.openid.or.jp/
  ニュースリリース
  http://www.openid.or.jp/081030_press-release.html

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( 川島 弘之 )
2008/10/30 18:15

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