シトリックス・キング新社長「お客さまの価値向上にフォーカスする」
代表取締役社長のマイケル・キング氏 |
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(以下、シトリックス)は5月27日、3月1日付けで同社代表取締役社長に就任したマイケル・キング氏による国内でのビジネス戦略に関する説明会を開催。あわせて、5月に米Citrix Systemsが開催した「Citrix Synergy 2009」で発表された新製品などの情報も公開した。
キング氏は、2008年3月に米Citrixに入社。アジア太平洋地域のXenServer部門の責任者とシトリックスの最高執行責任者(COO)を務め、今年3月に代表取締役社長に就任している。前社長の大古俊輔氏は取締役会長に就任しており、キング氏が日本市場における営業、マーケティング、サポート、技術開発など、国内のビジネス全般を統括し、大古氏がシトリックスのブランド認知の向上、新規ビジネスの開拓、顧客やパートナー企業とのさらなる関係強化を推進する役割を担うとしている。
キング氏は、「シトリックスでは、サーバー仮想化を実現する“XenServer”、Webアプリケーションのデリバリーを高速化する“NetScaler”、アプリケーションの仮想化を実現する“XenApp”、デスクトップの仮想化を実現する“XenDesktop”の4つのソリューションで構成される“Citrix Delivery Center”をお客さまに提供している。これらは、コンピューティングやデータセンターオペレーションの経済性を変革するエンドツーエンドの仮想化プラットフォームであり、お客さまに価値を提供できるもの」と説明。
日本でのこれまでの活動状況 | 4つのソリューションで構成されるCitrix Delivery Center | 2009年は顧客企業の価値向上にフォーカス |
これを踏まえ、「お客さまが実現できる価値にフォーカス」することを2009年の方針として活動すると発表した。「Citrix Delivery Centerで実現しているように、今あるテクノロジーを利用していただくことで、すぐにコスト削減が可能であることを訴えていきたい。そのためには、チャネルパートナーの協力が重要なので、市場拡大につながるよう協力していく。あわせて、顧客のITインフラを最新テクノロジーでさらに充実化できるよう製品を提供していく。そのためにはSIerとの戦略的な関係が重要になってくるので、こうしたコミュニケーションで大古会長に期待している」と述べた。
取締役会長の大古俊輔氏 |
取締役会長に就任した大古氏は、「日本のお客さまが抱える課題として、投資対効果を高めること、ビジネスや社会情勢への迅速な対応、そしてビジネスの継続性の3つが挙げられる。投資対効果の面では、アプリケーションとソフト・ハードのライフサイクルが異なるなど、クライアントの管理コストが複雑化しているのが大きな課題となっている。また、サーバーの増殖も大きな問題。また、迅速な対応を行うには、拡張可能な環境を構築したり、プライベートクラウド、リモートワークなどを意識する必要はある。また、ビジネスの継続性に関しては、パンデミックなどDR対策とは異なる対応が求められている」と紹介。「こうした課題を解決するには、やはり物理的な制約や複雑性からの解放が必要」と、同社が持つ仮想化技術やネットワークの最適化が有効であると述べた。
説明会では、Citrix Synergy 2009で発表された「Citrix Receiver」をデモを交えて紹介。このCitrix Receiverは、XenAppやXenDesktopが配信するアプリケーションやデスクトップを各種デバイスで利用できるようにするソフト。HD画質のクオリティを実現するCitrix HDXに対応しているのが特長で、これによりエンドユーザーに対して高品位なユーザー体験を提供することができる。現在公開されているのは、Windowsベースのデバイスで利用可能な「Citrix Reveiver for Windows」と、iPhone/iPod touchで利用可能な「Citrix Receiver for iPhone/iPod touch」。今後、Mac OS X、Windows Mobile、Symbian OS向けのCitrix Receiverを順次提供する予定としている。
Citrix Receiver for iPhoneの操作画面。iPhoneライクなUIから、各種アプリケーションやデスクトップにアクセス可能 | Doc Finderにはユーザーの各種ドキュメントなどを表示可能 | PowerPointのファイルにアクセスした様子。スライドショウなども実行できる |
最後にキング氏は、「お客さまにフォーカスした本当の意味でのエンドツーエンドのソリューションを提供し、お客さまの価値向上を実現することが目標だ。そのためにもSIerやハードウェアベンダーとの緊密な活動は重要なので、力を入れていく。なによりも日本市場に全力を尽くして取り組んでいく」と、顧客視点でのソリューション提供に積極的に取り組む考えを強調した。
2009/5/27 17:51